動物病院の入り口に、連日下痢状のうんちをしている君へ…ご飯はちゃんと食べてる?先生は治してあげたいよ

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2021年01月16日 17:30  まいどなニュース

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写真あのー、ここは病院の入り口なんですけど。
あのー、ここは病院の入り口なんですけど。

ある日のこと、道路から当院敷地に入ったすぐのところ、通路の真ん中に、とても大きなうんちがあるのを見つけました。しかも下痢。ものすごい悪臭だったので、すぐに片付けました。

【写真】あら!犬じゃなかったのね!

それから数日後に、今度は歩道脇の草むらに、やっぱり大きな下痢便が。その後も下痢便は延々と続きました。ときには連日、あるときは数日開けてまた…。

多少便の状態が良くなってきたときは『良かったぁ〜』と思ったのもつかの間、翌日にはドロドロに逆戻り。2〜3日雨が降ったときには、見当たらなくなることも。犯人は誰なのか…私は妄想にふけりました。

分量は人間並みに多く、しかも通路の真ん中や歩道脇の草むらにしていて、土をかけようとした痕跡はありません。犯人は(まさか人間じゃないので)『犬』あるいは『猫』、または『野生動物』を考えましたが、場所とサイズから、『犬』であろうと推測しました。

近所の誰かの飼っている犬が下痢をしたので、『ここ動物病院やし、ここで出したら治るんちゃうか』という考えで、真夜中もしくは早朝に、病院の敷地内で自分の犬に排便させている…私はそんな妄想にはまってしまいました。

もしかして、その近所のどなたかは、私のSNSをチェックしている人かもしれない…そう思った私は、以下の文章をSNSにアップしました。

         ◇          ◇

【夜中に当院の敷地で下痢便をしているワンちゃんへ】

君はすでに2週間も下痢をしているね。お腹は痛くないのかな?食欲はあるの?飼い主さんに動物病院に連れて行ってもらったのかな?

もし連れて行ってもらってお薬も飲んでいるのにもかかわらず、あんなに臭いドロドロ下痢が続いているのであれば、ちゃんとしたごはんに替えてもらった方が良いよ。

ちゃんとしたごはんとは、スーパーに売ってるポリポリじゃなくて、生鮮コーナーにあるお肉のことだよ。

もう2週間も下痢便してるから、先生は治してあげたいと思っているよ。

うちの病院に来て欲しいなぁ…

        ◇          ◇

…しかし、SNSにアップしても全く『置きうんち』は減少せず、私は相変わらず、朝の下痢回収に追われました。知人にイラストを描いてもらい、『排泄物の後始末をしてね』といったポスターも貼りました。

その後…以前より設置したいと思っていた、防犯カメラを設置しました。商品が手に入らないなどのアクシデントに見舞われ、この下痢便事件が始まってからおよそ2カ月経ったころでした。

なんと、設置された初日に、さっそくありました。

私はすぐに録画を確認しました。きっと真夜中だろうからと、22時から翌日午前4時までの画像を確認しましたが、何も映っていません。21時、20時、とさかのぼり、見つけたのは…野良猫がフェンスを乗り越えて草むらでしゃがむ姿でした。

そう、犯人は猫!…当院の周りをうろついている猫のうちの一匹でした。しかも、この猫は全く人慣れしておらず、私が近づくと跳んで逃げていく子でした。私は、脱力しました。そして、その猫のことを想いました。

野良猫の生活は楽じゃありません。お腹が空いたときにすぐに食べものにありつける訳ではなく、ときにはゴミ箱をあさり、何日も食べられないこともあるでしょう。雨風や雪があれば、食べ物の捜索は中断されます。冬は暖を取ることも出来ません。当院周囲は古い街並みで野良猫の多いところですが、多くの猫は、2〜3年で見かけなくなります。つまり、寿命がそのくらいなのでしょう。

いつまでも治らない、有り得ないくらい臭い下痢には、ときにはラップやプラスチックの破片が混じっていました。こんな食生活では、良い便が出る訳ありません。ちゃんとしたごはんを食べていないのでしょう。

スタッフに、便をする場所に猫が寄り付かなくなるような液を撒いて置けば良いのでは…と言われましたが、そんなことをしたらその猫は別のところで排便するようになるでしょう。その敷地の住民の怒りを買えば、その猫は捕獲されてセンター送り、あるいは虐待されるかもしれません。

それならば、私が毎日病院入り口のお掃除を兼ねて、便の処理をした方がいいと考え、されるがままになっています。

最近、寒くなり、便が無い日が1週間続くと、とても心配になります。地域猫を管理しているボランティアの方とも相談しました。近く捕獲して、去勢と耳カットをする予定です。

地域猫のことで問題になる多くは、この排泄物です。さらに、どんどん生まれる子猫たち…平成30年度の環境省の統計では、猫の殺処分数は日本全国で1年で3万757匹と公表されています。そのうち、生まれてすぐの乳飲み子の殺処分数は 2万234匹、65%にものぼります。つまり、この世に生まれてもすぐに殺される命が、年間およそ2万匹もいるのです。

この悲しい命の連鎖を止めるため、地域の家無き猫が増えない様に…TNR活動を皆で応援しましょう!(T=TRAP(つかまえる)、N=NEUTER(不妊手術する)、R=RETURN(元の場所に戻す))

(獣医師・小宮 みぎわ)

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  • 誰でもお金を出せば犬や猫を買って、どんな下衆の極まった人間でも飼い主になれてしまう恥ずかしい国、日本。
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