「離婚したい…」もう手遅れ? 漫画で学ぶ夫婦問題、後悔する前に知りたい“夫婦円満の秘訣”とは

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2021年01月23日 21:12  ダ・ヴィンチニュース

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写真『離婚してもいいですか? 翔子の場合』(野原広子/KADOKAWA)より
『離婚してもいいですか? 翔子の場合』(野原広子/KADOKAWA)より

 確かに愛を誓い合い、幸せになるために選んだはずの“結婚”。しかし現実は夫婦関係で辛い想いを抱える人たちが後を絶たない。実際、現代においては「3組に1組が離婚する」と言われており、夫婦関係を円満に維持するのは難しいようだ。

 なぜ、夫婦関係はうまくいかなくなるのだろう。「離婚」の文字が頭によぎるほど、夫婦関係に悩んでいる。あるいは、夫(妻)に対してモヤモヤ・イライラを募らせている時は、思わず感情的になって、気持ちがどんどんと悪い方向へ流されやすいものだ。

 離婚であれ、継続であれ、夫婦関係において“後悔のない選択”をするには、どうすればいいのか。本稿では、夫婦問題や夫婦円満の秘訣をテーマにしたコミックエッセイ・漫画を8作品取り上げた。

 作品内の夫婦たちが何に悩み、どう決着をつけていったのかを知ることは、自分たち夫婦の問題打破や修復のきっかけになるかもしれない。自分の感じているモヤモヤや、置かれている状況に近い作品を見つけ、ぜひ夫婦関係の参考にしてほしい。

夫婦喧嘩ゼロの夫婦に学ぶ“夫婦円満の秘訣”『妻は他人 だから夫婦は面白い』

 世の中に存在する人のほとんどは、自分にとって“赤の他人”だ。そして言うまでもなく、夫婦ですら、元は他人である。

 夫婦となった他人同士が仲良く過ごす秘訣とは何だろう? そのテーマに迫ったのが『妻は他人 だから夫婦は面白い』(さわぐちけいすけ/KADOKAWA)だ。

 本作は出会って8年、夫婦喧嘩ゼロの円満夫婦の“夫”が描いたコミックエッセイ。SNSで話題になった夫婦漫画「イライラしている時の対処法」に加え、作者夫婦の“馴れ初め”や“結婚のきっかけ”などの描き下ろしを70ページ以上収録して書籍化したもので、元は他人の妻と円満にやっていくためのノウハウがすべて詰まった1冊である。

夫婦円満の秘訣は「妻は他人である。ということを絶対に忘れない」

妻は他人 だから夫婦は面白い

 タイトルにもなっている「妻は他人」。この言葉のもつ冷たい響きに、一瞬ドキッとしてしまう人は多いかもしれない。パートナーから他人と突き放されるような、胸に痛い響きがある。

 しかし本作が伝えたい「妻は他人」という言葉の真意は、とても温かい、夫婦関係を豊かにしてくれる考え方だ。著者は夫婦円満の秘訣として「妻は他人である。ということを絶対に忘れない」、と挙げている。これは「他人行儀になれ」というわけではなく、「パートナーが自分とは違う個人であることを忘れない」という意味だ。

妻は他人 だから夫婦は面白い

 例えば、パートナーに対して「察してよ!」「言わなくても、分かってほしい…」という考え方は、あまりに理不尽だと著者は言う。エスパーでもない限り、自分の心の声が相手に分かるはずはないのだ。

「そんなことは当たり前…」と思うかもしれないが、なぜか私たちは特別な相手になるほど、そんな単純な事実を忘れやすい。妻(夫)だって他人だと頭では分かっていても、つい求めすぎてしまう。

妻は他人 だから夫婦は面白い

 また、妻(夫)なんだから「やって当たり前」という考え方は、相手の地雷を踏む原因である。本作では不機嫌な妻に対して「(家事を)手伝う?」と聞いても断られてしまう…と悩む男性のエピソードが紹介されている。

 せっかく夫が歩み寄って声をかけたのに、何も言わず不機嫌な妻だけが悪いのだろうか…? 著者の考え方は、以下のとおりだ。

炊事洗濯は奥様一人の仕事ではなくて「自分がやるべき生活動作」と考えていれば「手伝う」なんて発想にはならないと思います。共働きなら尚更

 このケースでは、夫にとって家事は「手伝う」ものではなくて「自分もやるべき」当たり前の作業である。もちろん、家事をすべてひとりで引き受ける妻が可哀想、家事を任せきりの夫が悪いという話ではない。しっかり話し合って、夫婦間の役割分担ができていれば、「手伝う」という言葉が正しいケースもあるだろう。

