2020年K-POPシーンを総まとめ! JYP、SMエンタ他4大事務所と、NiziU・JO1のポジションを考察

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2021年01月03日 22:02  サイゾーウーマン

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サイゾーウーマン

 BTSが米国進出で大成功を収め、日本ではNiziUが話題を集めた2020年。「K-Pop」というコンテンツが世界的に評価される動きがあった20年は、どんな1年だったのだろうか。K-Popに関するメディア出演や、イベントを主催するキーパーソン3名に、20年のK-Pop動向を振り返ってもらった。

<座談会出席者プロフィール>

■e_e_li_c_a 2006年からDJを始めヒップホップ、ソウル、 ファンク、ジャズ、中東音楽、 タイポップスなどさまざまなジャンルを経て現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」を主催。楽曲的な面白さとアイドルとしての魅力の双方からK-POPを紹介して人気を集める。

■DJ機器 K-POPオタク。現在K-POPをかけるクラブイベント「Todak Todak」「Liar Liar」をe_e_li_c_a と主催。block. fmのK-POP番組『HB STUDIO』にレギュラー出演中。

■ラブ子 K-POPオタク。昨年K-POPファンの間で広まった「ドゥンバキ」というワードを最初に言い出した人。主なオタ活拠点は現場とTwitter。

Big HitとSM、YGの動きは?

――2020年のK-POP4大事務所の動向を振り返っていきたいんですが、まずはBig Hitエンターテインメントはどうでしたか?

DJ機器 Big Hitが2019年のSOURCE MUSICに続きPLEDIS Entertainmentを買収して、なんだかGoogleみたいに大きくなってきました。昨年末のファミリーコンサートにむけて少し無理やりではありましたがファミリー感を出したりしていますね。

e_e_li_c_a BTSが事務所の一強の存在だから、彼らが兵役に行くことを考えていろいろと準備をしているように見えますね。

ラブ子 絶妙なポジションの事務所を狙って吸収しているのが怖い事務所だなと(笑)。企業的戦略でガシガシ動いてる感じがしました。

――SMエンターテインメントはいかがでしたか?

ラブ子 SMは珍しく乱れた1年だったかと(笑)。2020年の後半にaespaのデビューやNCTの活動がいきなりぶち込まれたイメージがすごいありました。ひとつひとつのビックプロジェクトが、事務所の中であっちにいったりこっちにいったり。

DJ機器 NCTのアルバム『THE 2ND ALBUM RESONANCE Pt.2』が、印刷ミスにより発売延期になったりしました。いつも以上に無茶なスケジュールで制作していたんでしょう。

e_e_li_c_a スケジュールに関してはどこの事務所も新型コロナの関係で調整が難しかったのもあると思います。SMはここ1〜2年は特にグループ間でも印象を似せてきているのか、似てきてしまっているのか……。

DJ機器 ビジュアル面に関してはディレクターの趣味なのかもしれません。そういえばMARVELと絡むような動きもありましたが、SuperM然り、最終的には『アベンジャーズ』みたいなのをやりたいんですかね。

e_e_li_c_a ミュージックビデオの端々で、ほかのグループに繋がる謎のモチーフをいれてきたりするのも、その布石なのかもしれない。

ラブ子 ただ新型コロナの影響でアメリカなど海外展開ができなくなってしまいました。逆に日本では、地上波の歌番組に出演したりと一応、知名度を上げようという意図は感じました。

e_e_li_c_a もともとSuperMは東京ドームで公演をやる予定でしたが、それぞれのメンバーのグループやソロ活動などがあってしばらく音沙汰がなく、クリスマスか何かに挨拶の動画が突然公開されて、「そういえばまた続いていたんだ、このプロジェクト!」となりました(笑)。

――YGエンタはどんな動向でしたか?

e_e_li_c_a YGは事務所がバーニング・サン事件で一度足場が崩れてしまったから、その立て直しが大変な1年でしたね。ただTREASURE(トレジャー)は頑張っていますね。

ラブ子 そうですね、TREASUREのおかげで持ち直していると思います。マシホのおかげで株価も上がったので。でも国内でしっかり活動しているグループはTREASUREだけみたいな感じになっていますよね。あとは、ブラピン(BLACKPINK)。

