まだまだPCは伸び続ける――NECPCが考える2021〜22年の市場動向

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2021年01月20日 17:12  ITmedia PC USER

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写真河島良輔執行役員
河島良輔執行役員

 既報の通り、NECパーソナルコンピュータ(NECPC)は1月19日、PCやタブレットの2021年春モデルを発表した。



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 同日に行われた発表会で、同社の河島良輔執行役員が個人向けのPCやタブレット端末の市場概況を説明した。新型コロナウイルスの感染拡大は、PCやタブレットの出荷にどのような影響を与えたのだろうか。



●2020年は「マイナス」を予想していたが……



 NECPCでは、2020年は店頭で販売されるPCやタブレットの出荷台数が「マイナス」になると予測していた。2019年10月の消費税率の引き上げに加え、Windows 7の延長サポート終了に伴う「駆け込み需要」が一巡したことから、2019年比でPCは15%、タブレットは12%のマイナス成長となると見立てていたようだ。



 ところが2020年初頭、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、テレワーク(遠隔勤務)を急きょ導入する企業や団体が増え、学校や塾でもテレスクール(遠隔学習)の導入が急ピッチで進められた。いわゆる「巣ごもり」のために、PCやタブレットを使って自宅で動画や音楽を楽しむ人も増えた。



 結果、2020年の出荷台数の実績は、2019年比でPCは6%、タブレットは20%のプラスとなったという。NECPCの自社調べの数値ではあるものの、「コロナ禍」は店頭向けのPC/タブレット市場に予想外のポジティブ効果をもたらしたようだ。



●反動減を上回る需要増がある



 この予想外のプラス成長は「テレワーク」「テレスクール」「ホームエンタメ」の3分野におけるニーズの高まりに支えられたというのがNECPCの見立てだ。



 このニーズがコロナ禍によってもたらされたものだとすると、ある意味で「特需」とみなすこともできる。「急に必要になったから買った(買い換えた)」となると、需要の「前借り」とも捉えられる。河島氏によると「これが(需要の)ピークで、しばらくは上がらないのでは?」「(需要の前借りによる)反動がこれから来るのでは?」と聞かれることも多いという。



 しかし、NECPCはそう考えていない。反動減を織り込んだとしても、店頭向けPCには約1000万台の潜在需要があるというのだ。



 同社では1000万台のうち310万台は2021年中に、残りは2022年からの1年半で消費されると予測を立てている。1000万台の内訳は、テレワーク需要が300万台、テレスクール需要が600万台、ホームエンタメ需要が200万台と、テレスクール需要のウエイトが大きめである。



●テレワークは「ハイブリッドワーク」需要を意識



 テレワークにおける300万台の潜在需要は、NECPCが2020年10月に行った「テレワーカー調査」(調査対象人数:3万4045人)から算出された。



 この調査では、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」後にテレワークが根付いたかどうかを調べると共に、PCやタブレットの潜在需要を探るべく行われたという。調査の結果、テレワークにおいて個人所有のPCでの執務が認められている人のうち、34%が今後仕事で用いる個人所有のPCを購入する予定だと答えたという。その比率を日本の就業者人口に当てはめて計算すると「300万人」となる。その300万人が1人1台のPCを持てば、300万台という計算だ。



 緊急事態宣言によって一気に普及したとされるテレワークだが、その広がりは同社が過去に行った調査との比較からも伺える。緊急事態宣言が発出される前の2020年3月に実施した調査では全体の14%だった「テレワーク経験者」が、同年10月には35%にまで伸びている。



 ただ、その35%を「首都圏」と「首都圏以外」に細かく分けると課題も見えてくる。首都圏ではテレワーク経験率が46%と高めだが、首都圏以外では26%と低調だ。河島氏の言葉を借りると、「緊急事態宣言が解除された後、首都圏ではテレワークが意外と継続されたが、首都圏以外では『普通の生活』に戻っていった」結果である。一部の都府県で再び緊急事態宣言が発出されたことで、河島氏は首都圏以外も含めてテレワーク経験者の比率は今後も高まると予測しているという。



 このコロナ禍の影響で、NECPCではテレワークのあり方も変わっていくと考えている。テレワークといえば「オフィスの外でするもの」(河島氏)という前提だったが、これからは「自宅とオフィスを週の中で分けて勤務するスタイル」(同)、いわゆる「ハイブリッドワーク」が主流になるという見立てだ。



 2020年10月のテレワーカー調査では、85%の回答者がテレワークの継続を希望したという。ただ、その中身を見てみると、61%の回答者が週に1〜3回のテレワークが良いと答えている。言い換えれば、週に2〜4日はオフィスに出勤したいという人が多いということになる。



 各種調査を見ると、日本の企業や団体はテレワークで「生産性が低下」すると回答する比率が海外よりも高い傾向にある。自宅とオフィスでのハイブリッドワークを含めて、テレワークの普及には意識の変革も欠かせない。 



 NECPCや同社の兄弟会社であるレノボ・ジャパンでは、2016年からテレワークを本格的に取り入れている。その経験を踏まえて河村氏は「(テレワークは)生産性の高まる働き方」だと語る。出勤時間を省ける分、ワークライフバランスの改善も期待できるとする。



 テレワークの定着には「制度」「環境」「文化」の3つの要素が大切で、NECPCとしてはテレワーカーが生産性の向上に寄与することを機会があるごとに伝えていく方針とのことだ。



●一番伸びしろが大きいテレスクール需要



 テレスクールにおける600万台の潜在需要は、NECPCが2020年10月に行った「K12調査」から算出されている。「K12」は米国における教育用語の1つで、小学校から高校までの教育課程を指す。



 調査によると、回答者全体の70%が「子ども専用PCを保有していない」を答え、そのうちの3分の2が「子ども専用PCの購入を検討している」と答えたという。これを日本全体のK12層の人数に当てはめて考えると「600万人」となり、1人1台で計算すると600万台となる。



 2020年3月の調査と比べると「子ども専用PCを保有している」と回答した人の比率も増えたという。ただ、増加率は4ポイントにとどまっている。主要国と比べると子ども専用PCの普及率が低い傾向にあることと合わせて、この層に対するPC普及は「一番伸びしろがある」(河島氏)と見ているようだ。



 ただ、この目標を達成するには、子どもにPCを持たせることに対する「親の意識」が重要になる。



 先のK12調査では、「子ども専用PCを買わない」と答えた人に、その理由を尋ねている。回答の上位には「家族共用PCで十分」「(子ども専用PCの)必要性を感じない」といった項目が並ぶ。「ゲームばかりしそう」「動画ばかり見そう」といった、使いすぎを不安視する意見も見受けられる。



 逆に「子ども専用PCを買い与えた」と答えた人に理由を尋ねると、「オンライン学習で必要」「今後、学校や授業で使う」といった回答が並ぶ。“必要性”が1つの動機になっていることが伺える。



 文部科学省の「GIGAスクール構想」によって、学校では1人1台のPC/タブレットの普及が進みつつある。これをトリガーとして、NECPCでは子ども専用PCの必要性を訴求していくようだ。



●IT機器を使う「余暇」が増える



 ホームエンタメの需要増については、クロス・マーケティングが実施した「第11回新型コロナウイルス生活影響度調査」の結果を示しつつ説明された。



 この調査では、20〜69歳の男女2500人の回答を集計し、外出自粛期間中の「1週間における余暇の総時間」を算出している。それによると、PCやタブレットといったIT機器でカバーできる過ごし方が多かったという。



 このニーズに関しては、堅調な推移を想定しているようだ。


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