デジタルの時代に足りなかった「何か」を秘めている単焦点レンズ

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2021年01月17日 18:00  AERA dot.

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写真Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 65mm F2 DG DN |Contemporary・f2.2
Panasonic LUMIX S5 + SIGMA 65mm F2 DG DN |Contemporary・f2.2
今のデジタルカメラの在り方に少し疑問を感じている写真愛好家は多いのではないか……。非常に精度の高い最新テクノロジー、そしてそれを後押しするような光学性能を有したレンズ群。それは紛れもなく、技術の進歩だし、それを必要とする人も「一部」いるのだということは明白だ。しかし、そこにすべてが向かっていく必要があるのか、そういうことを問いかけてくれるレンズがシグマの「I」シリーズだ。

【写真】シグマ「I」シリーズの作例をすべて見る

 このレンズ群のコンセプトは、まさしく「NEW OLD(ニューオールド)」だろう。3本のレンズを数か月使って感じたのは、そういう世界観だ。譲れない部分に関してはしっかりと「いま」を感じる光学性能を発揮。でもやりすぎることはなく、日常での使用を前提とした「余裕」を感じる。開放値も無理にf1.8やf1.4にせず、常用として使えるもっともおいしいf値を選択し、小型化を実現。フルサイズセンサー対応のレンズとしてはかなり小型な方に分類される。これだけ小型なら、Panasonic LUMIX S5との組み合わせでも十分に「お散歩カメラ」としても使える大きさだ。
 昨今では「小型」という言葉を使うとどうしても「軽量」という言葉で結びたくなる……。しかし、決して「軽量」ではない。そのことを十二分にフォローできる「質感」という満足度を手に入れたレンズなのだ。小型だけど、軽量化の追求するあまりチープには造りたくない……。そんな現場の声が聞こえてくるようだ。ミラーレスカメラが主戦場に上がりだしたときから、小型かつ軽量であることを訴求するあまり、大事な「コト」を見失ってしまったのではと感じることがあった。そんな違和感を解消してくれるレンズが筆者にとっての「I」なのだ。
 レンズの筐体には「全金属」を使用しているため、持つと少しひんやりとする。それこそが質感であり、決してネガティブなものではない。デジタル化されたことで、失ってしまったものは「こういうこと」なんだろう。カメラとレンズは今では高級品だ。こんな時代だからこそ、それはもっと急速にそういう方向になっていく。

 だからこそ、高級品としての品格と質感をカメラやレンズに求めることが、商品価値を上げていくことになる。価値が上がれば、人は「わたしは欲しい」という思考が働く。ポイントは「わたし」なのだ。みんながほしいものであれば、みんなが望むところを改良して満たしていけばいい。しかし、そうではないカメラやレンズは必ずしもそこを目指す必要があるのか……。シグマの「I」シリーズはその隙間を見事に突いている。だからこそ筆者は欲しいし、所有し続けたいと感じた。
魅了される写りこそレンズに求める個性

 妥協がないのは「筐体」だけではない。シグマの高度な光学性能を十分に感じる写りは健在。f値を明るくすることを目的としないことで、より実用性能あるf値での描写力はむしろ高いのでは……と感じるほどだ。もちろん、それぞれのレンズは開放値から使用しても全域でシャープ。背景コントロールのために絞り込むという意識で使うレンズだろう。そうでありながらも、開放値で使うとまるでオールドレンズのようなフレアやゴーストが発生。創作意欲を掻き立ててくれる。

 とくにポートレートにおいては、フレアやゴーストを「あえて」積極的に取り込んで、抽象的な印象を与えたりすることがある。撮影時に何かを伝えたいと強く思えば思うほど、このレンズ群は「お前の好きにすればいい」と語りかけてくれる。癖があるほど使い込む楽しさや達成感が生まれ、写真を撮ることが数倍楽しくなる。まさに優れた部分が特出していて面白い。
 作例のようなポートレート撮影時に気になるボケ味だが、これにも正直驚いた。開放値において周辺部分でもボケが「レモン型」になることはなく、きれいな円形を描く。積極的にマルボケを入れたくなるほどだ。それでいてシャキッとした中にも、どこか緩やかな描写をする。Panasonic LUMIX S5に新搭載されたフォトスタイル「L.クラシックネオ」との相性も非常に良かった。この組み合わせで使うことで、どことなく「昔ながらの写真表現」を感じて懐かしい。筆者が学生時代にフィルムカメラで、がむしゃらに撮影していた時の感覚が蘇る。

 また色乗りもよく、嫌みのない自然な表現をしてくれるレンズで、どんなレベルの層のユーザーが使っても満足できるものだ。筐体に絞りリングが付いているのも非常に使いやすい。「カチカチ」とした感触で回せるリングは、スチル撮影時において写欲を高めてくれる。数値を変えることで、少しずつ変わっていく描写に思わず「にやり」としてしまう。

 そして、SIGMA 65mm F2 DG DN |Contemporaryに関しては、ポートレート撮影には不向きかなと使用前は感じていた。筆者が標準と言われる50ミリをよく使用しているので、少し長いのではないかと感じていたからだ。ところが、実際に使用してみるとこれがなんとも心地のいい焦点距離で小気味よく使うことができた。85ミリよりも親近感の出る距離感がいい。50ミリでの撮影ほど被写体に寄ることがないため、この「ご時世」にもマッチングのいいレンズだと感じた。
 シグマの「I」シリーズは撮影することの楽しみとは……??ということを、再認識するために生まれてきたのではと思うレンズ。効率的でそつのない「マルチ」に使えるレンズばかりを求めていた我々にとっては、とてもセンセーショナルなレンズであることは間違いない。価格もかなりリーズナブルだし、一気に3本揃えることができそうな値段。このレンズ群を購入して、ぜひ「にやり」としながらシャッターを切ってほしい。

撮影・文/大貝篤史 モデル/COCORO

SIGMA 24mm F3.5 DG DN |Contemporary
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/cas/product/contemporary/c021_24_35/
※2021年1月22日発売予定

SIGMA 35mm F2 DG DN |Contemporary
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/cas/product/contemporary/c020_35_2/

SIGMA 65mm F2 DG DN |Contemporary
https://www.sigma-global.com/jp/lenses/cas/product/contemporary/c020_65_2/

このニュースに関するつぶやき

  • 俺は断然、単焦点レンズ派。なぜ皆ズームレンズばかり使いたがるのか俺には理解出来ない。
    • イイネ!2
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