深津絵里が神秘性を保ち続けるワケ 女優として“嘘をつくことなく”歩み続けた35年

47

2021年01月23日 08:40  ORICON NEWS

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ORICON NEWS

写真2021年度後期連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でヒロインの1人を務める深津絵里 写真/RYUGO SAITO(C)oricon ME inc.
2021年度後期連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』でヒロインの1人を務める深津絵里 写真/RYUGO SAITO(C)oricon ME inc.
 先日、連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)への出演が発表された女優・深津絵里。連続ドラマでは2008年以来、13年ぶりの出演となる。1986年に芸能界入りした深津は今年35周年を迎え、女優としての気品と風格はますます増加。SNSでも深津の出演を待ち望んでいたとする声が多い。初主演作品で日本アカデミー賞にノミネートされるなど、若いころから女優としての才能を発揮し注目を浴びていたが、その私生活はほとんど明かされておらず、神秘性を保ったままである。そこには“嘘のない”深津の生き方が反映されているのではないだろうか。

【画像】純白ワンピで際立つ透明感… 新・朝ドラヒロイン、深津絵里×上白石萌音×川栄李奈3ショット

■『踊る』シリーズがブレイクではない、デビュー時から“すべてで結果を残す”才能で脚光

 深津絵里の芸能界入りは1986年。東京・原宿で行われていたミス原宿グランプリ(コンテスト)で優勝したのがきっかけだ。スクリーンデビューはその2年後で、新進気鋭の金子修介監督の映画『1999年の夏休み』に中学生の“男児”役で出演(水原里絵名義)した。同作は萩尾望都の『トーマの心臓』が原作であり、今も映画ファンの間で“傑作”として知られている。

 同年にはJR東海の「HOME-TOWN EXPRESS X'mas編」のCMに起用。デビュー後またたく間に注目を浴びることに。そして、その翌年には映画『満月のくちづけ』で主演を務めると、日本アカデミー賞新人俳優賞にノミネート。「ローマ国際ファンタスティック映画祭」では最優秀主演女優賞を受賞した。

 以降、数々の映画、ドラマ、舞台に出演。1997年から始まった『踊る大捜査線シリーズ』(フジテレビ系)からブレイクした印象が強いが、デビューから同シリーズが始まるまでの約10年間でドラマ約20作品、映画7作品に出演。業界内ではもちろん、ドラマファンや映画ファンの間でも「逸材」とすでに話題になっており、『踊る〜』以前より、“深津ファン”は相当数存在していたのだ。

「大きな賞を受賞すると、出演オファーが殺到するのはよく見られる光景」と話すのはメディア研究家の衣輪晋一氏。「深津さんがすごいのは、そのすべてで結果を残したこと。だからこそ求められたのであり、『踊る〜』以降は主演作品も増加。映画『悪人』では、モントリオール世界映画祭最優秀女優賞、並びに日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。日本アカデミー賞での最優秀主演・助演女優賞のダブル受賞は、史上8人目の快挙となるなど、輝かしい功績を残しました」(同氏)

■同業者からも畏敬の念…見る側の“想像内”に存在するからこそ保たれる清廉性と神秘性

 そんな深津の特筆すべき点は、プライベートについてほとんど知られてないことだ。2017年の映画『サバイバルファミリー』で共演した小日向文世も、過去のインタビューで「こんなミステリアスな女性が僕の相手役になるわけがないと思っていた」と話しているように、“ミステリアス”という表現がよく似合う。SNSや番組内で芸能人が自身のプライベートを明かす機会が多く、役者の私生活が可視化されやすい現代においても、だ。

 「芸能人のブログやSNSがトレンドになったのにはいくつかの理由があります。1つは“親近感”が人気の1つの指標になったこと。次に“収益化”と“宣伝”。そして“表現方法”。テレビ出演だけでなく、別の方法での自分の表現の模索です。もう1つは“自衛”。テレビ、新聞、雑誌がメインだった時代は情報源がそこしかなく憶測記事も多かった。ですがSNSなどで本人が“真相”を発信できる時代になり、オールドメディアに対して楔(くさび)を打てるようになったのです」(衣輪氏)

