国民へ「お願い」ではダメ 「帰省前の外出自粛と陰性確認を」呼吸器内科・倉持仁医師

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2020年12月05日 08:05  AERA dot.

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写真インターパーク 倉持呼吸器内科院長 倉持仁 (c)朝日新聞社
インターパーク 倉持呼吸器内科院長 倉持仁 (c)朝日新聞社
 本格的な冬が到来し、日本列島がコロナ「第3波」に見舞われている。急増する重症者に医療は逼迫。だが、政治家たちのメッセージは「経済が大事」「感染対策が大事」と、ブレブレで、国民は戸惑うばかり。日本はどのような道を歩むべきなのか。インターパーク倉持呼吸器内科院長の倉持仁医師に聞いた。

*  *  *
 若者の感染が多く重症者が少なかった第2波と違い、第3波は高齢者を含む幅広い層に広がっている。検査から重症化までの期間も3、4日とこれまでより短く、中高年では早めに悪化する傾向がみられます。

 特に警戒すべきは地方です。東京の医療機関は第1波の経験がありますが、多くの地方は第3波が本格的なコロナ対応のデビュー戦になる。地方の病院では普段、体外式膜型人工肺(ECMO)を複数台回すような医療をめったに行いませんし、人工呼吸器など設備面も脆弱です。基幹病院も多くありませんから、クラスターが発生したら患者の行き場が失われます。

 コロナ患者だけでなく交通事故や冬場に増える脳梗塞や心筋梗塞の治療すらできなくなる状態になりつつあるので、地方への感染拡大はここで絶対に食い止めなければなりません。

 菅首相はGo To トラベルが感染拡大の主要な原因ではないと主張していますが、エビデンスが不足している印象を受けます。ゲノム解析を使えば感染経路がわかりますから、科学的な手法を用いた検証結果を基に判断するべきです。Go To トラベルは感染が急拡大する大阪市や札幌市については一時停止が決まりましたが、同じく危機的な状況にあり、かつ最大の人口を抱える東京の除外はまだ決まっていません。地方が医療崩壊の危機にさらされている現在の状況を考えると、ここで一度、立ち止まるべきだと思います。

 政府の対策は、もっときめ細かにする必要があると思います。たとえば結核対策の場合、1時間あたり12回の換気を行うという明確な指針がある。コロナも換気が大事だとわかっているのに、科学的根拠に基づいた具体的な指針は欠落したまま。ガイドラインなど早急に整備した上で、飲食店や各事業者に具体的な対策を促すべきです。曖昧な基準に基づいてステッカーを貼っても、意味がありません。

 年末の帰省は、きちんと対策をとった上でという条件付きならば、行うことは可能だと思います。たとえば帰省前の4、5日間は外出を自粛し、検査を受けて陰性を確認してから帰省するなどです。ただ、政府はこれまで無症状感染者への検査を軽視してきました。国民への「お願い」ベースではない踏み込んだ対策をとらない限り、日常を取り戻していくのは難しいのではないでしょうか。

くらもち・じん 1972年、宇都宮市生まれ。青梅市立総合病院、横須賀共済病院、東京医科歯科大学病院呼吸器内科勤務を経て、2008年、倉持病院副院長。15年から現職

(まとめ/本誌・岩下明日香)

※週刊朝日  2020年12月11日号

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  • 感染者数が多い年代も含め、自粛でもしないと来年の夏もマスク生活ってオチにならないといい。
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  • 「withコロナ」とか言ってる時点で収束なんかしない。季節性インフルエンザなら対策して上手く付き合っていけるかもだけど、ず〜っと収まらないCOVID19はどうにもならん。
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