4人でスタートでも目標は日本一! 創部1年目の宮前ドリームス

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2020年12月07日 18:42  ベースボールキング

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「野球や勉強を通して『熱き想い』でどんな物事にもぶつかって進んで取り組んでいける選手を育てる」というチーム理念のもと、今年産声をあげた中学軟式チーム、それが宮前ドリームス(川崎市宮前区)。結成間もなくコロナ禍にみまわれ部員はまだ少ないものの、日本一を目指してチームは走り始めています。監督の石倉周さんにお話を聞きました。



子ども達の成長や時間、環境などを考えて軟式チームに
ーーチームを結成されたのが今年ということですが、結成されたきっかけは?
大学在学中に横浜みどりボーイズの発足から携わらせていただいて、いつか自分の仲間たちと自分のチームを作りたいと思っていました。いくつかの企業さまからスポンサーになるから少年野球チーム作ってなどというお話を頂いたりしたこともあったのですが、なかなか思うとおりにできないことが多くて。そういう経験を経て自分で全部やるしかないなと踏ん切りを付けてようやく宮前ドリームスを立ち上げることができたというところですね。

ーー川崎市宮前区にチームを作ろうと思われのは?
私が宮前区出身なのですが、私の時代から宮前区は少年野球のレベルが高いんです。でも中学では上手な子は区外のボーイズやシニアなどに行ってしまっていました。ですので宮前区に野球少年たちの受け皿となるチームを作りたかったという思いがありました。

ーー硬式ではなく軟式のチームを作ったのはなぜですか?
学生時代からボーイズのチームで教えていたのですが、神奈川県内で自前のグラウンドを持って試合ができる中学の硬式チームはあまりありません。遠征に行かないと試合ができないため、土日は朝5時に集合して、帰ってくるのが夜の8時、9時だったりとか。それは子どもの体にも負担ですし、行き帰りの移動だけで往復4時間も使うのは凄くもったいないなと思っていました。

試合に出してあげられる選手も、2試合やっても22、23人です。そのうちの4、5人は1打席、2打席になります。そう考えたときに、軟式チームですと学校の校庭なども借りられますし、近隣の中学とも試合ができます。近くで試合ができる、グラウンドも遠くまで行かなくていい、そう考えたら硬式チームよりも軟式チームの方がいいなと考えました。

ーー近くに自前のグラウンドがあれば硬式チームでも良かった?
それは正直あります。でも軟式ありき、硬式ありきでチームを作ったというよりも、子ども達の成長や時間、環境などを考えていくと、結果的に軟式チームになったという感じです。でも今は硬式じゃなくて軟式で良かったなと思っています。

ーー中学で軟式のクラブチームは珍しいですよね?
神奈川ですと中学野球といえばボーイズ、シニアが主流になっていますよね。でもそれは強い軟式チームがないだけであって、強いチームがあったら軟式にも人が集まると思っています。そういう意味で軟式で強いチームをまず自分たちが作ろうと思いました。
少年野球でまだ野球に不慣れな子や身体がまだまだできていない子たちのことを考えると、中学で硬式をやるとバットもボールも重い。ケガなどのリスクを考えたら小学生時代から慣れている軟式を中学でも3年間やって、高校から硬式でもいいのかなと思います。

ーー色んな指導者の方に聞いても軟式でも硬式でも結局は指導者次第という話しをよく聞きます。
私も高校時代に思ったのですが、軟式出身者でも上手い選手は上手いんですよね。硬式出身者は強いチームでみっちり教えられている子が多いですけど、それはたまたま強いチームが硬式チームだったというだけで、軟式でも強いチームが何チームもあったら変わらなくなると思っています。


できるようになるまでやります。それが指導方針


ーー宮前ドリームスの指導方針、ポリシーなどを教えてください。
指導方針は小さな成功体験を沢山身につけてあげたいなと思っています。例えばバッティングでも「こうなってるよ」「こうだよ」と言って立ち去るのではなく、「そうだよ、それを続けていれば良くなるよ」と感覚がちょっとでも身につくまでしっかり教え込む。きちんとその感覚、コツなどを毎日つかませてあげる。練習場所などの時間制限はもちろんあるんですが、できるようになるまでやります。それが指導方針です。

あとは子どもにチャレンジ精神を持って欲しいと思っています。こじんまりとならず、とにかく強く振ることですとか、強く振るためにはどういうことが大事なんだよとかを伝えながら、今は股関節の感覚を身につけるための練習をしていますが、そこは意味合いを教えながら丁寧に行っています。

