世界初か “小人症”のキリンがウガンダとナミビアで発見される

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2021年01月09日 04:12  Techinsight Japan

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通常個体の半分ほどの大きさのキリンが見つかる(画像は『Travel + Leisure 2021年1月7日付「Take a Minute and Enjoy This Tiny Dwarf Giraffe Named Gimli」(CREDIT: EMMA WELLS/GCF)』のスクリーンショット)
大小2頭のキリンが並ぶこの写真に親子と思う人が大半と思われるが、実はどちらもほぼ成体のキリンだ。研究者によると骨格異形成により脚の骨の成長に異常があり、成体にもかかわらず小さな個体になったという。野生動物ではレアな症状で、キリンの中では世界で初めての発見ではないかと言われている。『Travel + Leisure』などが伝えた。

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学術雑誌『BMC Research Notes』に先月30日、通常個体の半分ほどしか背丈のない“小人症”を発症したと見られるキリンについての論文が掲載された。

キリン保全基金「Giraffe Conservation Foundation」と米スミソニアン保全生物学研究所「Smithsonian Conservation Biology Institute」で研究員をしているマイケル・バトラー・ブラウンさん(Michael Butler Brown)は2015年12月15日、ウガンダの国立公園「Murchison Falls National Park」でこの小さなキリンを発見した。マイケルさんは「最初に見つけたときは信じられず、思わず二度見してしまいました。キリンの首から上をウマに付け替えたような見た目でしたね」と話している。

このキリンは映画『ロード・オブ・ザ・リング』に出てくるドワーフ(小人)から名前をもらい、“ギムリ(Gimli)”と名付けられた。発見当時は子どもだったギムリの首の長さは普通だったが、脚の部分が他のキリンと比べて明らかに短かったという。

これは骨格異形成によるもので、マイケルさんは「はっきりとしたことは分かりませんが、遺伝子異常により発生したものと思われます」と推測する。野生動物の中では希少な例で、捕獲されたキリンでも確認されたことがないため「キリンの中では初めての発見かもしれない」とマイケルさんは明かしている。


またマイケルさんは2018年5月10日、ナミビアのプライベート農場で骨格異形成を持つアンゴラキリンを発見し、“ナイジェル(Nigel)”と名付けた。

マイケルさんは観察を続け、成体の直前期である亜成体となった2頭のサイズを写真測量法(レーザー光線により対象物の距離を測定し、実際の大きさを算出する方法)により計測した。すると通常のキリンの体長である14〜19フィート(約4.2〜5.7メートル)に対し、ギムリは9フィート(約2.7メートル)、ナイジェルは8.5フィート(約2.6メートル)と約半分ほどのサイズだったという。

キリンの足の骨はつま先の方から趾骨(Phalanx)、中手骨(metacarpal)、橈骨(radius)に分けられるが、ギムリは趾骨が正常個体とほぼ同様でナイジェルは平均よりも著しく短かった。中趾骨と橈骨は2頭とも平均以下の結果となった。

そしてほぼ同じ長さに見えていた首は、ギムリが正常個体の平均よりわずかに長いという事実が判明した。

今回の2頭の発見により、研究者たちは「キリンにも“小人症”が発現する」という結論に至ったという。ただし骨格異形成が健康に異常をきたしている様子はなく、他の通常個体と同様に生き延びるだろうとされている。

画像は『Travel + Leisure 2021年1月7日付「Take a Minute and Enjoy This Tiny Dwarf Giraffe Named Gimli」(CREDIT: EMMA WELLS/GCF)』『Springer LINK BMC Research Notes 2020年12月30日付「Skeletal dysplasia-like syndromes in wild giraffe」(Michael Butler Brown and Emma Wells)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)

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