「2020年のFAは熱い」はずが…。大物たちが残留するストーブリーグ事情

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2020年12月05日 11:31  webスポルティーバ

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【短期連載】FAは誰を幸せにするのか?(1)

 日本シリーズが瞬く間に終わり、"ストーブリーグ"に突入した。メディアの報道やファンの関心は、来季に向けた人事や移籍が中心となっている。

 ストーブリーグは英語の「Hot Stove League」に由来する表現だ。メジャーリーグがオフシーズンになる冬、ファンたちがストーブを囲みながら好きなチームや選手の移籍から契約更改、果てはゴシップまで、あれこれ議論を楽しむことを示す言葉だった。それが日本でも定着し、主に移籍動向を表す表現として知られている。




 コロナ禍で開幕が3カ月遅れ、パンデミックの影響がオフになっても続く2020年。今冬のストーブリーグで特に注目されるのは、菅野智之(巨人)、有原航平、西川遥輝(ともに日本ハム)のポスティングシステムによるメジャー移籍が実現されるのか。そして国内フリーエージェント(FA)権を保有する89人の動向だ(*97人が取得したが、8選手は現役引退)。

「2020年のFAは熱い」----。

 今季開幕前からそう言われてきた理由は、新たに国内FA権を取得した21選手のなかに"大物"が多く含まれるからだろう。

 2年連続で最優秀防御率、自身初の沢村賞に輝いた左腕投手の大野雄大はメジャーへのポスティングも含めて去就が注目されたなか、中日と年俸3億円プラス出来高の3年契約と報じられる条件で、FA権を行使せずに残留(※年俸はすべて推定、以下同)。今季年俸は1億3000万円プラス出来高だったが、FA権を取得したことで好条件を勝ち取った。

 もうひとりの目玉、過去3度トリプルスリーを達成している山田哲人もFA権を行使せず、ヤクルトと7年35億円プラス出来高とされる超大型契約を結んだ。「いつも『お金がない』と言っていたヤクルトだが、あるじゃないか」と球界関係者を驚かせた。

 各球団にとってコロナ禍による減収の影響は大きい一方、近年はスタジアムビジネスで順調に収益を伸ばしており、大物選手がこうした大型契約を結ぶケースは今後増えていくかもしれない。

 2019年シーズン開幕前に則本昂大が楽天と総額21億円プラス出来高とされる7年契約を結んだように、長期契約は選手にとって雇用の安定、球団にとって戦力の確保というメリットがある(則本は同年オフにFA権を行使して残留表明)。

「複数年契約はうれしいですよ。それだけ活躍してくれると評価してくれるわけですから」

 昨年6月、FA権を取得した十亀剣(西武)はそう話した。十亀は同年オフにFA宣言し、西武と7000万円プラス出来高の3年契約で残留している。

 個人事業主であるプロ野球選手たちは、そのほとんどが単年契約だ。査定は1シーズンの評価で行なわれ、継続的な活躍をしても基本的に年俸には反映されない。その事実をあらためて知られたのが、2019年オフ、祖父江大輔と中日の契約交渉だった。

 2013年ドラフト5位でトヨタ自動車から入団した右腕投手の祖父江は、1年目から6年続けて毎年33試合以上に登板(平均43.8試合)。2019年はチーム4位の44試合に投げて防御率3.11を記録したが、100万円のダウン提示を受けた。その理由を加藤宏幸球団代表はこう説明している。

「彼はここ3年ぐらいの継続的な登板数を評価してほしいということ。(球団として)評価はするが、反映ポイントにない。それ(継続的な登板数)を評価してほしいなら、早くFAをとってくださいというのがこちらの主張」(スポニチアネックスの記事「中日・加藤代表 保留の祖父江とは継続的な登板数で『考え方に差』 44試合に登板もダウン提示か」。一部括弧内筆者)

