胃薬で乳幼児20人が「狼男症候群」を発症 1年以上経つ今も症状に苦しむ子も(スペイン)

4

2020年12月07日 05:51  Techinsight Japan

  • 限定公開( 4 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

Techinsight Japan

製薬会社の誤った薬を服用し多毛症に(画像は『The Amed Post 2020年12月2日付「Children sprout hair over their bodies after being mistakenly given hair restorer for stomach upset」((C)NEWSFLASH)』のスクリーンショット)
病気を改善するための薬が新たに別の病気を発症させるという事態が昨年、スペインで発生した。医薬品製造会社が胃酸を抑える薬のケースに脱毛治療薬を入れて市場に流通させてしまったのだ。これにより20人ほどの子供たちが「狼男症候群(多毛症)」を発症したが、1年以上経った今も症状に改善が見られない子もいるという。『New York Post』などが伝えている。

【この記事の他の写真を見る】

スペインで昨年、胃酸を抑える医薬品オメプラゾールを服用した後で全身の体毛が過剰に成長する多毛症を発症するケースが確認された。スペインの医薬品製造会社が、胃酸抑制薬のオメプラゾールのケースに誤って脱毛症の治療薬ミノキシジルを混入していたことが原因だった。

薬はシロップ状で当時、新生児から2歳児の約20人がこの薬の影響で多毛症に悩まされた。生後10か月の乳児の親は「服用から2か月後には足を除いて全身の体毛が異常に成長し出した」と話している。しかしこの問題について保健当局が動き出したのは、2019年7月のことだった。

薬に不信感を抱いた家族のグループが弁護士を通じて保健当局に苦情を申し入れ、そこで当局が問題の薬を扱う大手医薬品製造会社「ファルマキミカスル(FarmaQuimica Sur)」を調査したところ、オメプラゾールのケースに誤ってミノキシジルが入っていたことが発覚し、すぐに薬は市場から回収された。

その後、スペイン医薬品医療機器機構(AEMPS)では同医薬品製造会社に対していくつかの薬品の流通を禁ずるよう命じた。

保健当局では当時、問題の薬の服用を中止することで子供たちの症状は改善に向かうと発表しており、しばらくして症状が治まった子もいた。しかし今も多毛症で苦しんでいる子供がおり、その親たちは同医薬品製造会社と複数の関係企業に対して民事または刑事訴訟を起こして損害賠償を求めている。


ちなみに米医学誌『American Journal of Clinical Dermatology』によると、多毛症の治療には結局のところ剃毛、ワックス脱毛、レーザー脱毛といった方法があるが、それが必ずしも満足のいく結果に結びつくとは限らないという。

画像は『The Amed Post 2020年12月2日付「Children sprout hair over their bodies after being mistakenly given hair restorer for stomach upset」((C)NEWSFLASH)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

    前日のランキングへ

    ニュース設定