 問題なのは「家事は夫婦のことなのに、やってもらって当たり前」と夫が思っていること。こんな勘違いを起こさないためにも、妻(夫)は他人という視点は常に忘れずにいたいものだ。

「妻(夫)は他人」という前提が夫婦に「ちょうどいい距離感」を作る

 夫婦ふたりの間に「共通の考え」があれば、「それぞれの考え」もあって当然だ。大切なパートナーだからこそ、違いを「理解したい」「理解してほしい」という欲求も生まれるだろうが、それが行きすぎれば、途端に相手の負担になってしまう。

 余談だが、心理学用語に「ヤマアラシ(ハリネズミ)のジレンマ」という言葉がある。「近づきすぎれば互いの針で傷つけ合い、離れれば寒さで凍えてしまう。試行錯誤の末、ようやくお互いにちょうどいい距離感を見つける」というドイツの寓話をもとにした、人間の心の距離感について表現したものだ。

 この失敗を繰り返しながら、お互いにとっていい心の距離感を見つける、というのは、良好な夫婦関係を築くためにも大切なことだろう。すなわち、著者やこの心理学用語が伝えるように、夫婦関係で大切なのは「妻(夫)は自分とは違う」と認識した上で、それぞれの考え方を伝えあい、尊重し合うこと。それこそがシンプルに、夫婦円満を叶える秘訣といえるのではないだろうか。

 著者いわく、本作は「人はそれぞれ異なるもの」という前提で、明確なテーマやメッセージ、アドバイスなどはあえて盛り込まず、個人的な日常の出来事=単なる事実を描いてきたという。その事実のなかに「共感できる」部分があれば、さっそく、自分たち夫婦がよい関係性を築くためのヒントとして活用してみるといいだろう。

夫婦のすれ違いは脳科学で解決! 『まんがでわかる 妻のトリセツ』

 なぜ妻は突然、怒り出すのだろう。その理由がさっぱり分からない、だから仲直りもできないし、余計に怖い…。そんな“理不尽な妻”に悩める夫たちへ、とっておきの1冊がある。『まんがでわかる 妻のトリセツ』(黒川伊保子:著、堀田純司:シナリオ、井上菜摘:漫画/講談社)だ。

 本書は、人工知能研究者・黒川伊保子氏によるベストセラー『妻のトリセツ』(講談社)を、とある夫婦の日常を描いたストーリー仕立ての漫画で、より分かりやすくした1冊だ。脳科学の見地から、夫という役割をどうこなすのか、理不尽な妻との上手な付き合い方を指南する。

夫婦のすれ違いは「男性脳」と「女性脳」の違いが原因

まんがでわかる 妻のトリセツ

 結婚生活に夢を見ていたのは過去の話で、「妻が怖い」と家庭に居心地の悪さを感じている夫は多いようだ。妻はなぜ、こんなにイライラしているのか、妻の“地雷”はどこにあるのか…、それを理解するためには「男性脳」と「女性脳」の違いを知る必要があるという。

 例えば、妻から「過去のことをいつまでも責められる」とウンザリしている夫は多いかもしれない。「もう反省したし、謝ったし、仲直りもしたはずなのに、今の自分にどうしろって言うんだ…」と理不尽に感じているなら、それは“誤解”だ。

まんがでわかる 妻のトリセツ

 脳科学の見地からすると、男性にとっては“過去になった”ことでも、女性にとってはある意味ずっと“今のこと”なのだという。女性脳は過去の出来事を「感情」のインデックスをつけて記憶し、何気ない一言をトリガー(引き金)にして、一気に記憶を呼び出せる能力がある。女性脳は過去の嬉しいことも、悲しいことも、まるで今経験しているかのように、みずみずしく思い出すことができるのだ。

 これは子どもを無事に育てるために培われたスキルであるため、妊娠中や育児中は余計にトリガーが刻印されやすい。仮に妊娠中に夫が不貞を働こうものなら、妻からするとそれはいつまで経っても「もう済んだ話」にはならないのである。

夫から妻へ歩み寄るためのキーワードは「共感」

まんがでわかる 妻のトリセツ

 とはいえ、どれだけ悔いても、過去をやり直すことはできない。そもそも最初から完ぺきな夫(妻)なんていないだろう。しかし脳科学の知識を活用すれば、悪化した夫婦関係を修復するチャンスはいくらでも作ることができる。

 例えば、女性脳が“共感”を求める傾向にあるというのは、この手の話で耳にしたことがあるだろう。そして男性脳は共感より、問題解決を求めるため、つい妻にとっての“余計な一言”を投げかけてしまいやすいのだ。

