「犬はどんな感情でもあわせてくれるけど、犬の短い人生は自分次第で決まる」ビションフリーゼ・月ちゃんと暮らす、夏生さえりさんインタビュー!

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2021年01月23日 18:11  ダ・ヴィンチニュース

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 コロナの自粛生活をきっかけにペットを飼い始めた人が増えている。愛らしいペットは癒しの存在だが、ペットを飼うということはこの先も長い年月を一緒に暮らす「家族」を迎えるということであり、当然飼う側には大切な「命」を守るための責任が生じることになる。大切なペットを不幸にしないために、飼い主は何を意識すべきなのだろう。2020年5月にビションフリーゼの子犬の月ちゃん(通称:おつきちゃん」を家族に迎え、SNSでもペットライフを発信しているライターの夏生さえりさんにお話をうかがった。

いざ飼う前に現実的に考えた「本当に飼えるのか?」



――「おつきちゃん」とはどうやって出会ったんですか?

 つきは2020年の2月27日に生まれて5月にうちにきて、もう少しで11ヶ月になります。犬を飼いたい気持ちはずっとあって、実は1年ほど前からいい巡り合わせがないか保護犬のサイトを見ていたんです。私は実家で3匹犬を飼った経験がありますが、夫は犬を飼った経験がないので子犬のほうがいいかなと思っていたのですが、そうするとなかなか条件の合う子に会えなくて。結局はブリーダーさんにお願いしました。

――「ビションフリーゼ」を選んだ理由はありますか?

 犬飼い初心者の夫のことを考えて、「小型犬」でしつけがしやすい犬種であること。またいずれ子どもが欲しいと望む夫婦でもあったので、子どもと触れ合っていても安心なくらい「体が丈夫」なのがいいし、掃除の手間がなるべくかからないように「毛の抜けないタイプ」がよかった。私個人としては「白い犬」がいいなぁとも思っていました。最終的にトイプードルと迷いましたが、そちらは昔飼ったことがあるので今回は初めて飼う犬種にしたんですね。今までインコやハムスターも飼ったことがあるし猫にも憧れているんですが、夫が猫アレルギーなので……。最終的に犬にしたのは、かつて飼っていた犬との幸せの記憶や犬の尊さみたいなものがずっと心に残っていたのもありますね。



――パートナーが犬初心者だと「飼いやすさ」は大事ですね。犬を飼うことそのものには抵抗はなかったんですか?

 夫は犬を見るのは好きではあっても、一緒に暮らすというイメージはまるでなかったようです。「旅行に行けなくなる」「世話が大変」とかネガティブなイメージが先行して、「飼ったら楽しいのはわかるけど、今のままでも十分楽しいからいいでしょ」と。それでも「私がどうしてもというなら」という感じではいてくれたので、説得し続ければ許可を出してくれたのかもしれません。でも、私はあくまでも犬は家族になるもので、2人で育てていくものだから1人の希望で進めるのは違うとも思っていて、何度も根気よく話して様子をうかがったりしていました。結局はコロナの状況になり、私が在宅で仕事できる環境になったのをきっかけに飼うことになりました。「今なら、子犬の時期に寂しい思いをさせずに済むし、しつけも絶対にできる」と確信して、いよいよ本気で探しはじめたのを夫がなんとなく察したのかもしれません(笑)。夫の気持ちは徐々に変わっていった感じだと思います。



――事前に意識して検討または用意したことはありますか?

 いつかは飼いたいという気持ちがあったので、あらかじめペット可の物件に引っ越しはしていました。犬と暮らしたいと本気で思っていた私ですが、それでも「ほんとに世話ができるのか」という確信は、なかなか持てませんでした。共働きの夫婦ですから、寂しい思いをさせずにすむのかとか、もし病気になったらどっちが調整して帰るのかとか、実家に帰省したいときはどうするかとか……憧れとは別次元ですから具体的に心の準備をしていきました。

――どこか子育ての悩みと同じような……。折しもさえりさんは妊娠中ですが、まるごと出産準備のようですね(笑)。

 ほんとですよね。まだ子育てはしたことがないので一緒ですとは言えませんが、2人でひとつのものを育てることの大変さもわかりましたし、子育てのプレプレプレプレ体験をしているのでは? と思う日は結構あります。

「しつけ」は犬にとって自由度を増やしていくこと



――ペットと暮らすようになって実際にどんなことが変わりましたか?

 なにより楽しいですし、お互いを愛しく思う気持ちや楽しくて笑い合うこととか、家の中に愛情の総量が増えたと思います。実は親から「あなたは犬をかわいがるけど、世話はできるかわからない」と心配されていたんですが、いざこの子がやってきたらお世話が全然面倒じゃないんです。「喜ぶのが嬉しい」という気持ちが素直にでてきて、私も何かを育てられるほどちゃんと大人になったんだなと実感しました。ただ、初期は夫とよく衝突もしました。夫も一生懸命世話をしてくれるものの、やっぱり経験者である私がなにかと調べて決断することになり、それがすごく不安だったし私が考えないとこの子の幸せを守れない……そう思ったら夜寝る前に責任感がズシーンときてしまって、つきが来て2週間くらいは毎晩ちょっとだけ憂鬱になりましたね。



――飼いはじめてわかった「大変なこと」はありますか?

