「離婚を勧めているのか?」批判から一転、母や妻描くコミックエッセイの先駆けに…漫画家語る女性の生き方

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2021年01月21日 08:40  ORICON NEWS

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写真コミックエッセイ『離婚してもいいですか? 翔子の場合』(KADOKAWA)の一コマ
コミックエッセイ『離婚してもいいですか? 翔子の場合』(KADOKAWA)の一コマ
 昨今、プロ、アマチュア問わず、主婦や母親たちの悩みを描くコミックエッセイが大きな話題を集めている。なかにはSNSで投稿され、単行本化されるケースも多い。そんな、家庭における女性たちを描いたコミックエッセイの先駆けが、『離婚してもいいですか? 翔子の場合』(KADOKAWA)などで知られる漫画家・野原広子さんだ。ほのぼのとした絵柄ながら、描く内容は女性ばかりか男性にも突き刺さり、ときには議論が巻き起こったりもする。野原さんに、それら作品が生み出される源、女性の生き方について聞いた。

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■離婚にママ友、当初は理解されなかったコミックエッセイに大反響

 漫画『離婚してもいいですか? 翔子の場合』『ママ友がこわい 子どもが同学年という小さな絶望』の2作が、YouTubeチャンネル『コミックエッセイ劇場』で動画配信され、話題になっている。2作ともポップでライトな絵柄ながら、どこにでもいる普通の主婦や母親の日常に潜む苦悩や葛藤を赤裸々に綴った内容だ。コミックエッセイの作者は、世の母親や妻たちから多くの支持を得ている、人気漫画家の野原広子さん。過去作ながら改めて話題になっている上記2作の制作意図や反響とは。

――『離婚してもいいですか? 翔子の場合』は、コミックエッセイとしてとても人気のあった作品。一見幸せそうだけど、実は離婚したいと思い悩んでいる主婦の話ですが、本作はもともと、どのような経緯で描かれたのですか?

 「この作品の少し前に『離婚してもいいですか?』(2014年)を描いたのですが、その時の編集者の方が『レタスクラブ』(料理、生活情報雑誌)の編集長になられて、『もう一度、離婚をテーマに漫画を描かないか』とお話をいただきました。ここでは3ページの連載でしたが、当初は『水を打ったように静か』と言われるくらい反響がなくて(笑)。読者に主婦の方が多いせいか、『離婚を勧めているのか!?』というお叱りの意見をいただいたこともありました。『やっぱりダメか…』と思ったけど、だんだんと読んでくださる方が増え、反響も大きくなっていきましたね」

――家事や育児に非協力的で、自分を蔑ろにする夫への翔子の不満、そこから離婚へ向けて動く心理描写がとてもリアルでした。ご自身の経験も反映されているのですか?

 「反映している部分もあるけれど、こういったテーマで描いていると、多くの方々がご自分の気持ちを吐き出してくれるんです。だから、ネタには困らないというか(笑)。みんな思うことは同じで、『離婚したいけど、旦那に文句を言えないし、お金もないし、子どものことを考えると…でもでも』って、堂々巡りになるんですよね。そういう皆さんの意見を集結して、こういう話になりました」

――もう1作の『ママ友〜』は、ママ友との関係が壊れてしまったことに悩み苦しむ母親が主人公。

 「もともと仲が良かったママ友が、いつからか一切口も利かず、目も合わせてくれなくなって。いじめを受けているような状態になってしまったママの話です。最初はおだやかに関係が始まるんだけど、あれよあれよという間に崩れていって、怖い世界に踏み込んでしまうという。その謎解きのような、崩れていく過程を掘り下げた作品です。なかなか難しいテーマの話なので、最初に出版した紙の本は売れなくて。でも最近復刊していただいて、読んでくださる方もいらっしゃるようです」

――この2作について、読者の方からの反響はいかがですか?