まんがでわかる 妻のトリセツ

 本書は、日常にありがちな「妻の地雷」を踏まないためには、夫から妻へ歩み寄る気持ちが大切だという。例えば、TVで出産シーンが流れた時に「子どもを産むのってこんなに大変なことだったんだ、わかってあげられなくてごめんな」と声をかけることは、妻の悲しく辛い記憶を和らげる効果がある。負の感情ばかりが、トリガーになるわけではないためだ。

 本書は悩める夫に対して、態度だけでもいいから「妻に共感するフリ」をするよう促している。女性の立場からすると「フリとはなんだ!」と納得いかないかもしれないが、そもそも男と女の脳は違い、男性は共感が苦手な生き物と理解しておくことが大切だ。

 その他、本書は男性脳ではなかなか理解できない妻を絶望させるセリフや嫁姑問題について、脳科学をベースにしてロジカルに解説する。問題解決を図りたいと悩める夫にとって、本書はまさに理想的な「妻のトリセツ」といえるだろう。

夫婦関係がうまくいかない理由を知る『話を聞きたがらない夫 悩みを聞いてほしい妻 精神科医が教えるコミュニケーションのコツ』

 子育ての悩みを夫に色々と相談したいのに、話を聞いてくれない。自分ばかりが頑張って、空回りしている感じがする。

 そんな寂しさと悩みを抱えた主婦を主人公として、夫婦間のコミュニケーションや子育てがうまくいかない理由をコミック形式で解説した1冊が『話を聞きたがらない夫 悩みを聞いてほしい妻 精神科医が教えるコミュニケーションのコツ』(岡田尊司:監修、原わた:漫画、伊東フミ:作画/KADOKAWA)だ。

 本作では「愛着スタイル」をキーワードに、うまくいかない夫婦関係や子育ての理由を論理的にあぶり出し、家族みんなが生きやすく、幸せになる方法を精神科医の著者が解説する。

 著者の岡田尊司氏は『愛着障害』(光文社新書)、『人間アレルギー』(新潮社)など多数の著作を通じて、人々の悩みや不安に向き合っている精神科医。生きづらさを感じながら日々過ごしている人の「安全地帯」を作りたいとの思いから、大阪に心療内科クリニックを開院している。

パートナーへの不安、モヤモヤは「愛着のクセ」のせい?

話を聞きたがらない夫 悩みを聞いてほしい妻 精神科医が教えるコミュニケーションのコツ

 著者いわく、夫婦間で起こるモヤモヤ、虚しさの原因は、自身が親との関係で身につけた「愛着のクセ」が関係しているという。愛着とは、簡単に説明すると「人と人を繋ぐ絆のようなもの」だ。

 例えば、幼少時に親との関係が安心できるものではなかった人は、つねに人の顔色をうかがう〈不安型〉、親に甘えられなかった人は、他人と向き合うことが苦手な〈回避型〉といったふうに、子どもの頃の環境によって愛着スタイルは作られていく。

 本作の主人公である妻は〈不安型〉で、夫がイライラしていれば自分が何かしたのだろうかと不安に思ったり、子育てについて他人事のような夫の態度に孤独感を強めたりしている。

話を聞きたがらない夫 悩みを聞いてほしい妻 精神科医が教えるコミュニケーションのコツ

 相手から嫌われたくない、相手に受け入れられているか気になるとの思いが人一倍強い〈不安型〉は、必要以上にひとりで悩みを抱え込みやすいようだ。さらに、愛情の飢餓感が強いため、パートナーへの期待値が高い傾向もある。

 もちろん、心配性すぎの不安型がすべて悪いという話ではない。愛着(心)のクセを理解することで、自分の感じている不安やモヤモヤは和らげられるかもしれない、ということだ。夫婦の問題はふたりのこと…には違いないが、まずは自分自身を知ることが、心をラクにして生きるための大きな一歩となるかもしれない。

夫婦問題の原因は「愛着スタイル」が異なるから

話を聞きたがらない夫 悩みを聞いてほしい妻 精神科医が教えるコミュニケーションのコツ

 とはいえ、夫婦間のモヤモヤのすべてが、自身の愛着スタイルに起因しているわけではない。著者いわく夫婦がすれ違うのは、「それぞれが異なる愛着スタイルを持っているから」だという。

 例えば、本作の夫は幼少時、親に甘えられなかったタイプに多い〈回避型〉という愛着スタイルを持っている。「自分にはそんなもの必要ない」と自分を守るクセができてしまい、一匹狼的なライフスタイルになりやすいのだという。