DJ機器 BIGBANGも2020年にCoachella(コーチェラ)でカムバック公演の予定がありましたが、フェス自体が新型コロナの影響でなくなってしまいました。新しいアルバムのレコーディングに取り組むという話もありましたがどうなったんでしょうね……。

ラブ子 YGとJYPも、今年は手堅いというか、特殊な活動はしてないですよね。YGがブラピン、JYPはTWICEが目立って活動していたという印象でした。

――JYPエンターテインメントは、Nizi Projectによって日本での知名度が抜群に上がりました。

ラブ子 JYPは社長のJ.Y.Parkが一番目立っていました(笑)。こんなに社長の名前を聞いた1年は本当にかつてないことなのではないでしょうか。『スッキリ』(日本テレビ系)などに出演していたので、うちの母親まで「NiziUでしょ?」みたいに言い出して。

e_e_li_c_a 毎朝出ていたのは影響力として大きいですよね。

ラブ子 社長が偉人みたいなことになっちゃって。韓国の大統領よりメディアに出ていたと思います。

――今までKPOPファンの人が見てきたJ.Y.Parkと、今回で知った人の間で、彼に抱くイメージに乖離はありますか?

ラブ子 韓国では、自分もアイドル時代があったところを含めての「いじられキャラ」ですよね。

e_e_li_c_a たしかに、韓国だと自分が90年代から活動していたのが認識されていますからね。日本はそこの部分がすっぽりない。

DJ機器 K-POPのファンからしたら、いじられキャラなのになんで名言製造機みたいになっているんだと思っている人が多そうですよね。日本で注目されたのは、ああいう前に出てくるタイプのメンターみたいな人があまりいなかったのではないかと。ジャニー喜多川さんとかはあんまり表に出てくる感じではなかったですし、つんくさんのような立ち位置の人の席が空いたところに収まったようにもみえます。

e_e_li_c_a 事務所として気になる動きは、ITZY(イッジ)の「Not Shy」の英語版が出るんですよね。TWICE(トゥワイス)も最近、英語版楽曲を出していて。TWICEとかは今まで欧米圏よりも日本のが優先! って感じだったと思うんですけど、新型コロナのこともあって現地に行けなくても案外プロモーション出来るのかも? となって、ついでじゃないけど英語版楽曲を出してるように見えます。

DJ機器 TWICEは2019年には全世界9都市を巡回するツアーを開催していますね。「現地化」の足がかりを作りたいのかもしれないですね。

ラブ子 ワンガ(Wonder Girls)が米国進出に挑戦するも一度は諦めているからなのか、それ以降はグローバル向けのアイドルを養成するイメージがありませんでしたが、もしかしたら来年はガールズグループがグローバル路線にいくのかもしれないですね。

――日本でのJYPのイメージでは、NiziUが代名詞になったといえますが、K-POP風の日本アイドルという立ち位置をどう見ていますか? K-POPを聞いてきた人たちには違和感を持つ層もありますが。

ラブ子 K-POPファンとNiziUファンは、住み分けができているように思います。曲がりなりにもサバイバル番組出身の子たちなのでちゃんとスキルもあるし、JYPのDNAも感じますし、路線としてはうまくいっているのではないでしょうか。サバイバル番組自体は追わなかったのですが、デビューしたメンバーは可愛いし、「Make you happy」は、「世界中が夢見る日本のアイドル」みたいな感じじゃないですか。覚えやすいし。どこにも傷をつけない、角がないプレデビュー曲で。JYPって偉い(笑)。

DJ機器 「Make you happy」はいつもK-POPしか聞いてない人からすると物足りなさもあるんだと思うんですけど、いきなり「本格派グループ」みたいな打ち出しをされても、おそらくお茶の間には受け入れられない気はしますよね。個人的にはいい塩梅だなと思いました。

e_e_li_c_a 楽曲としてはTWICEの日本語曲と印象が近いところがありましたね。あとはデビューEPを聞くと、ラップがうまかったんです。日本で売ってくことを考えるとダントツなのではないでしょうか。

――「世界中が夢見る日本のアイドル」という言葉が出ましたが、それは日本人が考える日本の女性アイドルとは違うところがあるんでしょうか?

