板野友美と入籍のヤクルト高橋奎二、成長の軌跡。父が語る結婚の影響

0

2021年01月25日 11:31  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真写真

 ヤクルト・高橋奎二と元AKBで歌手の板野友美さんの結婚報告には驚かされた。一夜にしてチーム期待の若手左腕の知名度が一躍広がったことに「人生とは不思議なものだ」とあらためて思い知らされた。

 高橋は2015年のドラフトでヤクルトから3位指名を受けて入団。チームの先輩である小川泰弘のように、足を胸元まで上げる投球フォームから"左のライアン"と呼ばれた。




 プロ1年目の夏、二軍で過ごしていた高橋が一軍の練習と試合を見学する機会があったのだが、後日、戸田球場でその日の感想を聞いたのが初めての取材となった。写真撮影では、チームメイトから「イケメン」と冷やかされていた。

「一軍の練習は二軍と雰囲気が違いました。高校時代に甲子園を経験しているんですけど、プロの試合はヤジが飛んだり、乱闘もあったりで、また違う雰囲気でした(笑)。早く神宮で投げたいなと思いました」

 2年目の8月には、二軍戦だったが先発投手として神宮球場のマウンドに立った。

「神宮球場で投げるのがそんなにうれしいのか」

 高津臣吾二軍監督(当時)がそう声をかけると、高橋は照れくさそうな表情を見せた。

 ただ1年目は肩を、2年目は腰を痛めたことで満足に投げることができなかった。そして3年目を迎えるにあたり、高橋はこのように語っていた。

「まずは1年間、大きなケガをせずに投げ切ること。そのなかで一軍に上がれたらいいですね。常時140キロ台前半の真っすぐを投げ、勝負どころでは球速を上げてコントロールで勝負です。今はそういうピッチャーを目指しています」

 その年の5月12日のDeNA戦(二軍)は言葉どおりの投球となった。140キロ前半の真っすぐを中心に、新しく覚えたカットボールとチェンジアップが効果を発揮。要所でのストレートは147キロをマークした。7回を投げて3安打1失点と申し分ないピッチングを見せた。

 一軍初登板はその年の9月5日、神宮球場での中日戦。5回5失点だったが、初回は140キロ台後半のストレートを連発した(最速は149キロ)。高橋は試合後、このように語った。

「今はまだ頭のなかで整理できていないですけど、四球と投手にヒットを打たれたことが反省です」

 だがその表情はじつに晴れやかだった。そして10月2日、DeNA戦でプロ初勝利。筒香嘉智(現・レイズ)を3打席連続三振に打ち取るなど、見事なピッチングを見せた。

「今年は知らない自分に出会えました」

 シーズン終了後、高橋はプロ3年目をこう振り返った。

「春の時点では、たしかに140キロ前半の真っすぐとコントロール重視という考えでした。ケガを繰り返したくなかったので、抑えていった部分はありました。でも、シーズンが始まり実戦を重ねていくなかで、試合で10球ほど思いきり投げられるようになり、夏場になると全力で投げられるようになった。そこから打者や状況によって、力を加減することの理解も深まってきたと感じました」

 2019年シーズンは間隔を空けながらの登板が予想されたが、シーズンを通してほぼ中6日で回り、スタミナを証明して見せた。しかし20試合に登板して4勝6敗、防御率5.76と、残した数字に達成感はなかった。

「今年は自分の実力を知った1年でした。先発が足りず投げさせてもらっているだけで......よかったところもありますけど、ほぼ悪かったです。バッターと勝負できていないと感じましたし、真っすぐも変化球もストライクが入らず、走者をためたところでボールが甘くなって打たれる。負けパターンはほぼ一緒だったので、そこは全然ダメやったなと思っています」