話を聞きたがらない夫 悩みを聞いてほしい妻 精神科医が教えるコミュニケーションのコツ

 人一倍不安を感じやすく、それを相手にぶつけてしまいやすい〈不安型〉の妻に対して、〈回避型〉の夫は、そもそも他人と向き合うことを苦手としているため、すれ違いが起こりやすいのである。愛着スタイルが違うと、相手に対して求めていることや、安心できる反応も異なるため、モヤモヤの種ができやすいのだ。

 本書では、自分の愛着のクセのせいでパートナーにモヤモヤしている人、そして異なる愛着スタイルを持つ夫婦が幸せに生きる方法を解説する。具体的なモヤモヤ解消法を、さっそく日常に役立ててみてはどうだろうか。

「夫が大嫌い…」目指すは離婚! キレイゴトなしのエッセイ漫画『離婚してもいいですか? 翔子の場合』

 大嫌いな夫と別れたい専業主婦の姿を描いたセミフィクション・コミックエッセイ『離婚してもいいですか? 翔子の場合』(野原広子/KADOKAWA)。生活情報誌『レタスクラブ』連載で賛否を呼び、多くの女性をざわつかせた話題作にして“問題作”だ。

 本作では、内心では大嫌いな夫と離婚したいと思いつつ、自分に自信を持てず“とりあえず”ニコニコと笑って過ごしている専業主婦、翔子が強く成長していく様子が描かれている。

離婚してもいいですか? 翔子の場合

 最終的に翔子がしっかり自立した女性になって、モラハラ気味の夫をぎゃふんと言わせてめでたしめでたし…とならないのが本作のミソ。ほんわかとして優しいタッチのイラストとは裏腹に、圧倒的にリアルな展開で、最終回では「涙が溢れて止まらなかった」という主婦読者の声も多く上がっている作品だ。

すでに関係が破綻…? 大嫌いな夫と離婚したい専業主婦の辛い現実

離婚してもいいですか? 翔子の場合

 主人公の翔子は6歳と4歳の子どもを育てる2児の母で、専業主婦。献立には夫の好物を必ず加え、夫が仕事から帰ってくれば大人しく愚痴に付き合い、毎日“夫の機嫌を損なわないように”生きている。連載当初は、内心で大嫌いと言いながら、夫に対して素直すぎる翔子の姿にイライラさせられる読者は多かったようだ。

 一方、モラハラ気味の夫は「とにかく笑って丸くおさめる」タイプの妻のことをバカにしており、家事・育児には非協力。しかも、偶然再会したシングルマザーの同級生に惹かれている――。

 夫に“女の影”を感じた翔子はついに心身ともに限界がきて、心療内科を受診。ずっとひとりで抱え込んできた悩みを医師に打ち明けたことをきっかけに、「いつかきっと離婚するんだ!」と自分で生きる力を身につける決意をする。

離婚してもいいですか? 翔子の場合

 とはいえ、現実はそれだけで好転していくほど甘くはない。相変わらず夫は家のことを手伝わず、始めた介護の仕事では叱られてばかり…。しかし翔子は「絶対、離婚するんだ!」という目標ができたことで、夫にイライラすることもなくなる。明るい未来に向けて、着実に努力を積んでいくのだ。職場の人たちとの会話が翔子の視野を広げ、生きるヒントにもなっていく。

 また本作では、翔子の“笑って耐える”性格には、幼少時の記憶が影響していることが明らかになる。怒りっぽい父親の機嫌を損ねないために、いい子を演じていた習慣が、夫に怒鳴られると体がすくみ、言い返せない自分を生み出していたのである。

「離婚したい」「…でも、できない」と悩んでいる主婦たちへ

離婚してもいいですか? 翔子の場合

 本作は、夫がいながらひとりきりで育児や家事に奮闘して、孤独を感じている主婦に読んでほしい1冊だ。ストーリーが進むにつれ、嫌いな夫にも自分自身にも打ち勝つ強さを身につけていく翔子の姿は、まさに今、離婚の文字が頭にチラつく主婦の心に響くはずだ。

離婚してもいいですか? 翔子の場合

 しかし、そんな彼女が迎えた夫婦としての決着は、果たして本当にこれでよかったのか…本当に後悔はしないのか、意見が分かれることだろう。実際問題、翔子が悩んでいたように、専業主婦が離婚に踏み切れない理由の多くが、経済的な問題である。

 お金のことを無視して、感情だけで離婚に踏み切ってしまえば、後に冷めた結婚生活以上に辛い現実が待っているかもしれない。一方で、自分の心を押し殺してまで続ける破綻した結婚生活に、一体どれほどの価値があるだろう…。

