【新車のツボ172】スバル・レヴォーグ。旬なハイテクだけじゃない。地力が魅力のイヤーカー

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2021年01月17日 17:11  webスポルティーバ

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 もう旧聞に属する話になってしまったが、2020年の年グルマともいうべき"2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤー"は、スバルの新型レヴォーグが獲得した。かくいう私も同賞選考委員として、そのレヴォーグに10点満点を投じさせていただいた。

 いまのクルマ業界における二大トピックといえば、"電動化"と"自動運転"だ。とくに電動化は、昨年末から世間を騒がせている"最旬"のテーマだが、新型レヴォーグは残念ながら(?)、電動化のカケラもない純エンジン車である。今回の日本カー・オブ・ザ・イヤーでも、レヴォーグ以外の有力候補はなにかしらの電動化要素をもつハイブリッド車だったことを考えると、この点は、ちょっと時代に合っていない感があるかもしれない。

 いっぽうで、レヴォーグは高速道路でステアリングから手をはなした"ハンズオフ走行"が可能な1台である。もっとも、ハンズオフが可能なのは「前走車アリで車速が50km/h以下となった渋滞時」にかぎられて、その間もドライバーはきちんと前方を見ている必要がある。よって、厳密には"運転支援"の域を出るものではないが、現時点で屈指の「自動運転に近いクルマ」であることは間違いない。

 そのハンズオフ走行は、レヴォーグで初登場となった"アイサイトX"の機能の一部である。アイサイトXは従来のナビ用の2Dマップとは別格の"高精度3Dマップ"のデータを使って走るのがツボだ。高精度3Dマップは普通の2Dマップ情報に加えて、車線数や傾斜、立体交差、分岐・合流路の形状まで細かにデータ化されており、将来的な本物の自動運転に不可欠なものとされる。

 高精度3Dマップに周囲の交通状況を感知するレーダーやステレオカメラからの情報も融合して走るアイサイトXでは、ウインカー操作で作動する半自動車線変更や、カーブや料金所手前での自動減速など、ハンズオフ走行以外にも近未来の自動運転に通じる機能がテンコ盛りである。このアイサイトXが、新型レヴォーグのカー・オブ・ザ・イヤー獲得の最大の原動力になったことは間違いない。

 新型レヴォーグでは全グレードに、このアイサイトX装着車を用意していて、価格は非装着車比で一律35万円高。アイサイトXの内容を考えれば35万円を高すぎるとは思わない。しかし、新型レヴォーグの場合、アイサイトX装着車でなくても、緊急自動ブレーキ機能や全車速対応の追従機能付きクルーズコントロール、車線維持機能などを備えた"新世代アイサイト"が標準装備となる。

 新世代アイサイトの基本機能は、新型レヴォーグに最初から備わっている最新のレーダーやステレオカメラによるものだ。たとえば、緊急自動ブレーキでは交差点での出会いがしら事故や、歩行者や自転車の横断事故の回避能力が飛躍的にアップしているのも、新型レヴォーグの大きな特徴である。また、高速での追従クルーズでも、"X"のようなハンズオフ走行や半自動車線変更はできずとも、ピタリと直進して、車線維持アシストは自然そのもので、追い越しをかけるときも車線変更と同時にジワリと絶妙に加速しはじめる。リアルな交通環境で、自分の運転がうまくなったと錯覚するほどきれいに走る。

 それに、新型レヴォーグは最上級モデルにスバル初の電子制御可変ダンパーも搭載しており、あるときは高級サルーンのように柔らかく、同時にサーキットなどではスポーツカーを蹴散らすくらい鋭く走る二面性をもつ。これもまた、このクルマが高く評価された点のひとつだが、電子制御可変ダンパーをもたない普通のモデルでもすこぶる走りがいい。

 写真の新型レヴォーグも可変ダンパーをもたない"GT-H"というグレードだが、街中のようなごく低速でこそ少しゴツゴツするものの、車速が60km/hに達するあたりから、まるで血が通い出したかのように、サスペンションが生き生きと動き出す。ツギハギだらけの悪い路面を高速で通りぬけてもスイスイとしなやかに吸収してくれるし、コーナリングは正確無比......でありながら、乗り心地そのものはゆったりと大人っぽい。その高度にバランスした乗り味には本当にホレボレする。

 電動アシストがつかないエンジンも、燃費こそイマイチだが、軽快に回るフィーリングは文句なし。それに組み合わせられる変速機もほぼ新開発で、運転手の気持ちを正確に読み取って、微妙な速度調整もピタリと決まる。

 これらのツボは、新型レヴォーグが基本フィジカルから優秀な証拠だろう。フルインナーフレーム構造という凝ったボディ設計や、新開発1.8リッターエンジンなど、基本設計からしてスバル渾身の技術が満載なのだ。新型レヴォーグは国内では実質的にスバルの最上級商品でもあり、内外装の仕立ても上質だ。

 このように基本設計から手間ヒマかけた感が強い新型レヴォーグは、装備がフルトッピングでない安価なグレードでも、本質的な満足感が得られるのが嬉しい。電動化や自動運転などのわかりやすい新機軸をぬきにしても、機械としてのクルマ本来の地力がすごいのだ。それこそが、新型レヴォーグが2020年の年グルマに相応しい最大のツボだろう。

【スペック】
スバル・レヴォーグGT-H EX
全長×全幅×全高:4755×1795×1500mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1570kg
エンジン:水平対向4気筒DOHCターボ・1795cc
最高出力:177ps/5200-5600rpm
最大トルク:300Nm/1600-3600rpm
変速機:CVT
WLTCモード燃費:13.6km/L
乗車定員:5名
車両本体価格:370万7000円

このニュースに関するつぶやき

  • スバル半導体不足のせいで減産というニュースが。ハイテクマシマシにしたせいでこんなところで足を引っ張られるなんてね(;´Д`)
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