 加藤代表が示唆するように、FA権を取得した選手、あるいは則本のように取得直前の選手には"プラスアルファ"の評価が加えられることもある。

◆DeNAロペスは11人目。国内FA権を取得した「助っ人」たちの功績>>

 それが顕著に表れたのが、昨年オフ、ソフトバンクからロッテにFA移籍した福田周平のケースだ。2019年の年俸は3600万円だったのが、移籍市場に出たことで争奪戦が繰り広げられ、4年総額4億8000万円プラス出来高という好条件を手にした。

 プロ野球選手の"商品価値"を何より示すのが、契約条件だ。それは一般人の給料と変わらない一方、プロ野球選手の現役生活は限られる。

 また、ビジネスパーソンは自分の好きなタイミングで転職して待遇改善する機会があるのに対し、プロ野球選手はそうではない。ドラフト指名された球団に入団合意すると、「保留制度」が適用されるからだ。

 選手は所属球団との契約が満了しても、他チームと自由に入団交渉できない。高卒なら8年、大卒・社会人なら7年の登録日数を満たし、取得したFA権を行使して初めて「移籍市場」に出ることができる。保留制度という球団が極端に有利な契約環境に置かれるなか、自身の市場価値を高め、自らの意思で所属球団を決められるのがFAという権利だ。

 今オフの動向が注目される、主な国内FA権保有者たちをリストアップした。市場に出ることで、他球団から価値をより高く評価されそうな選手が多くいる。

「ABC」は各選手のランクだ(推定)。Aは前球団での年俸が1〜3位、Bは同4〜10位、Cはそれ以下。AとBは前球団への補償が発生し、Cはそうでないため、「Bランクは獲得しにくく、Cランクは獲得しやすい」と言われている。

【投手】
・小川泰弘(ヤクルト)B
→30歳、年俸9000万円、今季は10勝8敗、防御率4.61

・井納翔一(DeNA)C
→34歳、年俸6100万円、今季は6勝7敗、防御率3.94

・澤村拓一(ロッテ)A
→32歳、年俸1億5400万円、今季は1勝3敗1S14H、防御率3.41

・松永昂大(ロッテ)B
→32歳、年俸7500万円、今季は0勝0敗3H、防御率0.00

【外野手】
・梶谷隆幸(DeNA)B
→32歳、年俸7400万円、今季は打率.323、19本塁打、53打点、OPS.913

・西川遥輝(日本ハム)A
→28歳、年俸2億円、今季は打率.306、5本塁打、39打点、OPS.825

 投手では、ヤクルトのクローザー石山泰稚はFA権を行使せず、出来高を含め4年総額7億円で合意したと報じられた。また、今季パ・リーグのセーブ王の増田達至(西武)はFA権を行使して残留することとなった。シーズン途中に巨人からロッテに移籍し、持ち前の豪腕ぶりを発揮した澤村拓一は、海外FA権を行使しメジャー移籍を目指すことが濃厚だ。

 野手で注目されるのは、復活を遂げた梶谷隆幸(DeNA)。2018年から2年続けて41試合の出場にとどまったが、今年は109試合でリーグ2位の打率.323、同9位タイの19本塁打を放った。リーグトップの88得点と、勝利への貢献は極めて大きい。行使すれば争奪戦になると予想され、DeNAはどこまで好条件を提示できるか。

 また、野手では内川聖一(ソフトバンク )、福留孝介(阪神)、投手では能見篤史(阪神)という自由契約になったベテラン勢の動向も注目される。

 ソフトバンクが圧倒的な強さを見せた日本シリーズが終了し、迎えた冬のストーブリーグ。巻き返しを図る各球団が、水面下で見せる戦いが来季へのカギになる。

このニュースに関するつぶやき

  • 当初の予定は山田と増田が強奪の標的だったが、揃って残留のため、井納と梶谷の強奪に走る虚塵。結局虚塵のFAは「補強」でなく「依存症」である。しかし、その虚塵に寝返る輩がいまだ存在するのでタチが悪い�֡�������
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