オルンガだけじゃない。アジア各国が外国人Jリーガーを狙っている

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2021年01月19日 11:31  webスポルティーバ

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 昨季のJ1得点王と年間最優秀選手に輝いた柏レイソルのオルンガが、かねてから噂されていたカタールのアル・ドゥハイルに移籍。さっそく1月13日に行なわれたアル・サッド戦にスタメン出場を果たした。

 オルンガの冬の移籍については以前から規定路線とされ、その間、トルコのベシクタシュ、フランスのRCランス、スペインのエスパニョール、あるいはイタリアのクラブなど、複数のオファーが報じられていた。しかし最終的には、アル・ドゥハイルが柏に支払う推定600万ユーロ(約7億5000万円)とされる移籍金が、中東行きの決め手となった。

 これまでこの冬に海外への移籍が決まった外国人Jリーガーは、他に横浜F・マリノスからローン元のパルメイラス経由で中国の長春亜泰へ移籍したエリキ、名古屋グランパスから韓国のインチョン・ユナイテッドに移籍したオ・ジェソク、契約満了によりFC東京からFCソウルに移籍したナ・サンホ、同じく清水エスパルスからパトゥム・ユナイテッド(タイ)に移籍したティーラシン・デンダーがいる。

 それ以外は、ジオゴ・マテウス(川崎フロンターレ→フェロヴィアリア)、エヴェルトン(浦和レッズ→ポルト→ポルティモネンセ)、アレクサンドレ・ゲデス(ベガルタ仙台→ヴィトーリア)、ハイネル(サンフレッチェ広島→トンベンセ)と、いずれも契約期間満了による保有元クラブへのローンバック移籍にとどまっている(1月17日時点)。




 ちなみに、前述のオルンガ以外で移籍金が発生したディールは、推定約3億2500万円がパルメイラスに支払われるエリキの移籍に限られる。結局、今冬のマーケットも、外国人Jリーガーが、ヨーロッパではなく、中東もしくは中国のクラブに引き抜かれるという近年の傾向を踏襲した格好だ。

 そもそもこの傾向が始まったのは2005年、浦和からアル・サッド(カタール)に電撃移籍したエメルソンのケースに端を発する。2000年代になって以降、積極的な投資によって中東地域の各国リーグが急整備され、外国人選手が受け取る年俸がアジア地域のなかでずば抜けて高額になったことが、その背景にあった。

◆エメルソンはサルを連れて練習に。横浜で完結した壮絶サッカー人生>>

 また、2003年から大幅リニューアルによって拡大されたアジアチャンピオンズリーグ(ACL)の存在も、その傾向を後押しした。とりわけ最初のターゲットになったのが、ACLでの活躍によってアジア地域内でブランド化されたガンバ大阪の外国人アタッカーだ。

 2007年にサウジアラビアのアル・イテハドに移籍したマグノ・アウベス、2008年にUAE(アラブ首長国連邦)のアル・アハリに移籍したバレー、2009年にカタールのアル・サッドに移籍したレアンドロと、3年連続で中東マネーによる"強奪"にあった当時は、「ガンバ経由、中東行き」が、外国人Jリーガーのエリートコースとされたほどである。

 その後、2010年代に突入すると、今度は中国が国家的なプロジェクトの一環として、中国スーパーリーグの成長をバックアップ。各クラブが法外な金額で世界的に名の知れたスター選手を"爆買い"しはじめると、外国人Jリーガーの移籍先としても、中国のクラブが浮上するようになった。

 2015年に川崎から広州富力に移籍したレナト(現在は天津天海所属)、2018年に浦和から武漢卓爾に移籍したラファエル・シルバ、同年に武漢卓爾にレンタルで移籍した鹿島のペドロ・ジュニオール、あるいは昨年冬に鹿島から長春亜泰に移籍したセルジーニョなどがその例で、この冬も前述のエリキが中国に渡ったほか、セレッソ大阪のマテイ・ヨニッチの中国行きの噂も報じられている。

 中国スーパーリーグでは、政府が自国通貨の海外流出を防ぐように各クラブに支出抑制を指導しているため、今年から選手の年俸に上限を設けるサラリーキャップ制が導入された。これにより大物外国人選手の獲得が難しくなり、今後はさらに比較的安価で優秀な外国人Jリーガーを獲得する傾向に拍車がかかりそうだ。

 過去の歴史を紐解けば、外国人Jリーガーがヨーロッパのクラブに移籍し、成功を手にした例もいくつか存在する。

 その代表例が、2003年に京都パープルサンガからPSV(オランダ)に移籍し、その後もマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)で数々のタイトルに貢献した元韓国代表のパク・チソンと、2008年に東京ヴェルディからポルト(ポルトガル)に移籍し、2014年W杯にブラジル代表として出場したフッキ(現在上海上港に所属)だろう。

 その他、古くは1996年に鹿島からパリ・サンジェルマンに移籍した元ブラジル代表のレオナルド、1998年にガンバからカリアリ(イタリア)に移籍した元カメルーン代表のパトリック・エムボマ、2008年に徳島ヴォルティスからヤングボーイズ(スイス)に移籍し、その後はCSKAモスクワ、ローマ、ニューカッスル、スポルティングなど数々のクラブを渡り歩いた元コートジボワール代表のドゥンビアなどが、Jクラブからヨーロッパのクラブに移籍した成功例として挙げられる。

 ただ、全体から見れば「Jリーグ経由、ヨーロッパ行き」を成功させた例は圧倒的に少ないのが実情だ。その大きな理由のひとつは、ヨーロッパのマーケットには外国人Jリーガー以上に安価で可能性を秘めたダイヤの原石がゴロゴロしているためで、あえて遠いアジアでプレーする外国人Jリーガーに大金を投じる必要性がないからだ。それは、今回のオルンガのケースにもあてはまる。

 まだまだヨーロッパの移籍マーケットでJリーグが占める割合は大きくない。果たして、これからも外国人Jリーガーの移籍先は中東や中国に偏る傾向が続くのか。今後のJリーグ移籍マーケットの行方に、大きな注目が集まる。

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