 キレイゴトなしの結末は、夫婦問題や離婚について客観的に考え、自身の気持ちを整理するのにも役立ってくれるに違いない。

5年会話ゼロの夫婦が迎えた衝撃のラスト! 『妻が口をきいてくれません』

 そんなにイヤなら別れてしまえばいいのに…という夫婦がなんだかんだ仲良く過ごしていたり、はた目からは理想的に見えていた夫婦があっさりと離婚してしまったり――、夫婦関係には謎(ミステリー)が多い。

 連載当時、「ウチと同じです」「ウチの家庭、覗きました?」という言葉が著者に届くほど共感と話題を呼んだコミック『妻が口をきいてくれません』(野原広子/ 集英社)。本作は集英社ノンフィクション編集部公式サイト『よみタイ』で累計3000万PVを超えた漫画に“衝撃的な結末”を含む描き下ろしを加えて刊行された1冊だ。

 本作で描かれる夫婦は、5年間会話がない。ある時から、必要最低限の言葉以外、妻が夫に話しかけてこなくなるのだ。夫はなんとか妻との関係を修復しようとあれこれと働きかけてみるが、気づけば3日、3カ月、5年と会話のない生活が続いていく。

口をきいてもらえない夫が悪い? 口をきかない妻が悪い?

妻が口をきいてくれません

 本作は「夫が悪い」「妻がひどい」など賛否両論で、読む人によって印象がガラリと変わるのが特徴だろう。「夫 誠の章」「妻 美咲の章」の順番で夫婦それぞれの内面が描かれているので、パートナーの気持ちを理解するために手にとってみるのもオススメだ。

 夫・誠は職場で妻が作った弁当を食べながら、3日も口をきいてくれない妻のことを考えている。何に怒っているか理由は分からないけれど、とりあえず自分が謝っておけばいいと下手に出てみるが…やっぱり妻は、口をきいてくれない。理由も分からないまま、3カ月、1年…と過ぎ、次第に夫は家に帰りたくない、無視されるのが怖い、と感じるように――。

妻が口をきいてくれません

 第1章では、妻から一方的に無視される夫が不憫に思えてならない読者がほとんどだろう。男と女、夫と妻はまったく別の生き物であり、理解するためにも「言ってくれなきゃ、分からない」と、この状況に理不尽さを感じてもおかしくはない。

 しかし、妻・美咲の心境を知った時、「それは、無視されて当然かも…」と心動かされる読者も増えてくるはずだ。「だったら、すぐ別れればいい」「この態度は良くない」などの意見も出てくるだろうが、夫婦関係の問題は、片側だけの視点からだけでは決して全体像を掴めないのだ、と実感できる。

離婚を切り出した夫に妻から返ってきた衝撃の言葉

妻が口をきいてくれません

 夫婦で口をきかなくなってから、とうとう6年が経った。夫はついに「離婚しよう」と声に出す。すると、妻からは「私はまだ好きなのに?」と思いもよらない言葉が返ってくる――。妻の真意は書籍で確認してもらうとして、改めて、なぜ妻は夫と口をきかなくなったのだろう。

 夫は妻に口をきいてもらうため、家事を手伝ったり、子どもと積極的に遊んだり、職場の先輩(女性)のアドバイスで花を買ったりなど、あらゆることを試してきた。しかし、妻が口をきいてくれることはなかった。

妻が口をきいてくれません

 本作では、妻が「もう夫とは口をきかない」と決めた日のエピソードも描かれるが、それはあくまで“きっかけ”に過ぎなかったのだ。時々、夫がかわいそうになってくるけど、また失望するのがイヤだから、口をききたくないのだという妻の意見は、ぜひ世の中の多くの夫に目を通してほしい。

 書籍化で新たに描き下ろされた“結末”は、多くの夫婦間で「ありそう…」な現実的な展開だ。夫婦関係の破綻や離婚など、最悪な状況を迎える前に、パートナーと向き合うきっかけにしたい1冊である。

元ダメ夫が解説する「夫のトリセツ」『なぜか、いつも夫は他人ゴト。』

 家のことを“何もしない”夫への不満を募らせている妻は多いものだ。今すぐ離婚したいと思うほどではないにしても、日々、夫へのイライラをおさえられず過ごしているなら、『なぜか、いつも夫は他人ゴト。』(ザビエル:著、あべさん:イラスト/サンクチュアリ出版)を手に取ってみてはどうだろう。