 「ただし」と同氏は続ける。「こと役者という職業は、従来から私生活を見せることを嫌っていました。これは、変にイメージが付きすぎてしまうと、役を演じていても、観る側に“それ”がチラついてしまう諸刃の剣だからです。だからSNSをやらない役者も多い。『カバチタレ!』(フジテレビ系)で深津さんと共演した盟友・常盤貴子さんも『SNSなどで自分が食べたものとか知らせたくない。なぜならそれは“想像”してほしいから』と話されていました」

 つまり、プライベートが見えないからこそ役者としての神秘性・清廉性が保たれ、不純物なき役柄を魅せることができる。深津もこのパターンであり、視聴者の“想像内”に存在するからこそ、『悪人』などのシリアスな作品から『ステキな金縛り』といったコメディ作品まで幅広く演じることができたのだろう。

 結果、深津絵里は自身のブランドを獲得することもできた。同業者にも好評で、西田敏行は「深津さんは、真摯(しんし)に役として生きるだけで、あるときは笑いになるし、シリアスにもなる」と発言。映画『岸辺の旅』でメガホンをとった黒沢清監督は、深津を指して「何があっても揺らがない超人」と話す。佐藤健、妻夫木聡、小日向文世など、芸能人のファンも多い。多くの俳優に共演できて光栄と言わしめる女優であることは、彼女が役者として一流の風格を持っているという証左だ。

■不器用だからこそフィクションをリアルに落とし込む…深津の“真実”の演技

 2009年の映画『女の子ものがたり』では、昼間からビールを飲み、ダメダメな生活を送ってしまう女性を演じたが、そのインタビューで、共感する部分は全くないと語っている。「仕事ができない!と思ったことはない。たとえできないような状況になっても、逃避することはないですね。仕事でスランプだなんて言っていられない」。彼女が仕事に対していかにストイックかが浮き彫りになる。同インタビューでは、女優の仕事がデビューした時から「楽しかった」、「14歳でやりたいことが見つかってよかった」とも。役者という職業を自身の天職のように感じているのかもしれない。

 2017年には生き方について語っている。「人生を楽しむのは難しいですよね。“人生楽しんだもの勝ち”とか、“一度きりだから楽しまなきゃもったいない”とか、言うのは簡単な気がして(笑)。実際は楽しいだけじゃなくて、苦しいことの方が多いと思う。でも、“苦しいからこそ楽しく生きなくちゃ”って思うものなんでしょうね。そのためには“自分はこうなんだ”と思うものを見つけて大事にしていきたい」。また『悪人』のインタビューで聞かれた「自分は○○人か?」という質問に、深津は「凡人」と回答。「私は、本当に役によって生かされてるなと。本当は趣味がないくらいにつまらない人間なんです」とコメントを残している。

「深津さんは自身について“不器用”だと話されています。例えば、空腹じゃない状況で空腹の芝居ができる人はいいけど自分はそれができない。だからその状況に自分も近づけていくのだと。つまり彼女は嘘がつけない。役者として“天才”ではないのかもしれないが、“嘘”のないそのスタイルで、“嘘”であるフィクションを視聴者のリアルに落とし込めているのではないか」(衣輪氏)

 深津は30代後半から出演本数が少なくなるが、それは、年齢を重ね、1つ1つの仕事に“嘘をつかず”向き合おうとした結果だと筆者は感じている。フランスの哲学者・パスカルは「我々は理性によってのみではなく、心によって真実を知る」と語った。『カムカムエヴリバディ』でも、きっと深津が演じる“真実”を知ることになるだろう。

(文/西島亨)

このニュースに関するつぶやき

  • この人はオールバックロングよりも前髪降ろしたボブカットが一番似合ってたと思う。好きだったなぁ。
    • イイネ!0
    • コメント 0件
  • 一流でありたいなら、軽々しく自分を切り売りしてはいけないという良い例ですね。 辻希美のような人とは、やはりレベルの違いが歴然です。
    • イイネ!24
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(30件)

ニュース設定