実は“理想”のファーストレディだった?!メラニア・トランプ夫人の意外な評価

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2021年01月21日 11:30  AERA dot.

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写真メラニア・トランプ夫人(c)朝日新聞社(代表撮影)
メラニア・トランプ夫人(c)朝日新聞社(代表撮影)
 バイデン新政権が誕生した米国。トランプ政権の4年間は、分断と対立を深めたというのがもっぱらの評価だ。政権末期、トランプ氏は米連邦議会議事堂襲撃事件を扇動したとして弾劾訴追され、求心力も支持も急降下したように見える。その一方で、最後に注目を集めたのが、「お別れのメッセージ」を残したメラニア夫人だ。夫唱婦随のようには見えなかったトランプ夫婦。米国のファーストレディの役割とはいったい何なのか。

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「何事にも情熱をもって取り組んでほしい。でも、絶対に覚えておいて。暴力はその解決策ではない。決して暴力は正当化されません」

 カメラをまっすぐ見据えたメラニア夫人。この一節を言い終えると、自分の思いはこれで吐き出したというように、一呼吸おき、スピーチを続けた。1月19日にメラニア夫人の公式Twitterに投稿された7分弱のビデオメッセージだ。

 この発言は、夫のトランプ氏やその支持者らに直接向けたられたものではないが、これを見た人はその脳裏に連邦議会襲撃事件のことが浮かんだはずだ。さらに、メッセージでメラニア夫人は国民の団結を訴えている。

 日本でもこのメラニア夫人のメッセージはニュースとして報じられ、ネット上ではおおむね好意的なコメントが目立った。

「奥さんはいいこといってるよ…」
「これが彼女の本心だと思いたい」
「単なるお飾り夫人だと思っていたけれど、最後にいい仕事をした」
「移民国家のアメリカを象徴するような存在だった」

 発言の中身は好評だが、これがメラニア夫人の本心なのか、それとも何か狙いがあるのか、気になることろだ。上智大学大学院グローバルスタディー研究科の前嶋和弘教授(アメリカ政治外交)は次のように解説する。

「メラニア夫人は、スロベニア(旧・ユーゴスラビア)出身のいわゆる移民です。大統領夫人という立場上、夫の言動に表立って反対はしにくいものの、おそらくメラニア夫人自身は多様性を重視するリベラルな思想に近いと思われます。そして、これまでもその発言によって、政権のイメージ、特にリベラル層に向けていい効果を生んでいました。今回のメッセージもその延長にあると思っていいでしょう。『トランプ氏は支持できないが、メラニア夫人のメッセージには共感できる』と感じたリベラル派も多いと思います」
 
 発言は夫人の本心でもあり、結果として、夫の政治活動の弱点をカバーしたというわけだ。

 実はこれまでも、この「トランプ氏は大統領にふさわしいか疑問だけれど、メラニアさんには好感が持てる」という声は、日本でも少なくなかった。

「氷の微笑」「冷たい鉄仮面」などといわれてきたメラニア夫人の印象を変えたシーンといえば、来日時に皇后雅子さまと歓談したときの様子だろう。それまでメラニア夫人は表情は硬く、感情が読み取りにくかったが、雅子さまと対面しているときにはリラックスした笑顔をみせた。テレビやネットで映像や写真が流れると、「メラニアさん、人柄は悪くないのかな」「なりたくてなったわけではないファーストレディ?夫に押し付けられた役割に苦労をしているのかも」といった同情を寄せるコメントまであった。

 また、昨年の米大統領選の遊説では、夫の手を払いのける不機嫌な様子がしっかりとテレビカメラに収められていたが、それによってイメージが低下するどころか、「いつも夫唱婦随なんて、やっぱり無理だよね」と、人間らしさが垣間見えた瞬間と捉えた人が多かったようだ。

 メラニア夫人の本心はどこにあったのかはさておき、ファーストレディとしての4年間の働きはどう評価すべきなのか。

 CNNの最新の調査結果は厳しいものだった。1月19日、「メラニア夫人、不支持が支持率を上回る」と世論調査の結果を報じた。不支持が47%、支持が42%だった。報道によると過去と比べてもっとも低い水準で、記事では「嫌われ者」というイメージが強いヒラリー・クリントン氏よりも低い支持率でホワイトハウスを去ることが強調されていた。世論調査は、1月9日から14日にかけて全米の成人1003人を無作為に抽出、固定電話もしくは携帯電話で質問したという。

 この結果について、メラニア夫人の支持が低いと解釈できるかというと、そう簡単な話ではないようだ。

「全体ではメラニア夫人支持が42%にとどまりますが、トランプ支持層は85%が支持し、一方のトランプ非支持層では18%とあきらかに支持層で見方が異なっています。分極化の中で、全体的には、トランプ氏の支持率が影響したということでしょう。メラニア夫人の演説公開が調査の前だったら、数字は、特にリベラル派で改善したような気もしています」(前嶋教授)

 時系列で整理すると、議事堂襲撃事件が起きたのが6日、CNNの世論調査は9日から始まり14日に終了、結果は19日に報道された。メラニア夫人のメッセージは同じく19日に投稿された。ここからは推測になるが、メラニア夫人がCNNの調査の結果を報道される前に知っていたととは考えられず、事件で分極化を肌で感じて、最後にお別れのメッセージを残したのかもしれない。

 米国の歴代ファーストレディは、夫とは別の視点やアプローチで、その時々の社会問題に取り組むことで知られている。例えば、ミシェル・オバマ夫人は、米国で肥満児が問題となってることから、いわゆる「食育」に取り組んだ。その前の、ローラ・ブッシュ夫人は、パパブッシュの妻のバーバラ夫人同様に、識字率向上のために子どもの「読み・書き」を重視した。

 メラニア夫人が掲げたのが児童福祉の「Be best」キャンペーン。10代に蔓延するオピオイド系鎮痛剤の依存問題に光をあてたり、ネットいじめ防止のために毅然と立ち向かう姿勢を示したりして、子どもたちに「最高の自分になろう」と呼び掛けたのだ。写真や映像をみる限り、子どもたちに向けるまなざしは温かく、そのキャンペーンが単なるポーズではないと思わせた。

「ファーストレディの仕事に定義はなく、評価基準もあいまいではありますが、アジェンダとそれに対する姿勢に関しては、一定の役割は果たしたのではないかと思います。ミシェル夫人のようなカリスマ性はないにしろ、それ相応の評価がされてしかるべきでしょう」(前嶋教授)

 ちなみに、ミシェル夫人は独自のセンスで“ファッションリーダー”としても一目置かれる存在だったが、モデルだったメラニア夫人もハイブランドの着こなしでは負けてはいなかった。ときには、メッセージ性の強い服装でバッシングの対象にもなったようだが、日本のファッション雑誌のオンライン記事で特集が組まれることもあったほど。関心のある人はずっと注目していたようだ。

 夫の言動が前代未聞だったため、手放しで褒められることはなかったメラニア夫人の存在。将来、この4年間が歴史となったとき、意外と高評価を得るのかもしれない。(AERAdot.編集部/鎌田倫子)

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  • ■対米従属から抜け出す道はあるのか?〜問われているのは私たちの覚悟〜 (論座・朝日新聞 2020年11月01日) https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1977997878&owner_id=67611045
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  • ミシェル夫人より良かったと思います。
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