ラブ子 「海外から見た日本」という感じでしょうか。ハロー!プロジェクトやAKBグループはもっと変則というか、サウンドにもロックマインドがあると思っています。「Make you happy」に関しては「K-POPのひな型を使ったJ-POPっぽいもの」という、恐ろしいバランスになっている。日本のアイドルでJ-POPかと言われるとちょっと違う気もしますが、かと言って「K-POP」かと言われると難しいですよね。デビューして、全員が揃った次の曲が大事になってくるのではないでしょうか。

DJ機器 あとは新型コロナでコンサート等の現場がないから、どれだけお金を使ってくれるファンがついているのかもわからないですよね。ファンが若年層に集中しているような気もするので、NiziUカフェみたいなものをやったら来場者は多いとはと思うのですが。

e_e_li_c_a 確かに、コラボカフェ開催したら小中学生がたくさん押し寄せそうですね。ただ、コンサートをちゃんと開催する際に、一人では来られない層が多いので集客がわからないですね。

ラブ子 その点で、TWICEは本国の活動から応援しているファンが流入しているから、ガッツリ追う人、お金を落とす人が多いイメージがあります。

DJ機器 TWICEの東京ドーム公演に行ったのですが、親子で来ている人が多いし、普通に中年男性グループが客席にいるのが衝撃的でしたね。K-POPアイドルの初来日公演等だと明らかに服装や雰囲気などで「K-POPオタクっぽい人」が多いのですが、TWICEはもう全然関係なく色々な人がいるんですよね。

ラブ子 日本の現場でカメラの金額と腕力を活かせる現場ってそれほど多くないから、中年男性はハマっちゃうんだと思います。財力もありますし。ただNiziUは……あんまり、そうならないでほしいところもあるかな(笑)。やっぱり若い子に支持されてほしいですよね。あとはTWICEの妹分で、ITZYとも住み分けができているので、JYPとしても動かしやすいグループなのではないでしょうか。

 ボーカルやラップのスキルもあるのでもっとダークな雰囲気の楽曲もこなせるはずですし、そのような激しい楽曲も日本ではE-girlsなどの前例があるので、受け入れられる間口はあると思います。

――男性アイドルでいうと、JO1もK-POPコンテンツを輸入した形の存在です。吉本興業と韓国のCJ ENMが共同出資した事務所というのも新しかったですね。

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e_e_li_c_a 12月にあった、JO1の1stオンラインコンサートに対して「メンバーたちは頑張っているのにその努力を形にしてくれる人がいない」という、運営への不満を見かけました。

ラブ子 自分にもファンの方から報告が来ました。「コンサートなのに10曲しかやらないんですけどどういうこと?」とか「吉本燃やしていいですか?」という……。

DJ機器 単純に予算の問題な気もします。国によってエンタメに対しての力の入れ具合やリソースが違いますからね……。楽曲に関しては、リファレンス元がなんらかの「K-POP楽曲」で、一次ソースの楽曲を直接参照していないように感じました。K-POPっぽいことをしようとしているのではないかと思うのですが、コアな側面というよりも表面をなぞっている感じがして個人的には物足りなさを感じました。

ラブ子 そうですね……。ちょっと前の「K-POPっぽさ」を楽曲にしている感じはありますね。あえてNiziUと比べると、Nizi ProjectはJ.Y.Parkが個人のスキルを見ながらパフォーマンスを重視する「実力派」サバイバルグループ。一方、JO1は日プ(『Produce101 Japan』)という、大半の練習生が歌もダンスも未経験の状態で集められたサバイバル番組出身なので「実力派」とは違うのかなと。

e_e_li_c_a ただ売り方として、「グローバルボーイズグループ」とか「世界を目指す」的なことを打ち出すので違和感があるのではないでしょうか。

ラブ子 ファンや周りで遠巻きに見ている人が引っかかっている部分は「世界狙いなら、もっと育てるところがあるんじゃない?」とか、「楽曲もだんだんレベルアップしていってもいいんじゃない?」というところだと思うんですよね。ここから認知度、パフォーマンス、ビジュアルのクオリティもどんどん上がっていくという成長物語を見せてくれるなら自分は楽しいかなと。ただ、日本の芸能界における立ち位置で考えると、ジャニーズとLDHの中間的の存在としてJO1というアイドルがいてもいいんじゃないかと思っています。バラエティも出るし、楽曲も歌うという路線は、日本では間違っていないと思う。

