キンコン西野の映画『プペル』信者商法に非難…安倍昭恵が「すごい 私も見えない星を信じて突き進む」と絶賛で逆に胡散臭さが

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2021年01月25日 07:10  リテラ

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リテラ

安倍昭恵Facebookより

 キングコング西野亮廣が原作・脚本・製作総指揮を務めた映画『えんとつ町のプペル』。昨年12月25日に公開され、西野は興行収入100億円を目指すとしていたが、この映画をめぐって、西野ファンがチケットを販売目的で何十枚も大量購入していることが判明。まるでネットワークビジネスじゃないかと批判の声が上がっている。



 きっかけは西野が主催するオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」のメンバーが投稿サイト「note」にアップした「無職が失業保険使ってチケット台本を80セット(約24万)買った話(理由)」という文章。



 西野は映画をヒットさせるため、様々なクラウドファンディングやプレゼントを企画しているが、同「note」によると、そのひとつとして〈「映画のシナリオ台本&前売りチケット」を原価で仕入れ、サロンメンバーが販売できる権利〉が3000円で売りに出されたらしい。続けて、サロンメンバーはこう解説している。



〈販売代行のような形〉〈3000円の原価で価格3500円など値段を上げて売れば、利益が出て、サロンメンバーさんのお小遣い稼ぎいもなるし、映画も広まる。こういう仕組みです。〉



 これだけでもやばいにおいがぷんぷんするが、しかし、このサロンメンバーは企画告知を見て、〈『記事を見た時にこれに挑戦しないと人生このまま変わらないなと思った!』〉のだという。そして、ちょうど仕事を辞めたばかりであったにもかかわらず、失業保険から約24万円を注ぎ込んで80セットを買ってしまったらしい。



 しかし、実際にはまったく売れず、このサロンメンバーは結局、チケットの転売を諦め「自分で80回見る」と宣言することに……。



 このnoteの記事が投稿されたのは昨年10月で、暴露や告発というよりは自分の「甘さへの反省」「気づき」の体験談として書かれていたのだが、1月中旬になってなぜかSNS上で話題になり、炎上。当のサロンメンバーに「情弱」「頭が悪すぎる」という誹謗中傷が浴びせられただけでなく、オンラインサロンでセット販売を打ち出した西野についても「ネットワークビジネス」「マルチ」「宗教」「信者ビジネス」などと批判が殺到したのだ。



 以前、千鳥の大悟が西野のことを「捕まってないだけの詐欺師」と評したことがあったが、このセリフを引用するかたちで西野を非難するツイートも見受けられた。



●オンラインサロンの信者から「やりがい搾取」する西野の信者ビジネス



 サロンメンバーへの誹謗中傷はともかく、たしかに、西野のこのチケット販売のやり方には問題がある。



 というのも、「シナリオ台本と前売りチケット」のセットで3000円という価格は、前売りチケット1500円、シナリオ1500円(シナリオは一般発売はされていないがされたとしたらこの金額は相場だろう)と考えれば、一般的な市販価格設定で、割引されているわけでもおトクでもないからだ。



 それを「原価」「販売できる権利」などと称して、オンラインサロンメンバーに購入を勧めていたとしたら、批判されても仕方がないだろう。



 まあ、西野が実際にオンラインサロンでどう説明していたかははっきりしないし、ノルマを課したり、必ず儲かると言っていたわけでもなさそうなので、厳密に言えば、「マルチ」「ネットワークビジネス」とまでは言えないかもしれない。



 だが、少なくとも映画をヒットさせるために自分の「信者」にチケットを売って、セールスマン的な役割を担わせようとしていた可能性は高い。



 実際、西野はこれまでもオンラインサロンを舞台にそういう「信者からのやりがい搾取」的プロジェクトを展開してきた。たとえば、西野が東京タワーで個展を開いたときは、その設営や撤収を手伝う権利を限定10名5000円で販売したといわれている(しかも本人は参加せず)。



