『天国と地獄』『ボス恋』も好調!『逃げ恥』『半沢直樹』…TBSドラマはなぜ強いのか

74

2021年01月24日 16:00  週刊女性PRIME

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週刊女性PRIME

写真綾瀬はるか
綾瀬はるか

 昨年、TBSからは『半沢直樹』(7月期)や『私の家政夫ナギサさん(「わたナギ」)』(同)などの連続ドラマのヒット作が生まれた。今年1月期はどうかというと、やはり滑り出しは好調だ。

『オー!マイ・ボス!恋は別冊で(「ボス恋」)』(火曜午後10時)の初回の世帯視聴率は合格水準の10%を超える11・4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)で2話は11・3%。『天国と地獄〜サイコな2人〜』(日曜午後9時)の初回は16・8%と高い世帯視聴率を記録した。

 なぜ、TBSのドラマは強いのか。「伝統の力」とよく言われるが、テレビ東京を除くと、在京民放キー局のドラマ制作の歴史は大きくは違わない。TBSドラマの強さをロジカルに考えてみたい。

『わたナギ』が
高視聴率を得たワケ

 まずTBSの連ドラは準備期間が長い。放送までに通常、2年かけるという。他局は1年で作ることもある。その分、TBSのドラマは内容が練りに練られている。

 例えば『ボス恋』は上白石萌音(22)扮する主人公・鈴木奈未と、玉森裕太(30)が演じる宝来潤之介によるキュンキュン系恋愛ドラマにとどまっていない。

 大学卒業まで故郷の熊本で暮らしていた奈未の「上京物語」でもある。就職先の音羽堂出版でファッション誌・MIYAVI編集部に配属されて、菜々緒(32)扮する編集長・宝来麗子にしごかれる「成長物語」の一面も。

 雑誌の表4(=裏表紙)とは何かなどをテロップまで使って説明する「お仕事ドラマ」の顔もある。基本的には奈未と潤之介の「ラブストーリー」なのだが、奈未の初期設定を天然でドジにすることで、「コメディ」の色合いも濃くしてある。

 さまざまなエレメントが詰め込まれている。これは最近の火曜午後10時枠の共通項。例えば『わたナギ』はコメディ色が濃かったものの、一方でナギサさん(大森南朋)がエリートサラリーマンから家政夫に転身するまでの心象風景を丁寧に描くことで、「幸福とは何か」という骨太のテーマも織り込まれていた。

 それもあって、ラブコメ適齢期をとっくに過ぎた中高年層の視聴者にも受け入れられ、高視聴率を得た。ラブコメ適齢期の10代から30代くらいまでの男女が見ただけでは高視聴率は得られない。企画段階からよく考えられていたので成功を収めた。

技術&美術スタッフの
レベルが違う

 ドラマの話となると、どうしてもプロデューサーとディレクターに目が向きがちであるものの、ドラマ制作部スタッフの1人は「技術と美術は昔からウチがダントツ。これは他局も認めるはず」と胸を張る。

 確かにTBSドラマの映像は美しく感じる。「照明のテクニックのレベルが高いからです」(同・ドラマ制作部スタッフ)。

 カメラマンは撮る位置を頻繁に変えても嫌がらないという。ディレクターが作りたい映像の実現に向け、技術マンたちは努力を重ねてくれる。技術スタッフにもTBSドラマを支えているというプライドがあるそうだ。

 美術スタッフのスキルが高いというのもうなずける。『半沢直樹』で再現された東京中央銀行本店内の様子がリアルだったのは記憶に新しい。

 制作陣が撮影場所として学士会館(東京・神田錦町)を探し出し、借りることに成功した後、美術スタッフが銀行らしく見える小道具をそろえた。

 『天国と地獄』では綾瀬はるか(35)が扮する刑事・望月彩子の職場である捜査1課や会議室が真に迫っている。十分な広さがある上、掲示板や液晶ディスプレイなどの小道具もハマっているからだ。

 他局の刑事ドラマの中には10畳大ほどのこぢんまりとした部屋で全体会議を行う作品もある。扱う事件のスケールまで小さく感じられてしまい、興ざめだ。

1960年代から映像美に拘るディレクターが大半で、撮りたい映像が作れる場所を、見つかるまで徹底的に探す。美術スタッフはその場所に小道具を合わせてくれる」(同・ドラマ制作部スタッフ)
 
 ちなみに『天国と地獄』もよく考えられている。刑事の彩子は高橋一生(40)扮する猟奇的な連続殺人鬼・日高を追う。追い詰めたところで2人の中身(魂)が入れ替わってしまう。こう書くと、気味の悪いオカルト話だが、実際には明るくコミカルで、家族そろって楽しめそうな作品に仕上げられた。

 次に挙げたいのは、TBSと系列会社のTBSスパークルの両ドラマ制作部門がガッチリ一体となっているということ。その分、他局よりマンパワーは強力だ。

 2018年に設立されたTBSスパークルのドラマ制作部門の前身はドリマックス・テレビジョン(旧木下恵介プロダクション)で、『金曜日の妻たちへ』(1983年)などを生んだドラマ作りの名門だ。ドリマックスの時代からTBS系列で連携していたが、スパークルになって関係はより強固になった。両社のスタッフに上下関係や垣根はない。

 日本テレビにもアックスオン、フジテレビにも共同テレビ、テレビ朝日にも東映というドラマ制作上のパートナーが存在するものの、一体化しているとまでは言い難い。局とパートナーの間で軋轢が生じてしまったケースもある。

 一方、TBSとTBSスパークルはまるで同じ会社のように、作品ごとに人材のレンタルが行われる。両社間での出向もある。文字どおりのパートナーで、一体となって作品を作り上げている。
 
 他局にも面白いドラマはある。だが、TBS優位の時代はしばらく続きそうだ。

高堀冬彦(放送コラムニスト、ジャーナリスト)
1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立

このニュースに関するつぶやき

  • 逃げ恥の正月スペシャルが左巻き全開にしすぎて評判が悪かったのは、なかったことになるんだよね
    • イイネ!0
    • コメント 0件
  • 最近のドラマで自分的に「当たり」だと思う要素は、「悪人が出ない」「馬鹿が出ない」「容姿を褒めない」「遊び回を削り伏線回収」だと思います。 視聴者がイラつく表現を
    • イイネ!20
    • コメント 5件

つぶやき一覧へ(46件)

ニュース設定