 やはり「しつけ」ですね。つきはものすごくマイペースでおおらかで、叱っても全然響いてなくて途方に暮れる時もありましたが、根気よく続けているうちに伝わるようになって。この先は赤ちゃんと一緒に暮らすことになるので、さらに「しつけ」を意識しようと考えています。私と夫だけだったら問題ないことでも赤ちゃんが来たら状況が変わりますし、「手に歯をあてちゃだめだよ」とか「これは噛んじゃだめ、やっちゃだめ」とかしっかり教えていかないと。しつけは犬にとって自由度を増やしていくことでもあるんですよね。しつけが出来ていないことで問題行動が起こり、「つきは、ケージは入っといて」となるのはかわいそうですし、あまり厳しいことをするつもりはないものの「私たちと暮らす上で守ってほしいルール」は責任を持って教えていこうと思います。

――おつきちゃんがかわいく芸をする動画もアップされていますよね。あんないい子だといたずらはしませんか?

 いやいや、いたずらはめちゃくちゃしますよ。ソファーとか壁とかカーペットの裏とかなんでも噛みますし、苦いスプレーをかけて予防しても勇敢なので噛みにいきます(笑)。高いソファはボロボロになったし(笑)、トイレの失敗もあるし、時に無駄吠えすることだってあります。まだ子犬でやんちゃ盛りでもあるので、ゆっくり教えていけたらいいなと思っています。ちなみにトレーニング好きだったので小さい頃にはかわいい芸をいろいろ教えましたが、今はこっちがネタ切れになってしまってやっていません(笑)。

手をかける余裕があればあるほど犬にとってもいい



――これから犬を飼おうという方に、あらためて考えてほしいことはどんなことでしょう?

 大切な命なので最後まで幸せに育ててほしいというのはもちろんですが、人間は他の暮らしが選べても犬には自分が与えた環境が全てだということを考えてあげてほしいですね。犬の一生は自分の与えたことが全てだとわかれば、どんなふうに愛情を注いであげたいかも決まってくるんじゃないでしょうか。今はSNSにはお利口なかわいい子がいっぱいアップされているし、私のところにも「おつきちゃんはいい子でうらやましい」とコメントが来たりします。でもつきがいい子なのは、最低限のしつけをきちんとして向き合っているからこそ。そういう過程を考えずに、自分の犬にできないことがあると「うちの子はバカ」「他の子はお利口なのに」で片づけてしまったら犬がかわいそうですよね。犬も人も、当たり前ですが「教えられていないこと」はできるはずがありません。裏にある見えない部分のこともきちんと知ってから犬を飼ってほしいなと思いますね。一見大変そうに思えるかもしれませんが、犬は人間の愛情に絶対に応えてくれますよ。

――表面的な情報ばかりが先行して簡単に考えすぎてしまうのかもしれませんね。実際に一緒に暮らすと匂いとか汚いものもいろいろありますからね。

 ありますね。でも、犬は全然悪くなくて。できないことがあるなら、それは教えていないか、教え方が犬に合っていないはずで、全責任はやっぱり飼っている人にあると思います。ダメなことはダメ! と叱りますが同時に「どう教えたら、つきにわかってもらえるだろう」といつも考えています。



――そうした責任だけでなく、実際にペットを飼うのには「コスト」もかかりますよね。

 コストは予想以上にかかります。ビションはトリミング代に相当かかりますし、つきは生まれつき消化器系が弱かったので病院にもかかるたびに1〜2万円ほどかかりましたね。ちなみに犬はサイズが大きくなればなるほど毛が長ければ長いほどコストはかかるので、犬種を選ぶときは好みだけでなく、メリットデメリットや性格も考えたほうがいいと思います。手をかける余裕があればあるほど犬にとってもいいし、自分の精神衛生上もいい。高すぎるレベルを求めるわけではないですが、犬の短い人生はこれで幸せなのか?はできるだけ考えてあげたいなと思います。

――ドッグイヤーはほんとに早いですよね。元気で幸せいっぱいのはずなのに、なんだかせつなくなりませんか?

 せつなくなりますね。今、実家の犬が高齢で毎年冬をこえられるか心配している状況なので、命についてはいつでも考えてしまいます。実家の犬の匂いを嗅げるのはいつまでだろう、とか、この子もあっという間に歳をとっていなくなってしまうかもしれない…とか。そんなことを毎日のように思うし、泣きそうになることもあります。もちろん別れは怖いのですが、そんなときは以前飼っていた犬のことを思い出して「とにかくこの子が毎日ちょっとでも幸せにいられる時間を作ることしかできないから、今日も幸せであるといいな」というところに落ち着きますね。



――これから赤ちゃんが生まれると、また「いのち」を考えることが増えますね。

 まったく未知の状況で、どうなるんだろうと不安です。でも愛おしいものが増えるというのは楽しみではあります。いつかの別れや暮らしの大変さだけに目を向けず、日々を大事に積み重ねていきたいなと思っています。

取材・文=荒井理恵



夏生さえり(なつお・さえり)
ライター兼プランナー。取材・コラム・エッセイ・ショートストーリー・シナリオ・脚本・コピーライティング等、活動は多岐に渡る。現在はCHOCOLATE Inc.で広告プランナーも務める。


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