室井滋が強烈なおばば役に「モデルにした怖〜いおばあちゃんがいます」

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2021年01月14日 16:22  女子SPA!

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女子SPA!

写真室井滋さん
室井滋さん
 1918年に富山の漁村から全国へと発展していった史実「米騒動」を題材に、強い女性“おかか”たちの姿を描いた映画『大コメ騒動』が公開中です。井上真央さん主演の本作で、“おかか”たちのリーダー的存在である“清んさのおばば”を、存在感たっぷりに演じた室井滋さんに単独インタビュー。2回に分けてお届けします。

 舞台である富山出身の室井さんから、本作についてはもとより、地元時代に培った、現在の女優業・文筆業へとつながる、お父さんとのステキなエピソードなどを聞きました。

◆地元富山の運動会には「米騒動」という競技が

――「米騒動」と言葉では知っていますが、正直、どんなことがあったのか、知りませんでした。室井さんは富山のご出身ですね。

室井滋さん(以下、室井)「地元の人間もそうですよ。それに正直、あまり後世に語り継ぎたい名誉なことだとは思われていなかった。一揆を起こした、しかも女だてらにってね。昔だから。ただ、運動会では“米騒動”という競技はありました」

――地元ならではですね。

室井「俵をふたりで担いで一緒に走って、次の人にバトンタッチするリレーとか、俵を転がして旗のところで周って戻ってくるとか。そういう競技はありましたね。それから地元ならではというと、“米騒動”という名前のお酒もありますね。でも、言葉としては有名だけれど、当時どんなことがあったのかは、地元でも知らなかった。

 もちろん詳しく調べている方はいらしたし、ドキュメンタリーなんかもありますが、こんな風にエンターテインメントの映画にして、全国に公開するなんてことはなかったですよね」

◆幼少期に見た魚売りのばあちゃんをモデルにした

――室井さんが演じた“清んさのおばば”は強烈なキャラクターでした。本木(克英)監督も風貌を見て驚かれたとか。

室井「あはは! そうですね。脚本を読んだときに、おばばが登場すると、『うわ!おばばが来た!』とどよめいたり、『ヤバイ、ヤバイ』という怖さがあるような表現があったので、相当みんなから怖がられているリーダーで、迫力がなきゃいけないと思いました。

 体も普通サイズの私が、この迫力をどう表現しようかというのは考えましたね。年寄りの役でもあるし。そんなとき、私自身が子どもの頃に出会った魚売りのばあちゃんのことを思い出しまして、あの人がいいと」

――モデルがいらしたんですね。

室井「魚を売ってらっしゃったから、臭いも強烈で。泣き虫の私をいつも叱り飛ばすような怖いばあちゃんでした。見た目も、髪を振り乱して赤胴色に日焼けしてますし、子どもには本当に怖かった。そんな話を監督にしたら、なるほどと。

 それから、“清んさのおばば”も浜の行商をしているので、余ったものを“おかか”たちに分けてあげたりするという設定にすれば、ただ怖いだけじゃない、みんなのリーダーとしての説得力も出るだろうと」

◆父と交わしていた「感想ノート」

――確かに怖いだけの存在ではありませんでした。室井さんも富山の女ですが、地元で作り上げられたものはありますか?

室井「富山というか、田舎で育ったことはとても良かったですね。それから、子ども時代に培ったものといえば、やはり父からの影響です。私は中学のころは軟式テニス部で、高校は陸上部だったから、演劇には関係なかったんです。

 小学校の高学年で両親が離婚して、祖母と父と3人で暮らしていましたが、夜は父が仕事でいなかったりして、祖母とふたりで時間を持て余していました。だから、部活が終わってからの時間帯に、お芝居や映画を観に行っていたんです」

――そうした日々が栄養になっていたんですね。

室井「そうですね。父も悪いとは言わず、そうしたことに使うお金はお小遣いとしてくれてたんです。感想ノートがあって、『何月何日にこの映画を観た、この芝居を観た』と半券を貼って感想文を書いて提出すると、その分のお小遣いをくれるんです。本もそうでしたね。『この本を読んで、こう感じました』と領収書を貼って、感想文を書いて父に渡す」

――ええ! めちゃくちゃステキですね。現在の女優業にも文筆業にも確実に繋がってますね。

室井「そういうのがなかったら、女優には目覚めてなかっただろうし、文章についても、昔から国語はすごく好きで作文の賞ももらったりしていて、自然に書いてましたね。むしろそのころ書いていたものと、今と、能力的には変わらないと思う。あはは!」

◆これまでの出会いが自分を守ってくれている

――子どもの感性ですし、今読んでも絶対面白いですよね。

室井「土蔵には残ってるかな。父との交換日記という意味でも大切なものですね。今になって父がすごいと思うのは、夜に出かけたりしていても、『出かけるな』とか『もっと勉強しなさい』とか言うことはなかった。逆にそのノートを通じて、年頃の娘の行動や思考を把握できてたんだと思います。灯台の明かりじゃないけど、遠くから見守っていてくれたんだなと」

――本当にその通りですね。

室井「女優になった理由もきっとそんなところにあるし、父だけでなく、これまでのいろいろな出会いが自分を守ってくれていると感じます。今回の映画にしても、10年以上前に、そういえば、これもばばあ(砂かけ婆)をやらせていただいた『ゲゲゲの鬼太郎』の頃から、企画を考えていると本木監督が話されていて、故郷の大切な話を撮れるのは監督だけだからぜひやってほしいと話してたんです。

 それをこうしてきちっと撮られて、しかもそこに出していただいた。本当にありがたいと思っていますし、みなさんにも観ていただきたいですね」

(C) 2021「大コメ騒動」製作委員会

<文・写真/望月ふみ>

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。
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