 本作は「元ダメ夫」の著者が、冷え切ってしまった夫婦関係を改善すべく、心理学の観点から約8年かけて編み出した夫婦コミュニケーション術をまとめた1冊だ。著者はネットゲーム、パチンコ、浮気、モラハラを繰り返していた典型的な元ダメ夫で、同性の立場から“思い通りにならない夫を動かすメソッド”を解説している。

 本書の特徴は妻目線ではなく、あくまで元ダメ夫が執筆した【夫のトリセツ】のようなもので、さまざまな男性心理と対処法が書かれている点だ。なかには男性心理について参考になる部分も多いが、冷静に読んで男性目線の意見にイライラしてしまった…という女性読者の感想も少なくはない。本書は自分(妻)をイライラさせる夫という存在が、どんな心理で生きているのか、いち意見として参考にしてみるのがいいだろう。

相談したいのに…夫が真剣な話し合いに応じない時の対処法

なぜか、いつも夫は他人ゴト。

 上の4コマ漫画では、子どものことについて相談したい妻と、テレビに夢中で話を聞こうとしない夫の姿が描かれている。4コマ目、「この人には何を相談しても無駄!」と内心で諦めてしまった妻の姿に、「ウチもそうだ…」と共感と軽い絶望を覚える人は多いだろう。

 こんなシチュエーションで、夫にイラッとせず、求める会話をするにはどうすればいいのか。著者いわく、まずは妻が“一緒に決める”という意識をもって会話を始めてみることが大切だという。

 そもそも相談とは相手の意見を聞くことではなくて、一緒に考え、一緒に決めることである。上の4コマ漫画の妻の発言では、子どものことに対して問題意識をもって事実を伝えているが、相談していることにはならない、というのが著者の主張だ。

 まずは何が起こっているか、自分はどう思っているかを伝えた上で、夫に意見を尋ねてみる。ふたりの意見が出てはじめて、今後どうするかを真剣に話し合えるというのである。

「大変さを理解してくれない!」何もしない夫に家事をさせるには…?

なぜか、いつも夫は他人ゴト。

「家事の大変さに理解がない夫」について、本書は「“理解してもらえない”を理解せよ」「欲しい言葉をたらふく与えろ」という2STEPの対処法を紹介している。

 結局、妻が日々こなしている家事の大変さは、夫自身が体験しない限り、理解する日はやってこない。一方で、夫の仕事上のストレスや大変さを妻が正しく理解することもできないだろう。やったことのない大変さを理解するのは、誰にとっても難しいことなのだ。

 では、家事の大変さを理解できない夫を動かすためには、どうすればいいか。その対処法が「欲しい言葉をたらふく与えろ」である。

 夫婦に限ったことではないが、嫌味を言ったり、相手をぞんざいに扱ったりすれば、その言動はブーメランのように自分のところに戻ってくる。「私だって大変」と言えば「俺だって大変」になるのだ。すなわち、互いの大変さは理解できないことを理解しつつ、自分から欲しい言葉を相手に投げかけておく、という習慣づけが、シンプルに夫のやる気を起こす法則なのだという。

 本書を読むと「何もしない夫ではなくて、自分が変わる必要があるの…?」とモヤモヤしてしまう女性もいるかもしれない。しかし自分が変わったほうが話が早い、と割り切ってしまうのも断然アリだ。何もやらない夫を動かす指南書として、本書を賢く活用してみてはどうだろうか。

仲良し夫婦が行う“日々の工夫”とは 『僕と妻の場合 僕たち夫婦が仲良く暮らしている理由』

 大切なことは、失ってから気づくことが多い。「夫婦だから」やって当たり前、分かって当たり前、を繰り返していくうちに、そのありがたみや大切さをつい見逃してしまう。

 そんな何気ない日常の大切さ、夫婦が仲良く暮らしていくためのコツを教えてくれるのが『僕と妻の場合 僕たち夫婦が仲良く暮らしている理由』(漢弾地/飛鳥新社)。本作はTwitterで話題となった「魔法のおにぎり」をはじめ、ごくごく普通の仲良し夫婦の「日々の工夫」について描いたエッセイ漫画だ。

 常に相手を敬い、感謝の気持ちを忘れないことが、夫婦としてうまくやっていくための秘訣――当たり前のことであるが、これが意外と難しい。夫婦で仲良く過ごすためのエッセンスを凝縮した本作で、改めて日常や夫婦生活で大切なことを再確認してみよう。

