◆ 様々な出来事があった今季を振り返る
オリックスの湊通夫球団社長が29日、球団の仕事納め後に行われた記者会見に出席し、2年連続の最下位という結果について言及した。
湊球団社長は「あってはならないこと。ファンの方に申し訳ない。だからこそ、来季は決意を持って臨みたい」と、最下位という結果について謝罪し、来季に向けた期待を口にした。
シーズン途中に異例の「監督辞任要請」「中嶋聡二軍監督の一軍監督代行就任」「中嶋監督代行の一軍監督昇格」というチームを取り巻く大きな動きがあった2020年シーズンだったが、コロナ禍の影響もあり、オーナー代行でもある湊球団社長が公式にメディアの前に出て対応するのは初めてのことだった。
湊社長は会見冒頭で、「(コロナ禍で)シーズン中は通路でも(メディアと)しゃべれない状況でしたが、1年間、記者さんとの接触が全くないのも自分としても嫌だったので、ざっくばらんに話をしたい」と切り出し、予定の1時間を大幅に超えて報道陣の質問に真摯に答えた。
来季に向けては、「厚くなっている選手層に、より厚みを持たせることが大切。監督を交代させた時からチームにとっての分岐点であり、来年は勝負の年にしないと、何をやっているのかわからない。本当に勝負の年だと思う」と語り、宮内義彦オーナーから「来年は頑張ってくれ。最下位はいかん」と檄を飛ばされたことを明かした。
自身の責任についても「中嶋代行に監督就任を依頼した段階で、自分もターニングポイントだと思い腹を決めている」と語り、不退転の決意で臨む意向を示した。
中嶋監督については、「シーズン途中、最下位からの代行で失うものはないとはいえ、難しかったと思う」と、理解を示しながら、「12球団で一番、選手を知り一二軍の全員を使うことが出来る監督。うまく使うことによって噛み合えば、ものすごく強いチームになる」と期待を込める。
ファンが期待するのは、1996年以来、遠ざかっているリーグ優勝だ。優勝に向けて必要なものを問われ、「得点力、先発、ブルペンの投手力などすべて」としつつ、「後半戦からは、ゼロリセットでなく、良い部分も見えてきた」と、チーム力の底上げが図れていることを評価。「70人の支配下選手をしっかりと使うことが、中嶋監督のしたいこと。それが出来れば優勝は見えてくる」と期待を込めた。
さらに、「(優勝するためには)開幕ダッシュが必要」と、2010年を最後に勝っていない開幕戦(2011年は引き分け)での勝利を熱望。「みんなプレッシャーになって、勝っていてもイニングを重ねるにつれ重くなっていく。(賞金などニンジンをぶら下げるのではなく)自分たちで乗り越えなければいけないし、乗り越えるだけの力は持っている」と選手たちの奮起を促した。
日本シリーズで2年連続の4連敗を喫したセ・リーグの中で、DH制の導入が議論に上がっていることに関しては、「4番がもう一人いるので、投手力はつくと思う。だだ、ベースボールと野球が違うと言うひとがいるように、哲学の話になって嫌いな人は嫌い。究極にはファンが選び、嫌なら離れていく」と言葉を選びながら分析した。
「将来性のある選手をとることができてよかった」と振り返ったのは、今季のドラフト。特にドラフト1〜3位の選手について「2〜3年後に京セラドーム大阪でレギュラーをとるという意識をもってやってくれればいい。今の選手が実力で抑えれば、それがチームを強くすることにつながる。育成選手も含め、90人近くでの勝負は楽しみ」と、高いレベルでのチーム間競争に期待を寄せた。
文・写真=北野正樹(きたの・まさき)