コロナ禍の株式市場…専門家「儲けたのは日銀と証券会社くらい」「歪な相場」

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2021年01月23日 08:05  AERA dot.

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写真大発会で今年の初値を見上げる市場関係者 (c)朝日新聞社
大発会で今年の初値を見上げる市場関係者 (c)朝日新聞社
 年初早々、日経平均株価は2万8千円を超えた。コロナ禍の影響で景気悪化が懸念される中、株価は上昇の勢いが止まらない。一体、何が起きているのか。大手証券勤務のA氏、ネット証券勤務のB氏、アセットマネジメント会社勤務のC氏、株やFX(外国為替証拠金取引)などで2億円以上の資産を築いたサラリーマン投資家・D氏の4人に本音を聞いた。

【今回の証券マン座談会の参加者プロフィールはこちら】

──日経平均株価は30年ぶりに2万8千円台に。NYダウも過去最高値を更新して3万1千ドル台に入りました。

A:予想以上に強い。米ジョージア州上院選挙の決選投票で民主党が2議席奪還したことにより、民主党は大統領の座と上下両院の過半数を握りましたが、このトリプルブルーが現実になったらリスクオフ相場に転じると予想していた。民主党内の急進左派が主張する大増税が相場に対してマイナスに働くと考えられるからだ。でも、調整どころか、リスクオン相場が加速した。

B:みんな同じように予想していましたよ。だから、トリプルブルーになる可能性が高まったときには一時的にダウ先物や日経先物が売られたけど、予想に反してすぐに買い戻しが入った。

C:マーケットは都合よく解釈しすぎ。昨年の大統領選挙後は「共和党が上院の過半数を維持してトリプルブルーを阻止できる=大増税阻止」との見方から、NYダウが2千ドル以上も上昇したのに、トリプルブルーになったらなったで「民主党の大型景気対策に期待」と。

D:上院で一度否決された個人向けの2千ドル給付が実現するとの期待が買い材料になった。確かにスマホ一つでトレードする若いロビンフッダー(米ネット証券「ロビンフッド」の利用者)が昨年、GAFA(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル)や電気自動車のテスラを買いまくって押し上げたことを考えれば、個人向け給付が増えるのは相場にとってプラス。

B:昨年12月にFRB(連邦準備制度理事会)理事に筋金入りのハト派が加わり、今年のFOMC(連邦公開市場委員会)メンバーもいっそうハト派色が強まった影響も大きい。徹底的に金融緩和を続けて金余りの状況が続くと予想できるから、資金は株に向かい続けている。

C:昨年3月時点では50万円程度だったビットコインが400万円を突破してきたのもその影響。世界的な金融緩和でインフレヘッジを目的に、仮想通貨(暗号資産)の買い需要が高まった。決済サービス大手のペイパルが仮想通貨事業に参入し、ナスダック上場企業のマイクロストラテジーなどが資産ポートフォリオの一部にビットコインを加えると発表してから急騰しっぱなしです。

A:2017年の仮想通貨バブルと異なり、今回はアメリカの企業を中心にした実需の買いがあるうえに、機関投資家の買いも入っている。CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のビットコイン先物の建玉は1年で10倍に膨れ上がっている。

C:個別株は簡単に売買できないから、個人的にビットコインをトレードしているっていう証券マンは多い。

A:同僚にはNYダウやナスダック指数に連動する投信を買いまくって稼いでいる営業マンもいますよ。投信なら売買自由なので。

B:個人の間では日経レバ(レバレッジをかけて日経平均株価の2倍の値動きになるよう設計された商品)が人気ですけど、証券マンの間ではナスレバ(ナスダック指数の2倍の値動きがある商品)が人気。

C:うちにも資産のほぼすべてをナスレバにつぎ込んでいる人間がいます(笑)。毎日数千円から1万円程度を自動積み立てしている人も。

D:でも、昨年3月のコロナショックのときはかなりの含み損が出たのでは……?

