ワゴンを初代と比較! メルセデスの新型「Eクラス」に試乗

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2020年12月05日 11:02  マイナビニュース

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メルセデス・ベンツの中核モデル「Eクラス」は、どう変わったのか。2020年9月にマイナーチェンジを受けた新型に早速、試乗した。Eクラスといえば、時代に先駆けて最新技術を取り入れてきたクルマだが、その姿勢は今も健在。一方で、乗り心地には少し気になるところがあった。

○プレミアムセダンの指標はどこへ向かうのか

「世界で累計1,400万台以上の販売台数を誇るメルセデス・ベンツの中核をなすモデルであり、1946年に発表されたW136/191型以来、常に時代に先駆けて革新的な技術を取り入れ、世界のプレミアムセダンの指標とされてきた」。これがEクラスに関するメルセデスの説明だ。今回の試乗では、セダン、ステーションワゴン、クーペ、カブリオレという全てのボディタイプを楽しむことができた。

まずはセダンとワゴンだ。グレードは入門編となる「E200 スポーツ」で、車両本体価格はセダンが769万円、ワゴンが810万円。Eクラス全体の価格幅は769万円〜1,203万円、AMGが1,259万円〜1,912万円となる。

それではセダンのエクステリアから見ていこう。マイチェン前は上広がりだったラジエーターグリルは下広がりの台形に変更となり、ヘッドライトは上下方向に薄く、少しだけ切れ上がるデザインとなっている。その「小顔」効果により、フロントはシャープでスマートな印象が高まった。

リアエンドには、横に長く外側が高い2分割リアコンビネーションランプを採用。「Cクラス」とは異なるワイドでダイナミックな後ろ姿だ。

E200は「AMGラインエクステリア」が標準装備となるので、ホイールは大径19インチのAMG製となる。ボンネットのマスコット(スリーポインテッドスター)は古い世代にとって憧れともいえるものだが、今回も一部モデル(E450)しか装着していないので、試乗車の鼻先はフラットなままだ。

インテリアは高級感が上がった印象。マイチェン前はピカピカと光っていたピアノラッカー調のセンターコンソールは、インテリアウッドトリムと同じ材質となり、落ち着いた見栄えになった。ステアリングホイールは3本のツインスポーク仕様となった新デザインを採用している。

機能面では、対話型インフォテインメントシステム「MBUX」が進化。ドライバーのジェスチャーでプリセットしたお気に入りメニューを呼び出す「MBUXインテリア・アシスタント」を採用した。やり方が面白い。エアコン出口とセンターコンソールのタッチパッドを結んだあたりの空間に「Vサイン」をかざすと、ルーフ部分の3Dカメラがその動作を読み取り、あらかじめ設定された機能を立ち上げるのだ。

今回は「ナビゲーションで試乗会場への帰り道を表示する」ことをプリセットしてみたが、指の向きをなるべく水平に立てさえすれば、3Dカメラが簡単にジェスチャーを読み取ってくれることがわかった。他にも各種ライトの点灯やアンビエントライトの設定画面など、ジェスチャーひとつでさまざまな表示を呼び出せるという。ちょっとした“遊び”を取り入れた新装備は、いかにも高級車らしい。

ナビ画面にはAR(拡張現実)を採用。乗用車では初めてらしい。目的地を選んで走っていると、交差点などで画面が図形から実際のカメラ映像に切り替わり、どの方向に進むべきかを示す矢印が表示されるという機能だ。突然のことで最初は「オヤ?」と思ったけれども、慣れると便利なのかもしれない。

肝心の走りはどうか。E200が搭載するのは、わずか1.5リッターの「M264」形直列4気筒ガソリンターボエンジンに、「BSG」と「48V電気システム」を組み合わせたパワートレイン。エンジン単体で最高出力184PS(135kW)/5,800〜6,100rpm、最大トルク280Nm/3,000〜4,000rpmを発生し、ベルトでクランクシャフトと接続したスターターとジェネレーターを兼ねる「BSG」が10kW/160Nmの動力をブーストする。

