楽天の“コロコロ指揮官交代”に問題はない? 石井新監督は結果で証明できるか

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2021年01月17日 16:00  AERA dot.

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写真今季からGM兼任で楽天を指揮する石井一久新監督 (c)朝日新聞社
今季からGM兼任で楽天を指揮する石井一久新監督 (c)朝日新聞社
 今年から楽天のGMと現場の指揮を兼任する石井一久新監督。GM就任から大胆な補強戦略などが注目を集めているが、一方でファンからその手腕に疑問の声も上がっている。

 その中には「監督を交代しすぎて戦い方が統一できないのでは」という意見も多い。短期間での監督交代など、積極的な血の入れ替えという方法は間違っているのだろうか……。

「GMに就任した時から、私の使命はこのチームを常勝チームにすること、また骨太のチームにすることが大事だと肝に銘じてやって来たので、監督になってもそのスタンスは変わらずやって行きたいと思います」(石井GM兼監督)

 11月12日、楽天GMの石井が兼任で監督に就任することが発表された。18年9月のGM就任から大型補強と監督交代を繰り返した。ここまで結果を出せていなかったため、石井の兼務に関しては賛否両論が巻き起こった。

「石井GM兼監督の方法は一石を投じるもの。現役時代から独特の価値観を持ち、自分が正しいと思ったことは周囲に何を言われても気にしない。ノーヒッター直前なのに自ら降板を申し出たり(97年9月2日の横浜戦)、02年のメジャー挑戦にも驚かされた。だが石井は様々なことを考えて出した結論を遂行しているに過ぎない。『新参者球団が成り上がるには、ドラスティックにやるしかない』と口にしていたこともある。知っている人からすれば、いつものことだと感じているはず」(ヤクルト時代から知るフリーライター)

 まずは補強を繰り返し、選手層の底上げと競争心を煽った。18年オフには西武からFAとなった浅村栄斗、昨オフもロッテから鈴木大地が加入。他にも元西武、ロッテの涌井秀章をトレードで、さらにパドレスから自由契約になっていた牧田和久、オリックスで結果を残した助っ人のステフェン・ロメロの獲得にも成功した。

 また選手とともに監督人事でも積極的に動き、19年は前年途中から監督代行として指揮を執った平石洋介を続投させ、3位でCS進出を果たしたが解任。翌20年には、2軍監督だった三木肇を指揮官に据えたが、前年を下回るBクラス4位と結果を残せず。2年連続で就任1年目の監督を交代させ、自らが監督に就任することになった。

「僕が監督をやることの良さは外部から新しく入る人とは違い、2年間チームを見て来たものをそのままチームに移行できるということだと思うんですね。そこを球団と僕が望みました。監督になったら、この選手はこういうシチュエーションで使ったら力を発揮する選手だなとか、そういう見方は生かせると思います」(石井GM兼監督/12月14日付 Number Web)

 19年はAクラス入りしながら、「僕の中では3段階に分けたらBクラス」という判断での監督交代だった。しかし豪華戦力で臨んだ昨年は最後まで歯車は噛み合わず、結果的に4位に後退した。

 監督を毎年コロコロ交代することに批判も集まっているが、現場の選手には影響はないのだろうか。

「選手を含めた現場は、監督の交代を気にしていない。核となる選手は代えず、新監督の色を出して行くことがほとんど。選手も自分自身が結果を残すことが、自らの給料にも跳ね返って来ることはわかっている。個々の結果が積み重ってチームワークになり勝利につながる。選手は置かれた環境で結果を出すだけで、監督が誰であろうが関係ない。しかもチームを編成し環境を作った本人(=GM)が監督になれば、もっとわかりやすい」(セ・リーグ球団OB)

 選手は自分自身が結果を残すことに注力する。プロ野球選手が個人事業主と言われる所以でもあり、それがチームの勝利にも繋がって行く。かつてイチローも同様のことを語っていた。どちらかというと個人競技の要素も強い野球では、監督が代わっても選手自身が自分のプレーをすれば、結果に繋がっていくことも大いにあり得る。

 また石井自身、『GMの役割はオーナー対応』という考えを持っている。楽天の場合、三木谷浩史オーナーの意向に沿い、石井GMがチーム構想を描いて選手を集める。その下で現場の采配を振るうのが監督というトップダウン的な発想だ。監督の方針ありきで選手を集めたわけではないため、監督が交代しようがチームの戦い方に大きな影響は及ばない。

 逆に予め時期監督候補を決めておく方法もある。1軍監督就任へ向け、2軍監督などから指導者経験を積ませる。過程では将来の主力となる若手選手への英才教育ができるメリットもある。

 しかし球団内の方針やパワーバランスが崩れると、プラン全てが水泡に帰す危険性もある。現在迷走中のオリックスが典型だ。

「1軍監督は田口壮が既定路線だった。2軍で経験を積み、数年1軍ヘッド格をやって監督という流れ。しかしチームがあまりにも勝てないことでブレが生じた。西村徳文前監督がシーズン途中で辞任。シーズン中での監督昇格はさせられない状況下、中嶋聡監督代行を据えた。しかしチームの低迷は酷く、田口コーチの責任問題まで出て来たため、多少の時間が必要となった。もしかすると従来のプラン自体、再考される可能性もある」(関西テレビ局スポーツ担当)

 田口は選手時代にオリックス(当時はブルーウェーブ)で優勝経験があり、メジャーでもカージナルス、フィリーズと2チームで世界一になったレジェンド。16年から2軍監督、19年からは1軍野手総合兼打撃コーチと着実にステップアップしていた。しかし昨年、チームは早々と最下位に低迷し、西村監督が8月20日で辞任。流れが大きく変わったと見られ、21年から外野守備走塁コーチと立場的には格下げとなった。

『監督在りき』のチーム編成は、オリックスのような不慮の低迷時に大きく揺らいでしまう危険性がある。

「結局、結果が出れば成功になる。楽天は野村克也、星野仙一という知名度抜群の監督を招いた。2人は東北地方とは何の縁もゆかりもない。就任時は大きな反対意見が出た。それが今では楽天を成功へ導いてくれた救世主のような扱いをされる。石井も現在は叩かれているが、結果を出せば手の平返しで英雄扱いされるはず」(セ・リーグ球団OB)

「物事の変化をもたらす時に、勇気や覚悟を持つことはすごく大事なことなので、何を言われようがブレずに邁進して行くことが大事だと考えています」(石井GM兼監督)

 いつも飄々としていて笑いをとる。熱い言葉を発することのない男が、公の場でここまでの決意表明をした。それ相応の準備をしているのは想像に難くない。短期間での監督交代は気まぐれでも何でもなく、中長期視点でのマイルストーン。大きな結果につながりそうな気もする。









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このニュースに関するつぶやき

  • いっそのこと、三木谷浩史が監督やればいいのに。
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  • 監督って中間管理職っぽいもんね。
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