プリンセス天功を直撃したコロナ禍の現実 「イリュージョンの7割できません」

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2021年01月21日 11:35  AERA dot.

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写真プリンセス天功さん(撮影:中西正男)
プリンセス天功さん(撮影:中西正男)
 新型コロナによる緊急事態宣言が出され、またしても世の中が揺れています。エンターテインメントの世界ももちろん例外ではありませんが、実は、大きな影響が出ているのがイリュージョンで知られるプリンセス天功さんでした。コロナ禍で「7割のイリュージョンはできなくなった」という現状とは(聞き手:中西正男)。

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*  *  *
 昨年3月から、チケットを販売してお客さんに来ていただく形のライブはやってないんです。テレビなどのお仕事はさせてもらっているんですけど、ライブで実際にイリュージョンをやるというのはコロナ禍において、実はハードルが高くて。

 というのも、イリュージョンというのはいわゆる“密”を避けられないんです。

 なので、コロナ対策という観点からすると、これまでやってきたものが全部で100あるとすると、そのうち70はやるのが難しい。7割はダメだと感じています。

 まず、スタッフが客席に降りていって、お客さんをステージに呼び込むという流れができません。お客さんにステージに上がっていただき、一緒にイリュージョンに参加してもらう。そういう、客席と融合するというか、お客さんと近い距離でやるものが実は多いんですけど、そこが全般的にできなくなってしまいました。

 イリュージョンを成立させるために、スタッフ同士が密になる局面も多々ありまして。あまり言うとアレですけど、客席からは見えなくても、実はスタッフ同士がすごく近接する時もありますし。

 空中に浮かんだりするイリュージョンも、最初は男性スタッフに手を支えてもらっていて、途中でパンと手を放して浮きましたという演出をするんですけど、最初の支えてもらう流れが密なのでできない。

 私が脱出したりするイリュージョンでも、最初に私の動きを拘束する鎖などの器具をつけないといけないんですけど、それも一人ではできないのでスタッフに巻いてもらわないといけない。実は、かなりの部分、密が避けられないんです。

 あと、実際に感染リスクがどれくらいあるのかということも、当然大事なんですけど、それと同じくらい大事なのが“お客さんの気持ち”なんです。

 例えば、検温や消毒、その他の対策を徹底していれば、短時間無言でスタッフと少し近くなっても、現実的にはそこまで感染リスクはないのかもしれません。

 でも、それを見ているお客さんが「あんなに近づいて大丈夫なの?」と思った時点で、もう純粋には楽しめない。お客さんがそう感じるならば、それはもうできない。

 エンターテインメントならではの繊細さもありますし、そういう部分も加味すると、結局、7割くらいのものは難しくなってしまうんですよね。

 ですので、今、できることは“蜜を避けて、ステージ内で完結するもの”。その方向で楽しんでいただくしかないと考えています。

 万難を排して、3月6日に東京・よみうりホールで約1年ぶりにライブをやるんですけど、そこでは歌手の方に歌っていただくこととイリュージョンを融合させたり、これまでとは違う楽しさやワクワクを作り出せたらなとは思っているんです。

 一番多い時で年間300ステージくらいはやってきましたけど、この1年は完全にストップしてしまいました。

 ただ、その間もオファーは本当に、本当に、たくさんいただいていたんです。できるかどうかは分からないし、可能性的には厳しいかもしれないけど「なんとか、来てもらえませんか」という声を各所からいただいてきたんです。

 結果的に公演ができない状況が続いてしまったんですけど、コロナ禍でも、もしくは、コロナ禍だからこそ、それだけ求めてくださるということが何よりありがたかったです。

 3月に開催予定の公演、実は業界内での注目も集まっているんです。この状況でイリュージョンのライブが成立するのか。そこが試金石として見られている部分もありますし、何としても成功させたいと思っています。一つの可能性を提示する意味でも。

 今のお話もそうだったかもしれませんけど、私、すごくポジティブな考え方ばっかりするので、イリュージョン以外に、そういう考え方を今こそ発信できたらなと思っているんです。

 人はなかなか強くはなれない。でも、今は精神的なものがすごく大切な世の中になっている。そんな中、何があっても、私はポジティブですから(笑)。どこまでお役に立てるかわかりませんけど、そのマインドも今はお渡しする意味があるのかなと思っています。

                          (中西正男)

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