この冬は手洗いしすぎで「手荒れ」に悩む人が増加! 自分でできる対策を皮膚科医が指南

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2021年01月22日 07:30  AERA dot.

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写真大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
 新型コロナウイルス感染症の予防策として、手洗いが励行されています。しかし、この冬はそのためか、手荒れや手湿疹に悩む人が多いようです。京都大学医学部特定准教授で皮膚科医の大塚篤司医師が、自分でできる手荒れ対策について解説します。

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*  *  *
 新型コロナウイルス感染症が拡大し、手洗いやアルコール消毒をする機会が増えました。それに伴い、手荒れや手湿疹で困っている患者さんが増加しています。皮膚科の外来でも、手荒れのひどい人、マスクの中のニキビが悪化した人など、感染症対策で起きた皮膚トラブルの患者さんの相談を多く受けるようになりました。今回はその中でも相談の多い手荒れにどう対応するか説明したいと思います。

■手洗いが必要な場面、そうでない場面

 まず、手洗いやアルコール消毒がなぜ必要かというところから考えてみましょう。それは、新型コロナウイルスを含め感染症をもらわないためであり、広めないためです。この部分をしっかり理解しておかないと余計な手洗いをして、結果として手荒れが起きます。

 多くの人は、外から家に帰ってきたときに手洗いをしますね。それは、外でウイルスが付着した「なにか」を触った可能性があるためです。例えば、気分転換の散歩で公園をぶらっと歩くだけで帰ってきた場合、途中でなにも物に触れていなければ手洗いをする必要はありません。そもそも、ウイルスが付着している可能性があるなにかに触れていないのですから。

 一方、通勤の途中で電車の手すりやエスカレーターの手すりにつかまった場合は、会社についたときに手洗いをする必要があります。なぜなら、手すりについたウイルスを会社で広めてしまうかもしれないからです。

デパートやレストランの入り口で手をアルコール消毒するのは、周りのお客さんにうつさないためです。コロナに感染している無症候の人が唾液(だえき)や鼻水などの体液がついた手で商品にベタベタ触ると感染拡大するリスクが上がります。なので、万が一、自分が無症候感染者の場合も考えて、入店前に手をアルコール消毒することが必要です。

 手洗いやアルコール消毒が増えれば手荒れを引き起こします。まずは自分の手指衛生が適切なタイミングで行われているか振り返ることが大切でしょう。コロナが心配のあまり手洗いしすぎていませんか?

■手洗いは40度以下の水で、保湿剤は選んで使いましょう

 次に手荒れを防ぐために自分でできることを紹介したいと思います。まず手洗いをする際は高温の水を避けましょう。油揚げの油抜きをするときにお湯を使うのと同じで、高温の水は手の脂を落としすぎてしまう可能性があります。また、皮膚の末梢神経は43度以上に反応してかゆみや痛みを引き起こすことが知られています。お湯の温度は高くても40度までに抑えるのが良いでしょう。

 手が明らかに汚れていない場合は、手洗いよりもアルコール消毒の使用が好ましいと考えられています。なぜなら、アルコールベースの消毒剤は高い抗菌活性を示し、皮膚損傷のリスクが低いと言われているからです。

 手指衛生後は保湿剤を使うことをおすすめします。手湿疹患者53人を対象とした試験では、5%尿素入り保湿剤を使った人のほうが無治療の人に比べて、症状が良くなった後の良い状態が10倍長くなったと報告されています(文献1)。また、エビデンスレベルは低いものの合成セラミドを 5%含む保湿クリームを使った手湿疹の患者さんは、合成セラミドを含まない保湿クリームを使った手湿疹の患者さんに比べて有効であったとする報告もあります(文献2)。

 病院で処方されるヒルドイドは保湿剤として有名です。この成分であるヘパリン類似物質が配合された保湿剤を薬局で買うことができます。商品名を出して恐縮ですが、市販で買えるヒルマイルドはヘパリン類似物質配合ですので手洗い後の保湿に使ってみるのも一つです。また、セタフィルという保湿剤は、皮膚バリアで重要なタンパク質であるフィラグリン分解産物を含有している保湿剤です。フィラグリンはアトピー患者さんの皮膚で減少しており、ドライスキンの原因とも考えられていますので、フィラグリン分解産物を配合した保湿剤は有効かもしれません。

 その他、保湿剤を選ぶポイントとしては無香料であること、アロエ成分配合は選ばないことです。香料やアロエ成分はかぶれを引き起こし手荒れを悪化させます。

 保湿剤の塗る量をケチってはいけません。たっぷり塗るのが基本です。また保湿剤をすり込んで塗ってはいけません。すり込んで塗ると手荒れが悪化します。カサカサがひどい場合は、寝る前にたっぷり保湿剤を塗ってその上から手袋をすると効果が上がるでしょう。

 手荒れがひどいときは家事を避けたいものです。なるべく家族やパートナーに家事をしてもらいましょう。一人暮らしの人やどうしても洗い物などの家事を自分でやらなくてはいけない場合は手袋を二重にしてください。洗剤の刺激もあるのでゴム手袋をしたほうが良いのですが、ゴム製の厚い手袋は中で蒸れて手荒れを悪化させます。ゴム手袋の下に綿の手袋をしておくのがポイントです。

 また、エビデンスはまだ出ていませんが、グリセリンなどの保湿剤入りのアルコール消毒剤も販売されています。試してみる価値はあるかもしれません。

■こんな場合は皮膚科を受診しましょう

 さて、自宅でできる手荒れの対処法をいくつか紹介しましたがやはり限界があります。手指衛生の回数が適切で保湿剤もしっかり使っているけど良くならない。この場合、手荒れがどういう状態になったら病院に行くべきでしょうか?

 私が考えるポイントは三つです。

 まず、「切れて痛い」場合は皮膚科を受診しましょう。切れた部分からばい菌が入る可能性があります。次に、皮膚から「汁が出る」場合も皮膚科医にみてもらうほうが良いでしょう。皮膚から汁が出るということは、すでに傷になっていることが考えられます。しっかり治療することが必要です。最後に「手が赤くはれた」場合は病院でみてもらいましょう。手湿疹が悪化しただけでなく、他の原因も考えなくてはいけません。例えば普段つかっている物にかぶれてしまった場合など、パッチテストという検査で原因を特定する必要があります。

 皮膚科ではステロイド外用剤を出してもらうなど、ひどい場合は紫外線療法などを行ってくれる施設もあります。手荒れがこじれてひどい手湿疹になってしまう前に、我慢せずに皮膚科を受診することをおすすめします。

文献1: Acta Derm Venereol, 2010; 90: 602―606.
文献2: メディカル朝日 別冊,2000; 29: 8.

このニュースに関するつぶやき

  • 油っこいものをくう(笑)。
    • イイネ!1
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  • このご時世仕方ないのかと…ただ、ウチの会社に手洗いしてろくに手も拭かずにドアノブさわる人間がいてイライラする。どんな育ち方したら、ああなるのかね(。-∀-)ふぅ
    • イイネ!12
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