A:急落したところで買い増して大きなリターンを得たっていう人も多い。実際、私も暴落局面ではダウに連動するインデックス投信を買い下がりました。予想以上に下げ続けたので、子供の教育資金として積み立てていた預金を取り崩して投資に回してしまい、冷や汗をかきました(苦笑)。

D:私は3月期末前で配当と株主優待狙いのポジションを大量にとっていたので大やけどしましたよ……。急落直後に投げ売りしたので数百万円の損失で抑えられましたが、そのあとの急反発に乗れなかったので損失を取り返すのに時間がかかって20年トータルの収支は3〜4%程度のプラスに終わりました。

C:コロナショックで日経平均は1万6千円台まで急落したけど、年末にかけて1万円以上も値上がりした。その影響でマーケットは盛り上がったように見えるんだけど、国内の売買動向を見ると個人は5月以降、ほぼ毎月売り越し。年間でも外国人や生損保の機関投資家も売り越している。バブル以来の高値更新と騒がれた割には、稼いでいる投資家は少ない。

B:Cさんのような国内株中心の運用会社にとってもキツイ年でしたね。

C:投信全体では2兆円近くの資金の流入超でしたが、国内株式型の投信は1兆円以上の流出超。国内の売買手口を見てもそれは顕著で、昨年4月以降ずっと投信は売り越しが続いています。コロナショック以降、少し相場が戻すだけで解約が出るようになった。いつまた暴落するかわからないから、ある程度戻した水準で“やれやれ売り”が出て資金流出が続いた格好です。

D:暴落相場では必ず二番底、三番底をつけてから本格的に反騰する。私を含めて長年相場を見てきた投資家ほど、そう思い込んでいたからコロナショックでは底値で拾うことができませんでした。むしろ、V字回復した相場のほうが異常。年後半には業績を上方修正する企業も相次いだけど、日経平均がバブル以来の高値を更新するほどの材料とは思えません。

B:それぐらい20年の相場は難しかった。熟練の投資家ほど稼ぎにくかった一年と言える。

D:実際、財務内容などから割安株を発掘して投資するバリュー投資家、優待や高配当株を狙う投資家は軒並み大損している。逆に稼いだ個人は一日に何度も売り買いを繰り返すデイトレーダーや、高値圏にあるグロース株(高成長銘柄)でも買い上がっていくような投資家。投資が本業の専業投資家は荒稼ぎした人が多い一方で、じっくり値上がりを待つスタイルの人が多いサラリーマン投資家は損した人が多い。

B:儲けたのは日銀と証券会社くらいでしょう。あと、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もか。なかでもコロナ対策として年間のETF(上場投信)の買い入れ枠を6兆円から12兆円に倍増した日銀の儲けが群を抜いているでしょうね。

A:証券会社もコロナ相場で新規口座開設希望者が急増したうえに、ソフトバンクGの1.2兆円売り出しなど、大型ファイナンスが相次いだ影響で引受手数料を稼ぐことができた。うちは昨年3〜9月の上期だけで数年分の予算を達成していました。

B:ネット証券も稼ぎましたね。日経平均がバブル崩壊後の最高値を更新した昨年11月以降は、ほぼ毎日、1日当たりの売買手数料収入が「過去最高を更新しました」という社内メールが届きました。

C:要は日銀に買い支えられた歪な相場が続いているだけ。日経平均は昨年1年で4千円近く値上がりしましたが、その構成銘柄を見ると6割くらいは値下がりしました。ソフトバンクGやファーストリテイリングなどの構成比率の高い一部の銘柄が日経平均を釣り上げていただけ。個人投資家に人気のある高配当の銀行や商社、自動車株の大半が値下がりしたんですから、投資が好きで銘柄選定に一家言あるようなベテラン投資家ほど成績は振るわなかったはず。逆に、営業マンの言うがままにAI関連、セキュリティー関連などの投信を購入した個人が稼ぐという残念な相場でした。

B:相場が盛り上がっている、という認識が幻想なんですよね。だって、この7年で3倍以上に値上がりしたナスダックの売買代金が1.5倍になったのに対して、TOPIX(東証株価指数)が倍に値上がりしながら、東証の売買代金は完全に横ばい状態。13年から日銀のETF買いが急増したことを考えると、投資家の商いは減っていると見ていいでしょう。東証は投資家不在の相場なんです。

(構成/ジャーナリスト・田茂井治)

※週刊朝日  2021年1月29日号より抜粋

このニュースに関するつぶやき

  • あぁ、そうですか������あくまでそのヒトの見解だニャǭ回転売買すれば証券会社は儲かる。日本人の投資家(投機家)は回転売買を推奨するような記事や本を書いているワン��要注意��
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