「何だその態度は!」 監督の逆鱗に触れ“重い懲罰”を受けた選手たち

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2021年01月23日 16:00  AERA dot.

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写真DeNA時代の中村紀洋 (c)朝日新聞社
DeNA時代の中村紀洋 (c)朝日新聞社
 監督と衝突して2軍で干され、一度は現役引退を覚悟しながら、新天地で不死鳥のように復活を遂げたのが、山崎武司だ。

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 2003年に平井正史との交換トレードで中日からオリックスに移籍した山崎は翌04年、伊原春樹監督と起用法をめぐって対立する。

 自著「さらば、プロ野球 ジャイアンの27年」(宝島社)によれば、伊原監督はプライベートでは思いやりがあり、関東遠征の出発前、山崎が名古屋の自宅で家族とゆっくり過ごせるよう、本拠地での練習を早く切り上げて帰ってもいいと配慮してくれたという。

 だが、コーチ時代に“鬼軍曹”の異名をとった伊原監督は、試合では非情采配に徹した。

 同年4月28日、故郷の人々に元気な姿を見せるはずだったナゴヤドームの西武戦で、山崎は思いもよらぬベンチスタート。前日の第1戦は7番DHで出場したが、この日は前日の試合で負傷した谷佳知がDHに回ったため、割りを食ったのだ。多くの知人を球場に呼んでいた山崎は、すっかり面目を失ってしまった。

 不満をあらわにしていると、伊原監督は「そんな状態で、野球なんてできないだろう」と言った。山崎は売り言葉に買い言葉で「できませんねえ!」と答え、そのまま帰ったが、これが職場放棄と見なされ、翌日、登録を抹消された。

 その後、伊原監督はシーズン最終戦の近鉄戦を前に「今までのことは水に流して、みんなと一緒にやろう」と手を差し伸べてきたが、すでに「野球を辞めよう」と決意していた山崎は、素直な気持ちになれなかった。 

 戦力外通告を受け、このまま現役引退と思われた矢先、近鉄、オリックスの合併に端を発した球界再編問題が、運命を大きく変える。

 一人でも多く即戦力を必要としていた新規参入の楽天から声がかかり、「野球はもう、結構です」と一度は断ったものの、周囲に説得されて、現役続行。移籍2年目の06年に就任した野村克也監督の指導で4番打者として見事復活を遂げ、07年には39歳にして本塁打王と打点王の二冠に輝いた。

 その山崎が楽天の主砲として活躍していた09年のシーズン中、野村監督を批判して、懲罰の抹消処分を受けたのが、トッド・リンデンだ。

 7月に途中加入したリンデンは、73試合に出場し、打率2割9分2厘、12本塁打、37打点の成績でチームのCS初進出に貢献した。

 ところが、10月10日の日本ハム戦でスタメン落ちし、6点をリードされた9回に代打で起用されたことに腹を立て、「6ランホームランを打てということか」などと野村監督を批判。翌11日の仙台移動の際にも、橋上秀樹ヘッドコーチに「クレージー!」を連発したため、首脳陣批判として登録を抹消された。再登録まで最短で10日間。同16日から始まるCS第1ステージには出場できなくなった。

 だが、同21日から始まる第2ステージに出場できる可能性は残されていた。こうした事情から、同13日、リンデンは野村監督に謝罪したが、Tシャツに短パン、サンダル履きといういで立ちは、まったく誠意が感じられなかった。

「目を見りゃわかる。謝ってない。『その目は何だ?』と言っちゃった。反省の色もない。『子を見れば親がわかるっていうんだ。親は何してるんだ?』と言ったら、怒っちゃった」と呆れた野村監督は、謝罪を拒否した。

 しかし、第2ステージ進出決定直後の同19日、リンデンがスーツ姿で再度謝罪に訪れると、野村監督は「リンデン上げるよ。オレは情にもろいんや。結局、オレの欠点。(米田純球団)代表にも『勘弁してやってくれ』と言われたんや」と快く和解に応じた。

 リンデンは翌10年も、楽天でプレーしたが、今度はブラウン監督と起用法などをめぐって衝突。40日間の謹慎と罰金600万円の処分を受けている。

 一塁走者の動きに文句をつけたことが、采配批判とされ、事実上、現役引退に追い込まれたのが、DeNA時代の中村紀洋だ。

 14年5月6日の巨人戦、2対1とDeNAリードの8回無死一塁、4番・中村は三ゴロ併殺に倒れたが、自身の打席中、一塁走者の梶谷隆幸が盗塁狙いのリードを取っていたことに不満を抱き、試合後、「負けている場面ならわかるが、ここは(自分の打撃に)集中したかった」とコーチに訴えた。

 この話が中畑清監督の耳に入り、「チームの方針に従わない言動」と問題になった。

 8回の場面で、ベンチは梶谷に「自身の判断で盗塁しても良い」と指示していた。これに対し、中村の主張は「自分の打席では、場面によっては、走者を動かさず、打席に集中させてほしい」というもの。ベンチの決定事項への批判と取られても仕方がない。

 実は、中村は12年8月15日の阪神戦でも、自身の打席中に、ベンチの「フリーで走っていい」の指示で二盗を成功させた内村賢介を「なぜ盗塁するのか」と怒鳴りつけ、采配批判として2軍落ちしている。

 中畑監督としても、中村が2年前と同じ言動を繰り返した以上、前回より厳しい懲罰を与えざるを得なかった。「彼の力は必要なチームだし、彼の能力は十分わかっている。それでも、そういう言動をしたら、チームが機能していかなくなる」と無期限の2軍落ち処分にした。

 2軍でシーズンを終え、自由契約になった中村は、NPBでの現役続行を望んだが、他球団からのオファーはなく、「生涯現役」を宣言したまま、現在に至っている。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。









このニュースに関するつぶやき

  • 中畑にしても伊原にしても実績ないし結果出てないねんからな。そらしゃ〜ないわ。
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  • 山崎さんには2000本安打を打って欲しかった
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