結果として、小排気量エンジンを搭載していることによる非力感を感じる場面はほとんどなかった。BSGは振動の少ないエンジン始動や滑らかな加速、ギアシフト時のパワーダウンを補うなど、細かなアシストを行ってくれる。回生ブレーキで発電した電気を1kWhのリチウムイオン電池に蓄電する48Vシステムが、こうした力の源になっているのだ。

一方で、少し気になったのが乗り心地だ。低速域では、コツコツとした路面との「当たり」が前席にも後席にも結構伝わってくる。これは、ドライブモードが「コンフォート」でも「スポーツ」でも同じだ。ショックは一発で収まるので、サスペンションはちゃんと機能している様子。原因は19インチのランフラットタイヤにあるのではないだろうか。試乗後に広報さんに確認すると、標準装着のAMGホイール自体はランフラットタイヤ専用となっているため、ノーマルタイプには変更はできないとのこと。高速道路やコーナーが続くワインデングではキビキビとした走りを見せてくれたE200だが、Cクラス以下のモデルであれば看過できそうなこの現象についても、そこはEクラスなので、なんとかならないものだろうか。

○仕事も遊びも! ワゴンはロングドライブに最高

もう1台のE200ステーションワゴンは、筆者がこの日、試乗会場に乗っていった愛車の初代Eクラス(S124型ステーションワゴン)と並べてみた。まずは写真でクルマの変化を感じてみてほしい。

1980年代に設計され、最初はミディアムクラスと呼ばれていたW124が、1994年に呼称を変更し、初代「Eクラス」と呼ばれるようになったのは皆さんもご存知の通り。ステーションワゴンの型式は、「W」ではなく「S」の124となる。ボディサイズは全長4,760mm、全幅1,740mm、全高1,490mmで、当時のEクラスは想像以上に小さなクルマだった。

一方の新型は全長4,955mm、全幅1,850mm、全高1,465mmで、S124と並べるとかなり長く、広く、低くなっているのに気が付く。逆に価格は、1994年式S124(E320)が790万円前後だったのに対し、30年近い時を経た新型は810万円なので、それほどアップしたわけではないのが面白い。

E200ステーションワゴンの走りに関してはセダンに準ずるもので、やっぱり低速域のコツコツがちょっと気になるところ。タイヤはセダンがグッドイヤー製、ワゴンがピレリ製のランフラットで異なる銘柄だった。

とはいえ、広い開口部とフラットなフロアを持つラゲッジルームが備わる実用面での総合力は、初代から引き継ぐメルセデス伝統の魅力だ。通常で640Lの荷室容量は、スイッチ1つでヘッドレストまで倒れるリアシートを収納すれば1,820Lに拡大する。仕事や旅などで、たくさんの荷物を積んでロングドライブに向かうことが多いユーザーにとって、Eクラスの優雅なステーションワゴンは最高の選択肢となるだろう。

最新の安全運転支援技術であるインテリジェントドライブは、他メーカーに比べて動作が安定しているのでとても信頼できる。追従時は高速でも渋滞時でもクルマの自然な動きが実現できていて、長い時間を乗ってもドライバーへの負担が少なく、疲れない。遊びであろうが仕事であろうが、クルマを降りてすぐ“作業”に取り掛かれるので、一度その恩恵を味わってしまうと、なくてはならないシステムになること間違いなしだ。

次回は同じEクラスのクーペ/カブリオレ編をお届けしたい。

原アキラ はらあきら 1983年、某通信社写真部に入社。カメラマン、デスクを経験後、デジタル部門で自動車を担当。週1本、年間50本の試乗記を約5年間執筆。現在フリーで各メディアに記事を発表中。試乗会、発表会に関わらず、自ら写真を撮影することを信条とする。 この著者の記事一覧はこちら(原アキラ)
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