「やりがい搾取」とは、やりがいを盾に、低賃金や無料で働かせるというものだが、西野の場合はサロン会員相手に、「労働」まで「権利」と称してビジネスにしてきたのである。



 そして、こういうビジネスを可能にしてきたのが、西野の発する自己啓発的なメッセージだ。



 西野の著書やインタビューを読むと、「行動しろ」「自分を変えれば、世界が変わる」「夢を諦めるな」的な安直でわかりやすい典型的な自己啓発メッセージがやたらと繰り返されている。



 また、今回の『えんとつ町のプペル』も、たくさんの煙突から出る煙でいつも空が汚れている「えんとつ町」が舞台で、空が汚くて星も見えないので町の人たちは星の存在すら信じていないが、えんとつ掃除の少年ルビッチはみんなにバカにされながらも星はきっとあると信じて……という話。



 こういう自己啓発メッセージに、多くの善男善女が感動し、西野に金を払い続けるという構図が出来上がっているのだ。



●昭恵夫人が「主人と『プペル』を観ました」と大絶賛で逆に胡散臭さが



 しかし、その商法を見ていると、当の西野は「みんなの夢や希望を実現させてあげたい」などとは考えておらず、むしろ騙されやすい者を相手に金を稼ぐために、策を講じているとしか思えない。実際、西野がこれまで打ち出してきた様々なプロジェクトをみると、「夢を追いかけろ」「リスクをとれ」的なロジックを駆使しながら、リスクを背負わなければいけないのは多くの場合、信者だけで、西野は損をしない仕組みになっている。



 今回の映画『えんとつ町のプペル』もそうだ。この映画は西野が私財を投げ打ってつくったわけではない。製作は所属する吉本興業だ。



 マルチ商法やネットワークビジネスでは、「いっしょに夢を実現しよう」という自己啓発的なセールストークで誘導するパターンがよく使われるが、西野の信者ビジネスももしかしたらそれと同じ仕掛けになっているのではないか。



 そういえば、これまた本物のマルチやネットワークビジネスがそうであるように、西野の商法には、金儲けが大好きな人や倫理や公共心の薄そうな人たちが集まってきて、その自己啓発メッセージをやたらと褒めそやしている。



 たとえば、堀江貴文氏。ホリエモンは1月14日、YouTubeにアップした動画で「『映画えんとつ町のプペル』が素晴らしすぎて4回泣きました」などと絶賛していた。



 ふだん、政府に対して疑問の声をあげている人たちのことをあれだけ小バカにして攻撃しているのに、「空が汚いだけで星はきっとある」というプペルには「4回も泣く」らしい。



 さらに、安倍晋三・前首相夫人である安倍昭恵氏も、12月31日にFacebookでこんな投稿をしていた。



〈主人と「えんとつ町のプペル」を観ました。

西野亮廣はやっぱりすごい!

是非多くの方に観ていただきたいと思います。

私も見えない星を信じて来年も突き進みたいと勇気をもらいました。

今年一年お世話になりました。

皆様にとって2021年が良い年になりますように。〉



 これまで森友学園やらマルチやらオカルトやら、それこそ「見えない星」を信じて突っ走ったあげく、この国を大混乱させてきた昭恵夫人だが、『プペル』を観て、再び「突っ走ろう」と決意したというのだ。



 この人の突っ走りは国民にとって大迷惑にしかならないと思うが、しかし、この昭恵夫人が絶賛したという事実は逆に、『プペル』のメッセージと西野の胡散臭さを印象付けたともいえるだろう。



『プペル』に感動することは否定しないが、一方で気をつけたほうがいい。矛盾と不平等に満ちた現実の世界でそのことをネグり、すべてを個人の問題に還元し、「星はきっとある」などという輩は、往々にして、「煙を出して空を汚している」連中とつながっていたりするものなのである。

(編集部)


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