高学歴エリート女はダメですか? 仕事では負けたくない。重いものは持ってほしい。東大卒で元官僚の山口真由が、その矛盾に向き合う

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2021年01月24日 18:11  ダ・ヴィンチニュース

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写真『高学歴エリート女はダメですか』(山口真由/幻冬舎)
『高学歴エリート女はダメですか』(山口真由/幻冬舎)

仕事では負けたくないけど、重いものは持ってほしい。議論には一丁前に加えてほしいけど、飲み会では女の子扱いしてほしい。(中略)見下されたくないと同時に、女でありたくて、かつ、かわいくありたいなんて、まったく違う方向を同時に目指して、ジグザグに飛行を続ける私は、「未確認飛行物体」さながらだったのだろう。

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 上記は、『高学歴エリート女はダメですか』(山口真由/幻冬舎)を読んでいて最も印象に残った文章だ。

 著者の経歴は、東大法学部首席→財務省→弁護士→留学→大学准教授という輝かしいもの。さらにはタレント活動も行っているが、「37歳、未婚」という自身の現状にはある種のもどかしさも感じているという。

 また著者は自身について、「男が富を、女が美を提供するって価値観をよしとしてるんじゃないか」と感じ、「私はたぶんフェミニストになれない」とも書いている。そして「性的な関心を向けられたとき、おそらく、私は、反射的に優越感と嫌悪感の両方を抱く」と赤裸々な心情も綴っている。

 本書で著者は、そうした自己矛盾や葛藤を包み隠さず描き、自分に真正面から向き合おうとしている。割り切れないまま、悶々と考え続けている。その“強さ”と“繊細さ”が同居する文章は彼女のハイスペックな経歴以上に眩しく、恋愛の話になるとロジカルな思考がふらふらになってしまう部分もなんだか愛らしい。

 また本書に収録されたエッセイには、芸能人や女子アナを鋭い&どこか意地悪な視線でウォッチしたものも多いが、その文章のおもしろさも、彼女が抱える矛盾や自己嫌悪から生まれたものだろう。

 たとえば、自身の恋愛報道があったあと、速攻で和田アキ子に根回しできちゃうこじるり(小島瑠璃子)の聡明さに気づき、「優等生病」と命名したエッセイ。滑るほどに酔いしれる羽生結弦選手や、喋るほどに酔いしれる姜尚中先生を「主役病」と名付けた文章。

 三田友梨佳アナが番組中に「上から目線に聞こえてしまうかもしれませんけど……」と前置きしたことに気づき、彼女の経歴の華やかさを書き連ねたあとで、「ナチュラルに生きてれば、大衆よりよっぽど高い目線を持っちゃうでしょ、普通」と続ける見事な指摘。

 優等生っぽく、主役になりたがりな雰囲気があり、経歴が華やか。いずれも著者自身も持っている一面だからこそ、その分析は鋭く手厳しいものになっているのだろう。「人を斬る文章で自分を斬りつけている」という皮肉さも含めて本書はとてもおもしろいのだが、その様を笑いながら読める自分は同じ穴のムジナ……と考えると、自意識の闇の深さに怖くもなってくるのだった。

文=古澤誠一郎

このニュースに関するつぶやき

  • この文章の最後の2行こそが示唆に富んでる。w
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  • 都合よく、美味しいとこ取りだけしようとするから、アカンのよ。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」君に進呈!
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