ーー今日は選手が3人で指導者も3人。ほぼマンツーマンでの指導は贅沢ですね。
チーム結成直後にコロナ禍に見舞われて現在の部員は4人(当日は1人欠席)なのですが、今後は部員数の増加に合わせてスタッフも増やす予定です。一学年20人に絞って、一学年でチームを作れるようにしたいと思っていまして、選手10〜15人に対して最低でもスタッフは1人は置きたいですね。

ーーコロナの影響で部員が4人ということですが、選手たちのポジションや試合などはどうのようにされているのですか?
ポジションは特定せずにピッチャー、内外野含めて全部守れるようにしています。試合も合同チームなどを組んで中学のチームと練習試合などを行なっています。

ーー平日はチームとして勉強と体幹トレーニングをされているそうですね。
進路の選択肢が少しでも増えればいいなと思い、平日の2日は勉強と体幹トレーニングに取り組んでいます。
私自身も中学時代にある程度勉強もやっていましたので進路の選択肢が広がりました。中学時代は緑東シニアというチームで全国優勝もしましたので有名強豪校から声がかかるチームメイトもいました。でも成績が基準に達していなかったために進学できなかったということもありました。たらればですけど、(その高校に行けていたら)もしかしたらその後プロにもいけて1億、2億稼げる選手になっていたんじゃないかなと思えるような選手だったので、成績がネックになって進路が限られるのはもったいないなと。

【宮前ドリームスの週間スケジュール】
月:OFF(祝日の場合は活動)
火:体幹トレーニング/勉強(勉強は18:10〜20:35/国語、数学、英語)
水:OFF(祝日の場合は活動)
木:体幹トレーニング/勉強(勉強は18:10〜20:35/国語、数学、英語)
金:平日練習(16:30〜19:30)
土:練習または試合(8:00〜16:00)
日:練習または試合(8:00〜16:00)
(宮前ドリームス硬式HPより)

ーー教えている教科は?
国語、数学、英語を教えています。でも教科よりも大切にしているのは勉強のやり方ですね。自分がどれぐらいやったら自分がどうなるのかというのを知ることが勉強だと思っています。

ーー野球の監督、コーチが勉強も教えるって子どもたちからしたら結構強烈じゃないですか?
抜く暇がないですからね(笑)。でも、グラウンドの中だけだとどうしても「師弟関係」になってしまうんですけど、勉強のときは一人の13歳の少年と人生の先輩という関係で、「彼女できたか?」「学校楽しいか?」「学校の先生はどんな人?」など普通に色んな話しをしたりとか、そういう会話ができることで壁が取っ払われたりとか、そういうことを含めて野球の指導もしやすいなと思うんですよね。



ーー平日も何かしらの活動があるのであれば学校で部活動をやる必要がないですね。
そうですね。クラブチームに入りながら塾などに通うと普通に4、5万円くらいかかると思いますけど、うちのチームは全部含めて2万5000円でやっています。週2回オフにして、その2日はからのメンテナンスに使ったり、自分の好きなことに使いなさいと言っています。

ーー今後、子どもたちにどんな風に育って欲しいですか?
チームの目標が日本一なのですが、でも目的は人材の育成です。熱き思いを持って周りを巻き込めて進んでいける子ども達になって欲しいと思っています。この子たちが高校でも大学でも、社会人になっても、その中心にいて色んな人を自分の力で巻き込んで良い方向に引っ張ってくれるような人間になってくれたらと思ってやっています。

ーー子ども達に何か一言お願いします。
野球じゃなくてもいいから、何か夢中になれるモノを見つけて欲しいと思っています。でも僕たちは野球しかやってこなかったので野球くらいしか教えることができません。でも野球を通じて真剣に悔しいと思ったり嬉しいと思ったり、自分自身が感動したり他の人を感動させることができたり......そういうことはあんまりないと思うんですよね。
とにかく真剣に何か取り組めるモノを見つけて欲しいですね。見つからなかったらとりあえず野球をやってごらんって言いたいです。野球を本当に真剣にやったら絶対に面白くなるから。(取材・写真:永松欣也)

*次回はこの日行われていた練習ドリルなどを紹介します。

宮前ドリームス指導者プロフィール
監督:石倉周/中学時代に緑東シニアで全国優勝を経験。鎌倉学園、日本体育大学出身。
コーチ:高橋直樹/石倉監督と共に中学時代に全国優勝を経験。国士舘高校、創価大学を経て社会人野球の日本新薬でもプレーした。
コーチ:野倉大南/創価高校、創価大学を経て社会人軟式野球の曙ブレーキでもプレー。

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  • 昨日、わが宮城で女子中学生のみの野球大会があり、ニュース見ただけでも熱戦の様子が伝わってきた。危なっかしいプレーも多かったようだが数少ない女子同士の対戦は実に嬉しそうだった。
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