人生にじんわ〜り効いてくる、夫婦間コミュニケーションのコツ

僕と妻の場合 僕たち夫婦が仲良く暮らしている理由

 本作には、漫画家で夫の「僕」と「妻」の何気ない日常のひとコマが描かれている。例えば、僕が妻に対して「かわいい」「キレイ」と、どんどん口に出して伝えるようにしている――というエピソードは、夫婦が仲良く過ごすための秘訣として“よくある”パターンだ。しかし妻から返ってきたのは「あなたもかわいいよ!」という、思わぬ“カウンター”。

僕と妻の場合 僕たち夫婦が仲良く暮らしている理由

 改めて夫が「俺のどこがかわいいの?」と妻に尋ねてみると、返ってきた言葉は「生きて動いているところ」! まるでギャグ漫画のようなやりとりは、読んでいるだけで心をほっこり和ませてくれる。

 本書から分かる夫婦円満のコツは“口に出して伝えること”だ。ただ、何に対してなのかハッキリとしない、ぼやっとした「ありがとう」や「ごめんね」が相手に響くことはないだろう。また口に出すことと言えば、愚痴や嫌味ばかりになっている人も多いのではないだろうか。

 本作の夫婦は「以心伝心はない」を基本に、伝えることを諦めず、理解することを投げ出さない努力をしている。相手を理解しようとする姿勢は、自然と相手のことを“よく見る”ことに繋がり、結果的に「アレとって」で理解し合えるような阿吽の呼吸は生まれてくるのだ。

頑張った時は「褒めてください」、時間がたっても「ありがとう」

僕と妻の場合 僕たち夫婦が仲良く暮らしている理由

 夫婦だからこそ、相手に認めてもらいたいと思うのは自然なことだ。しかし受け身になって待っているだけでは、相手が期待通りの反応をしてくれるとは限らない。「気づいてよ…」と悶々とする時間が、次第に相手への失望とイライラを募らせていく…。

 そこでひとつ、提案である。家事や仕事など、どれくらい頑張ったかというのは、自分にしか分からない。文句なく頑張った! という日には、本作の「僕」のように自分から褒めてもらいにいくのはどうだろう。日ごろから自分のしてほしいこと、感じていることは、素直に口に出していくのだ。

僕と妻の場合 僕たち夫婦が仲良く暮らしている理由

 もちろん、自分が相手からしてもらったことに気がついて、きちんとお礼を言えることも大切である。その場ですぐに言えなくても、「ありがとう」を伝えるのに有効期限はない。思い出した時に、何に対しての感謝かをはっきりとさせて、相手に自分の想いを届けよう。

 本作の夫婦は、仲良く過ごすために血のにじむような努力を重ねているわけではない。当たり前になってしまいやすい、互いの存在、日常の些細な出来事を大切にしながら生活しているのだ。彼らのほっこりとしたやりとりから、自分たち夫婦が仲良く過ごすためのコツを探してみてほしい。

考え方がまるで違う夫婦が仲良く暮らす秘訣『理系クン 夫婦できるかな?』

 結婚してふたりで暮らすようになったからといって、持って生まれた性格や思考パターンを変えることはできない。互いの違いを認めて、どう折り合いをつけながら夫婦円満に過ごしていくか、そのヒントになる1冊が『理系クン 夫婦できるかな?』(高世えり子/文藝春秋)だ。

 人気シリーズ第3弾にあたる本作は、理系クンことN島クンと、文系女子のえり子がついに結ばれ、新婚生活をスタートさせるところから始まる。理系男子との結婚生活、と聞くと、なんとなく「家庭的なことできるの?」と不安な印象を抱く人も多いかもしれないが、実は目の前のことに精いっぱい取り組み、論理的な考え方をする“理系の夫”は家事や育児で頼もしい存在なのだとか。

 理系脳と文系脳で考え方がまるで違うN島クンとえり子。彼らの新婚生活から、考え方の違うふたりが仲良く過ごすための秘訣を探してみよう。

“理系あるある”に振り回されるけど…理系クンは夫婦問題を放置しない!

理系クン 夫婦できるかな?

 新居に引っ越してくるなり「この冷蔵庫どおっ!?」「この洗濯機は…」「この湯沸かしポットは…」と家電トークワンマンショーを繰り広げるN島クン。この日のために家電屋をハシゴしてパンフレットを集め、時間さえあれば店頭やネットで価格・スペックを比較、文句なしの家電製品を最安値で買いそろえたのだという。

 力説虚しく、えり子がしーん…と黙っていると、途端に落ち込んでしまうN島クン。家電に対して「使えればいい」くらいの非・理系な人からすると、ちょっと対応が面倒くさく感じてしまうかもしれない。しかし新婚生活のために一生懸命に家電を選んでくれたと思うと、憎めなくなる人は多いはずだ。

理系クン 夫婦できるかな?

