“世界一孤独なゾウ” 新天地で8年ぶりに他のゾウとの触れ合い噛み締める その姿に関係者も涙(カンボジア)

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2020年12月04日 15:22  Techinsight Japan

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8年間、ひとりぼっちだったアジアゾウの“カーバン”(画像は『DAWN.COM 2019年11月3日付「SOCIETY: PLIGHT OF THE PACHYDERM」(Photos by the writer)』のスクリーンショット)
劣悪な環境の動物園で、パートナーを亡くしてから8年間ひとりぼっちで過ごしてきたゾウは“世界一孤独なゾウ”と呼ばれた。この惨状を知ったチャリティー団体が動き、10時間の輸送を経て野生の環境に近い保護区へ移動させた。久しぶりに他のゾウを目の前にし、その存在を確かめるように優しく鼻で触れる姿に関係者は目頭を押さえた。『The Sun』などが伝えている。

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アジアゾウの“カーバン(Kaavan)”は1985年、子供だった頃にスリランカからパキスタンの首都イスラマバードにあるマーガザー動物園に連れてこられた。35年をそこで過ごしたカーバンだったが、2012年にパートナーの“サーヒリー(Saheli)”が亡くなってからの8年間は新しいゾウがやってくることはなく、ひとりぼっちのままだった。

カーバンは孤独だったことに加え、劣悪な環境で飼育されていた。今年5月、動物虐待にあたるとしてパキスタンの裁判所により同動物園は閉園が命じられた。以前よりカーバンの悲惨な状況を知っていた米歌手・女優のシェールさん(Cher、74)は、2016年からカーバンをより良い環境へ移送させるためのキャンペーンをSNSで行っており、注目を集めた。

ゾウを輸送させるためには飼育環境などのチェックがあり、厳しい審査を通過しなければならない。シェールさんのキャンペーンが功を奏し許可が下りたことで、カーバンはようやく新しい動物園への移動が決まった。

シェールさんが共同設立した動物園と動物保護施設の支援や、劣悪な環境におかれた動物の救済を行うチャリティー団体「Free The Wild」と動物福祉団体「Four Paws International」がカーバンの輸送を担当した。長時間の空輸となるため、事前に狭い空間や大きな音に慣れる練習をしていたという。そして先月30日、体重約4000キロのカーバンは飛行機に乗せられ、10時間の空の旅を経て新天地カンボジアの野生動物保護区に到着したことがFree The WildのInstagramで報告された。

到着したカーバンは、獣医による健康チェックのため一時的に囲いの中に入れられた。カーバンは隣にいたアジアゾウへ柵越しに鼻を伸ばすと、8年ぶりに他のゾウと触れ合うことを噛み締めるように、優しく鼻を触った。今後カーバンは広い保護区内で、他のゾウ達とともに過ごすことになる。


カンボジアの副環境大臣ネス・フェクトラさん(Neth Pheaktra)は「私達はカーバンを歓迎しています。ここにいれば二度と“世界一孤独なゾウ”と呼ばれることもないでしょう」とコメントした。

カーバンの体調について、獣医のアミール・ハリールさん(Amir Khalil)は「カーバンは大きなストレスがかかることもなく、良く食べ、しっかりと眠れているようです。頻繁に飛行機に乗っていて慣れているのかと思うほどおとなしかったですね」と話している。

画像は『DAWN.COM 2019年11月3日付「SOCIETY: PLIGHT OF THE PACHYDERM」(Photos by the writer)』『The Sun 2020年12月1日付「LOVING TOUCH ‘World’s loneliest elephant’ tenderly touches trunks with a female for first time in 8 years after Cher’s rescue mission」(Credit: AP:Associated Press)』『BBC News 2020年12月1日付「‘World’s loneliest elephant’ arrives for new life in Cambodia」(EPA)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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  • コンクリート打ちっぱなしで天井も殆ど覆われたところで、たった一人で飼い殺しなんて可哀想でしたね。
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