◆ シーズン通してローテをまっとう
オリックスの契約更改が7日に行われ、プロ入り3年目で初めてシーズンを通してローテーションを守った田嶋大樹投手が「提示額とは開きがある」と保留した。オリックスの保留は右腕・沢田圭佑に続いて2人目だ。
今季、4勝6敗ながら開幕からローテ入りし、9月16日の楽天戦では初完封も記録。122回1/3を投げ、初めて規定投球回数に達した左腕は「評価すべきポイントは評価してもらえたが、コロナ禍で調整が難しい中で、1年を通してローテで回れたことを評価してほしい」と保留理由を語った。
田嶋は、佐野日大からJR東日本を経て、2018年にドラフト1位で入団。開幕ローテ入りし、6月までに6勝を挙げたものの、左ひじを痛めて約1年を棒に振った。今季は、関節の可動域を広げるストレッチなどに取り組んだほか、リラックスして力を必要以上に入れない「脱力感のある投げ方」を意識して練習に取り組み、初めて1年間を通して先発マウンドを守った。
その自負が、サインを思いとどまらせたようだ。コロナ禍で開幕が遅れ、変則日程で臨んだシーズン。「自粛要請で家にいる時間が増え、いつ開幕するかわからない中で練習するという準備不足の中で1年間、(ローテを)回れたことは価値がある。僕はそこをしっかりと評価してほしい」と訴えた。
ただし、自身の成績に満足した上での主張ではないともいう。「数字で満足している部分はひとつもない。もっともっと数字を残さないといけない」と、足元はしっかりとみつめている。
「コロナ禍の中での査定は頭に入れていた」と、コロナ禍で球団経営が厳しいことも理解しているが、「それでも僕の考えとは開きがあった」と田嶋。調整が難しい状況の中、3年目で初めてつかんだ自信を胸に、マウンド同様に表情を変えず淡々と語った。
◆ 荒西とK−鈴木はメンタル面を課題に
中継ぎを中心に29試合に登板(0勝0敗、3ホールド)した2年目の荒西祐大は220万円増の1800万円でサイン。「走者を置いて登板する厳しい場面が多く、一日一日、メンタルが違って難しかった」とシーズンを振り返りながらも、「5度あった満塁の場面で、4度無失点で抑えることができたのは、来年に必ずつながると思う」と勝利につながる中継ぎとしての自信もみせた。
来季の目標は「50試合登板」。「技術よりも、ランニングやウエートトレで、自分を無茶苦茶に追い込みたい」と、メンタル面の強化を課題に挙げた。
一方、今季0勝(2敗)に終わった3年目のK−鈴木は、550万円減の1650万円で更改。「限度額(25%)いっぱいくらいのダウン。一軍登板が少なく(4勝した昨年19試合から今季8試合)、当然の結果。情けない、悔しい気落ちでいっぱい」と、厳しい表情で今季を振り返った。
不調の原因に挙げたのは、こちらもメンタル面。「自分の中で、自分のボールに自信が持てない場面があった。オフには考え方や練習に対する姿勢を変えたい」と、巻き返しを誓った。また、野手では2年目の中川圭太が600万円ダウンの2200万円でサインしている。
文=北野正樹(きたの・まさき)