 昨シーズン、高津監督は開幕投手候補のひとりとして高橋の名前を挙げたが、オープン戦、練習試合で状態が上がらず、開幕一軍も逃すことになった。高津監督が言う。

「開幕前の練習試合のあたりは、投げる球が悪く、精神的にもいい状態ではなかったですね。本当は最初からローテーションに入れて......と思っていたんですけど」

 高橋への期待が大きかっただけに、苦渋の決断となった。思わぬスタートとなったが、二軍で2試合に先発し、1勝0敗、防御率1.80。7月に一軍昇格を果たした。

 4度目の登板となった7月30日の阪神戦(神宮球場)。プロ初完封こそ逃したが、8回無失点でシーズン初勝利。この試合で強く印象に残ったのは、これまでのように簡単に追い込みながら、そこからボールを連発して逆に追い込まれてしまうという場面がなかったことだ。

「せっかく追い込んだのに、三振を狙って力んだり、カットされたりしてフルカウントになることが多かったですからね。だから追い込んだらゴロを打たそう、凡打してもらおうと意識を変えました。それがうまくいったことは収穫ですし、継続していきたいと思っています」

 試合後、高津監督は「あの奎二がね(笑)。本人もうれしいだろうけど、僕もうれしいね」と記者の質問を待たずに話した。

「高橋は投手として大事な"カッとなる一面"を持っていて、性格は相変わらず甘えたですけど、甘え上手というか母性本能をくすぐられるタイプですよね(笑)。一生懸命練習するし、礼儀もしっかりしている」

◆プロ野球もったいない選手たち2021>>

 このまま大きく飛躍するかと期待されたが、結果がついてこない。高津監督からも厳しい言葉が聞こえてきた。

「彼は常に全力を尽くすタイプで、手を抜くということがまったくないんだけど、それが空回りしてしまうことがある。気持ちが前に出てしまい、体と心のバランスが取れないというか。でも毎年少しずつ、毎試合少しずつ成長していると感じますし、僕の要求するところはもっともっと高いところにあります。そこに少しでも近づいてほしい」

 結局、2020年シーズンは10試合に登板して1勝3敗に終わったが、防御率3.94は前年の5.76から大きく改善。ちなみに二軍では4試合に登板して2勝、防御率1.29。フェニックスリーグでも3試合に登板して安定したピッチングを見せた。

 そんな高橋のピッチングを一番熱心に観戦しているのは父の幸治さんである。

「毎回ドキドキして、見るのが怖いというか......ほかの選手の親御さんはどんな気持ちで試合を見ているんでしょうね。投げる日はすべて録画して、8回無失点の試合は何回も見ましたけど、ほかはまったく見ません(笑)。去年は本当にもどかしかったです。いっそ野球を辞めてくれたら、どれだけ気が楽になるのかと思ったこともあります」

 親だからこその複雑な胸中を吐露してくれた。そしてこうも続ける。

「とはいえ、奎二には1年でも長くやってほしいですし、今シーズンは7回まではしっかり投げてほしい。そのためには100球を意識するピッチングはしてほしくない。そうなってしまうと5回くらいで終わってしまう。アイツはひとりの打者に大体7球かかってしまうので......。1試合120球は投げてほしいので、『奎二ならもう1イニング投げさせても大丈夫だ』と、チームから信頼されるピッチャーになってほしいと思っています」

 幸治さんに愛息の結婚について聞くと、こんなことを教えてくれた。

「ふたりがお付き合いしていることは知っていましたけど、結婚は急なことでしたからね。本人同士が決めたことなので祝福していますし、家族を背負ったことに自覚を持って、後悔のない人生にしてほしい。奎二は不思議な子でして、今まで何かにつけて運がある。だけどもこれから先、成功するかどうかはアイツ次第だと思っています。

 でも、今回の結婚で僕も大変なんです。亀岡市は10万人くらいいて、結婚が発表されてからは野球に携わる人たちだけでなく、面識のない方も『おめでとう』『よかったね』と声をかけてくださります。ある意味、僕も襟を正さないと(笑)」

 6年目となる今シーズン。飛躍の準備はできている。

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定