小惑星探査機「はやぶさ2」帰還へ(後編) コロナ禍のカプセル回収計画の全容

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2020年12月05日 08:05  AERA dot.

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写真はやぶさ2の再突入飛行の概要(JAXA提供)
はやぶさ2の再突入飛行の概要(JAXA提供)
いよいよ日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が12月6日未明(日本時間)、地球に帰還する。

【イラスト】小惑星リュウグウにタッチダウンする「はやぶさ2」の想像図

【小惑星探査機「はやぶさ2」帰還へ(前編) 「最後の一歩」で新型コロナの試練】から続く

 オーストラリアへ帰還カプセルの回収班73人を率いていくのが宇宙航空研究開発機構(JAXA)、はやぶさ2プロジェクトのサブプロジェクトマネジャーの中澤暁さんだ。

「人数が多いと、それだけ新型コロナへの感染リスクが増える。人数を縮小したチームを編成しました」

 回収班の先発隊14人は11月1日に、本隊59人は同月9日にアデレードへ向けて出発。感染を避けるためチャーター機を利用し、現地到着後は2週間の隔離期間を経て作業を開始した。

 感染症対策の一方、重要なのはカプセル回収の確実性だ。「これが損なわれてはなりません」と、中澤さん繰り返し強調する。

「カプセルの探索にはそれなりの人数が必要です。元の計画では後方支援の部隊もけっこう考えていたのですが、最小限にしました。このバランスをとるのにかなり苦労しました」

 帰還カプセルが地球に戻ってくるのは日本時間12月6日午前2時半ごろ。着陸エリアは豪空軍の実験場がある立ち入り制限区域で、面積は北海道よりもひと回りほど広い。

 着陸に必要なパラシュートやビーコン(無線標識)送信機が正常に作動するか、打ち上げ後はチェックすることができない。その間、約7年。トラブルも予想される。

「どんな事態にも耐えうるような回収方法を一生懸命、検討してきました」

 カプセルは秒速約12キロで大気圏に突入する。高度約80キロから40キロの間、大気との摩擦熱によって明るい流れ星のように光り輝く。

「『火球フェーズ』です。この発光の方位と仰角を複数の地点でカメラで観測して、その結果から着地点を推定します。パラシュートが開かなかったり、ビーコン信号が受信できなかった場合のバックアップとしても非常に有効です」

 悪天候に備えて、雲の上からも監視を行う。「NASAには航空機観測の支援を行ってもらう計画です」。
マリンレーダシステム、ドローンなども新たに投入

 カプセルは高度約10キロで大気圏突入時に焼け焦げた覆いを分離。同時にパラシュートが開き、ビーコンを発信しながら降下する。

 この電波信号をとらえるのが着地予想エリアの周囲5カ所に配置する方向探索用アンテナだ。各局が受信した電波の方向の交点が着陸地点となる。

 はやぶさ2で新たに取り入れた探索装置もある。それが「マリンレーダシステム」。漁船などに積まれる小型のレーダーで、「電波を出してパラシュートからの反射波をとらえて方位と距離を測定します。ビーコン送信機に異常があった場合にも対応します」。

 着地後は地表のアンテナ局は地平線に隠れてしまい、ビーコンが受信できなくなる。そのため、アンテナを搭載したヘリコプターで上空からカプセルの探索を行う。

 さらに今回の捜索ではドローン(無人有翼機)も投入する。

「無人機を使ってカプセルの着地予想エリアを上空からすき間なく連続撮影します。写した画像にカプセルがあるか、高速で認識処理を行い、特定します」

 ドローンはヘリコプターが飛行できない場合や、方向探索用アンテナやマリンレーダシステムで発見できなかった場合にも威力を発揮するという。

カプセルに「お宝」が入っているかは現地で確認

 そうやって発見したカプセルは現地本部の建屋内に設けられたクリーンルーム内に運ばれ、内部からサンプルコンテナを取り出す。この中からガスを採取し、簡易分析を行う。初代はやぶさではなかった作業だ。

「はやぶさ2が向かったC型小惑星には有機物や水があると想定されました。今回のカプセルにはこれらの揮発成分を閉じ込める工夫がされています」(津田雄一マネジャー)

 有機物や水の成分を分析することで原始太陽系の姿だけでなく、地球の海や生命の誕生の起源に迫れると期待される。

 サンプルは清浄度を維持したまま神奈川県相模原市にある宇宙科学研究所に輸送し、詳しい解析作業を行う予定だ。
「カプセル探索に要する時間にもよりますが、日本に100時間以内に届けることを目標にしています」(中澤さん)

 JAXAは、はやぶさ2の地球帰還とカプセル回収の様子をできるかぎりリアルタイムで情報を発信していく計画だ(※)。

「残念ながら、新型コロナの問題がありますので、『現地に見に来てください』という状況にはありません。ですが、世界中のみなさんにはやぶさ2が帰ってくるところを見ていただきたい。新型コロナの制約のなか、どのような情報発信ができるのか、見守っていただきたいと思います」(津田さん)

                         (文・米倉昭仁)

※地球帰還の最新情報は「JAXAはやぶさ2プロジェクト」のホームページで。
https://www.hayabusa2.jaxa.jp/

このニュースに関するつぶやき

  • 遂に、遂に帰ってきます!!凄いね、はやぶさ2!!しかも、今回は帰宅せずにそのまま次の現場へとexclamation & questionえ、どんなブラック企業(違。更なるお使い、頑張ってくださいね(`・ω・´)ゞと。
    • イイネ!2
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