DJ機器 日本で男性アイドルの本格派だと、LDHや三浦大知さんというパフォーマンスが強い存在がいるので、いきなりそういう人たちと比べられてしまうと大変ですよね。

ラブ子 でも、K-POPのコアなファンの中には、JO1がそこで止まっちゃうんだったら……と、揺れ動いている人がいるのかなと。それが1stコンサートへの不満につながったのかもしれません。でも、実績というか売れていらっしゃるから、よろしいのでは。売れればいいんじゃない?

e_e_li_c_a 『Produce101 Japan』は2も決まりましたしね。それも、きっと良い商売だと思ったから2をやるわけで。

DJ機器 メンバーやプロダクション側にお金が入ってくると、制作面でもさまざまなことが実現できたり解決できたりしますからね。

――K-POPは毎年、脱退者や活動休止などが多発していて、その理由に過酷な労働環境がよく語られていますよね。それこそ奴隷契約と揶揄されるような状態ですが、この問題は、今後どう解消されるのでしょうか?

DJ機器 お国柄はあると思いますね。兵役がある国ですから……。

ラブ子 「2年だったら兵役も我慢できるだろう」という感覚が備わっているので、時限をつけたものはちょっと体を壊しても頑張りきる! みたいな発想につながっているような気もします。

e_e_li_c_a これって、日本の企業でも同じような風潮があると思っていて。法令を違反してても、そういう雰囲気がないから有給が取れないみたいな。

ラブ子 現場の人たちもみんな、「それが芸能活動でしょ?」みたいなことになってしまっていると思うので、一度その歯車が動き出してしまうともう止められないのがエンターテインメント業界の闇というか。でも、私は韓国のアイドルビジネスの収益構造をわかっているわけじゃないから、やめろとも言えないです。そのサイクルを止めたことによって、結局アイドルたちの収益がなくったら、アイドルも生活ができなくなる。

e_e_li_c_a でもそれって商売として成り立ってないということじゃないですか。結局、無理して成立させてるものは長くは続かないし、体調を崩したりする原因にもなる。

ラブ子 成り立たせちゃいけないという意識を、エンタメを享受している側も、ある種の搾取になっているという構造を胸に置いておいたほうが健全なのではないでしょうか。あとは、メンバーが傷ついたら、事務所とファンが守る。

DJ機器 年々、素行監視が厳しくなっているようにも感じますね。ものすごいハードスケジュールで働いて、外で遊ぶこともできないし、私生活でも気が抜けない。スタイリストにブチ切れて毛布を投げつけたくなる気持ちもわかりますよ(笑)。

ラブ子 本当にそうなりますよ。だって、あんな過酷な練習とスケジュールをこなして、それで何か起きたときには本人が叩かれるんだから、事務所が守ってあげないと。海外のファンからエデュケーションを受ける流れがあったり、グローバルな視点を求められながら働かなきゃいけないのに、働き方はブラックって……(笑)。

e_e_li_c_a コロナ禍で少しはスケジュールに余裕が出るかと思いきや、オンラインライブなどで収録現場が増えているグループもあったり、接触を減らすためにより変な時間に稼働しているようにも見えますね。ここ1〜2年ぐらいは昔に比べて休業するケースが増えてきているような気もしますね。

DJ機器 ただ、逆に休みたいと申告したら休ませてもらえるようになったんだなとは思いますけどね。

ラブ子 私はそれならカムバもやめてねと思いますけど。グループの人数を減らしてまでやる必要はない。そういえばイドン(Triple H)とヒョナ(同)は全然カムバしないですね。あれぐらいの働き方で食えているんだったら、健全じゃないですか?

e_e_li_c_a その2人はP NATION(ピーネーション)と契約したことが大きいんじゃないですかね。

DJ機器 カンナムスタイルマネーが……(笑)。

ラブ子 P NATIONか!JessiもP NATIONでしたっけ? Jessiは年末すごく頑張ってるじゃないですか。

DJ機器 CrushもP NATIONですしね、やはり原資が豊富だと余裕があるんですよ。お金がもっといろいろなところに回ってほしいですね、本当に(笑)。

ラブ子 今年はP NATIONに注目ですね(笑)。

――続きは1月4日公開!

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