 N島クンは“理系あるある”な行動パターンで、度々えり子を怒らせてしまう。例えば、家電に限らず購入する商品をじっくり検討・比較したいN島クンは、つい買い物に夢中になってしまう傾向がある。ひとつひとつの買い物に時間がかかり、自分の世界に入ってしまうN島クンの姿は、えり子でなくてもイライラさせられる人は多いだろう。

「一緒にいる意味全然ない!」と怒りを吐き出したえり子に対して、N島クンは自分がどう思っていたかを言葉にし、なぜうまくいかなかったのかを理解しようとする。そして理系らしく論理的に考えた結果、「ケンカにならず二人で買い物できる」対策を打つのである。

 考え方の違いから夫婦喧嘩はしてしまうが、問題(バグ)を放置せず、ひとつひとつ問題を解決していく理系クンとえり子は、理想的な夫婦像といえるのかもしれない。

愛情だけはたっぷりの愛妻料理も理系な夫はシビアに判定

理系クン 夫婦できるかな?

 理系クンばかりが歩み寄り、夫婦のために努力しているわけではもちろんない。本作には、愛情だけはたっぷりだが、味はイマイチ…な愛妻料理をN島クンが上手にホメられない、というエピソードがある。

 時間をかけて、一生懸命作った料理。ちょっぴり味がイマイチでも、そこはおいしいと言ってほしい…。そんなえり子の想いも虚しく、理系クンは料理の感想を求められて、「ちょっと肉がかたい!」と事実を告げてしまうのだ。

「おいしいって喜んでよ!」といじけてしまうえり子に対して、N島クンはなんとか「妻の料理をホメる」よう努力をする。しかしセリフ口調のホメ言葉は、墓穴を掘り続けるばかり…。

理系クン 夫婦できるかな?

 この問題についてお互いに疲れが見え始めた頃、N島クンは「妻の愛だからおいしいっていうのは感情論」「おいしいに感情論は加味されない」と理系ならではの持論を展開する。それに対してえり子は、「手作りチョコよりデパ地下のチョコの方が断然うれしい」といったように、N島クンが昔から“気持ちがこもっているからおいしい”という考え方をしない人だということに思い当たる。

 N島クンの食への考え方を再認識したことで、えり子は今回抱えていたモヤモヤを解消し、夫が喜ぶ料理についてある法則を導き出す――。本作を読むと、夫婦のすれ違いはいわゆる“性格の不一致”が問題なのではなくて、相手を理解しようとする姿勢が足りていないのかも…と考えさせられる。男女問わず、夫が読んでも、妻が読んでも学びの多い1冊だ。

「離婚」を切り出す前に…夫婦関係がうまくいかない理由を見つめ直そう

 本稿では、夫婦問題や夫婦円満に過ごす秘訣をテーマにしたコミックエッセイ・漫画作品を紹介してきた。これらの作品に登場する夫婦の抱える問題や関係性がさまざまであるように、まったく同じ夫婦というものは存在しない。

 たとえ「どこかで聞いたような夫婦の修羅場エピソード…」であっても、当事者にしてみれば、それは唯一無二の苦しみであり、痛みでもある。その辛さを乗り越えた体験談であるコミックエッセイは、共感だけでなく、自分も動くしかないのだと、一歩を踏み出す勇気を与えてくれるだろう。一見、修復が絶望的に思える夫婦でも、アプローチによっては“ふたり一緒の未来”を明るく描けるようになるかもしれない。

 ただ、自分が思い描けないことを、実現していくのは難しいものだ。そこで夫婦円満の秘訣について描いたエッセイから、自分の理想とする夫婦像を探してみるのもいいだろう。

 脳科学や精神医学の観点から夫婦問題に切り込んだ作品は、客観的に現状を見つめ直すきっかけとして最適だ。男と女では脳(考え方)が違うと理解しておくことで、むやみに夫婦喧嘩を繰り返しては、心身ともに疲れてしまう状況を回避できるようになるかもしれない。

 また、夫婦問題はふたりの問題であると同時に、自分の人生をどう生きるかを問い直すきっかけでもある。自分自身と向き合うことが、結果的に夫婦関係をより良いものに変えてくれることだってあるはずだ。

 夫婦の数だけ、さまざまな悩み、問題、関係性はある。同じものはなくても、どこかには必ず自分たち夫婦の問題解決の糸口になるような体験談もあるだろう。本稿で紹介した作品を、ぜひ自分自身や夫婦について見つめ直すきっかけとして役立ててほしい。


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