 「自分では最初、こういうテーマを描くのはどうなのだろうと思ってたのですが、『読んで助けられました』というお声をいただくようになりました。『自分が言えない代わりに、翔子が言ってくれているんだよね』と言われた時には、嬉しかったですね。中には、お会いした時に涙を流された方、『トイレで読んで泣きました』という方もいて。わざわざトイレで読まないといけないくらい、家族にも言えない悩み、苦しみなんだと実感しましたね」

■40過ぎの子持ちの主婦がデビュー、当時はほのぼの系漫画しかなかった

――少し遡りますが、デビューは2013年ですね。

 「はい。私は40歳を過ぎて漫画を描き始めましたが、40過ぎの子持ちの主婦がデビューというのは、当時珍しかったと思います。若い頃に少し描いていたんですが、根性がなくて一旦やめていて。でも大人になって、いろんなことを経験して意識が変わり、また描くようになりました」

――野原さんが描き始められた当時、『離婚〜』『ママ友〜』のような、主婦やママたちの悩み、リアルな家族の内情を描くコミックエッセイは少なかったのでは?

 「あまりなかったと思います。家族ものの漫画でも、ほのぼのとした、明るく楽しい雰囲気の作品が多かったと思いますね。小説ではイヤミス(読んだ後に嫌な気分になるミステリー)が流行っていましたけど…」

――その意味では、野原さんはこのジャンルの先駆け。女性の方から支持される作品が多いですが、これらはどういうところから生まれてくるのでしょうか?

 「まず編集の方から企画をもらって、それに返す形で作っています。具体的なネタは、人から聞くこともあるし、自分が経験したこともあるし、ネットから拾うこともあります。意外と実話の方がすごかったりしますが、ストーリーはあまり殺伐とならないようにしています(笑)」

――シリアスな内容に反して、絵柄はとても可愛らしいですね。

 「デビュー作を描いていた時、モヤモヤしたりイライラして苦しかったけれど、子どもも読むかもしれないと考えると、あまりドロドロには描きたくなくて。ケロッと描きたかったので、この絵柄になったんですね。多くの主婦の方は疲れているだろうから、圧の強くない絵がいいのかなと。お茶の時間などに、ちょっと片手間で読めるようなものがいいのではと思います」

――ちなみに、最新作『妻が口をきいてくれません』は、同じ家族の問題を女性目線、男性目線でそれぞれ描いていて。これがネットやSNSでは、男女の論争になるほどものすごく盛り上がっていました。

 「すごい激論になっていて、驚きました(笑)。みんな、熱い思いで読んでくれるんだなと思います。男性側の見方については、自分の想像もありますけど、ときどき男性方が吐き出す『うちの嫁はさ〜』みたいな愚痴も参考にさせてもらっています(笑)。」

――昨今はネットやSNSで自分の思いを吐き出したり、漫画にして発表する人も多いです。そんな状況について、野原さんはどうお感じですか?

 「私自身もネットからヒントをいただくことも多いですが、日記などを読んでいると『こんなことまで書いちゃってるんだ。そこまで吐き出すか!?』と胸が痛くなることもありますね」

――吐き出せる場があることはいいけれど、難しいところですよね。現代の家庭における女性の生きやすさ、生きづらさについては、どう思いますか?

 「情報がありすぎて情報迷子になってしまったり、SNSやLINEで見なくてもいい悪口を見ちゃったり…そういうところは生きづらさを感じますね。一方で、私が子育てしていた頃と比べると、今は『家事・育児は女性だけのものじゃない』という意識が高まっていますし、離婚することも恥ずかしくない時代になっています。そこは女性としての生きやすさだと思います」

■動画配信も話題、「自分の気持ちを整理したり、見つめ直すきっかけに」

――前述の2作がYouTubeチャンネル『コミックエッセイ劇場』で動画配信されています。動画で漫画が観られて、声もついているのが新鮮ですが、ご感想は?

 「とてもありがたいと思っています。動画なら忙しい主婦の方も簡単に観られるし、老眼のお年寄りでも、音声が付いているから楽しみやすいんじゃないかと。前に70歳を超えた方からお手紙をもらったこともあり、『ママ世代以外の方も読んでくれているんだ』と実感しました。多くの方に楽しんでいただきたいですね」

――読者の皆さんにメッセージをお願いします。

 「とても可愛い動画になっていますので、ぜひご覧ください。私としては、なるべく暗くならず、可愛くすっきりと簡潔に描くようにしています。それを受け止めていただいて、自分の気持ちを整理したり、見つめ直すきっかけにしていただければうれしいです。私が離婚を経験したこともあり、今後は主婦目線だけでなく、いろんな方向から見たものを描いていきたいと思っています」

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  • やっとこさ、「女性がホンネを口にしても少しだけ許容される」ような社会になったかな?まだまだ日本は(というか世界は)男性至上主義が支配してるからね…
    • イイネ!5
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