他局の追随許さないテレ東の専売特許? “人生の機微”描いて進化する「食ドラマ」

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2021年01月27日 08:40  ORICON NEWS

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写真ドラマホリック!『ゲキカラドウ』毎週水曜深夜0時12分より(C)「ゲキカラドウ」製作委員会
ドラマホリック!『ゲキカラドウ』毎週水曜深夜0時12分より(C)「ゲキカラドウ」製作委員会
 食欲を刺激する“飯テロ”ドラマのジャンルをけん引するテレビ東京。あらゆるシチュエーションを舞台に、数々の作品で食をテーマにした物語を描き、ときに激しく食欲をそそる映像で視聴者を悶絶させるとともに大きな反響を得てきた。独自アプローチによる食ドラマの先駆けである『孤独のグルメ』が初回から9年が経った今も続くなか、最近はテーマも多様化。現在放送中のドラマホリック!『ゲキカラドウ』(毎週水曜深夜0時12分)では、激辛を通して人生の機微を映し出すという繊細な“オリジナル”物語で、視聴者の心をつかんでいる。他局も同様に食をテーマにしたドラマを投入するものの、その追従を許さない独自性は、まさに“テレ東アプローチ”を象徴している。

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■部署をまたいだスタッフが集結してヒットした『孤独のグルメ』

「飯テロ」のジャンルをけん引していると言っても過言ではないほど、食ドラマの印象が強いテレビ東京。2012年に放送開始した『孤独のグルメ』は、実在する飲食店の名物メニューをフィクションの登場人物が堪能し、それを主人公のモノローグのナレーションで綴っていく“グルメドキュメンタリー・ドラマ”という新たなジャンルを確立。独特の世界観も受けて、人気シリーズ化している。

 振り返ると、『孤独のグルメ』初回放送時に川村庄子プロデューサーは、情報バラエティなどドラマ畑ではないスタッフも集結させ、得意分野が違うメンバーが集まることでお互いを補い合いって、新しい食ドラマを完成させたことを語っている。そこには、たとえ低予算でもフットワークの軽い同局ならではのチームワークがあったという。

 実際にその後は、任侠の世界をかけ合わせた『侠飯〜おとこめし〜』(2016年)、美食で失恋を癒す女性を描く『忘却のサチコ』(2018年)、同性カップルの日常を描いた『きのう何食べた?』(2019年)、絶滅グルメを描いたロードムービー『絶メシロード』(2020年)、ハンバーガーを軸にしたコメディ『女子グルメバーガー部』(2020年)など、じつにさまざまなテーマと食を融合させ、エッジの効いた作品を提供し続けている

 それぞれプロデューサーは異なるものの、決して、「食ドラマ=数字が取りやすい」という共通意識だけではないはずだ。食欲そそる料理を見せながらも、人情ドラマの物語と味のある演出、出演者の醸す奥深い演技テクニックや音楽など、トータルの世界観そのものをしっかり見せているからこそ、多くの視聴者に支持されているのだろう。

■「俺のほうが面白くできる!」、初のオリジナル脚本にかけた意地とプライド

『孤独のグルメ』初回放送の2012年から約9年。多くのプロデューサーがさまざまな食ドラマを手掛けてきたわけだが、その手法や企画アイデアは、受け継がれてきているわけではないという。とはいえ、同局は大食いバラエティの先駆け的番組『元祖!大食い王決定戦』(2005年〜)を手がけていたり、旅番組や情報番組が多かったりと、食に携わるコンテンツを多数抱えている。プロデューサーそれぞれが、特別なプライドを持ちながら制作に臨んでいるという。

 これまでに『侠飯〜おとこめし〜』や『きのう何食べた?』などを手がけ、現在は激辛をテーマにした『ゲキカラドウ』が放送中の松本拓プロデューサーは、食ドラマへのこだわりと想いについてこう語る。

「中途半端なものは作れないという自負はあります。『孤独のグルメ』のヒットがひとつの基準となり、誰もがそれよりも美味しく見せたい、おもしろくしたいと思うでしょうから、お互いに切磋琢磨しながら向上させている雰囲気はありますね。グルメドラマといっても多様性があるので、プロデューサーそれぞれが観点や角度を変えて、今の世の中に受け入れられるかどうかを検証しながら企画を練っています」

 同局で初めて、オリジナルの食ドラマに挑んだ松本氏。その理由については、まさに自身の食ドラマに対する感性を追求した結果だという。

「オリジナルへの想いはずっとありました。原作に縛られないことで、自分が信じている食に対する感性を、存分に発揮できますからね。激辛をテーマにしたのは、赤い色はインパクトがあって画面に映える絵力があるから。それに激辛を食べるときの汗、息、しずる感は、観る人の食欲を誘います。脚本家とは、『辛い料理だけで12話分のストーリーが持つのだろうか』と議論にもなりましたが…(笑)、結果としていい作品が完成できました」

『ゲキカラドウ』は放送開始から、Twitterでトレンド入りするなど好スタートを切っている。激辛といえば、汗だくで勢いよくガッつく食事シーンを想像しがちだが、そこを上品に見せるところもポイントだという。

「バラエティではなくドラマですから、激辛を食べておいしそうに見えるかどうか、そのバランスはなかなか難しいんですが、主演の桐山照史さんがうまく演じてくださっています。それから激辛監修スタッフに入ってもらいながら、“お店の外に出たときの爽快感”のようなあるあるネタや、激辛に向きあったことで視野が広がり、人生の気づきを得るといった、激辛の真髄に迫っているところにもこだわりました」

■「ニッチを攻めてもいい」、人生を説く物語に込めた想い

 テレビ東京だけでもこれだけの食ドラマが生まれているのだから、視聴者の目も肥えてきているはずだ。ヒットへのハードルが高くなる一方で、最近ではドラマに込められたメッセージ性も話題を集めている。

 たとえば昨年の大晦日に放送された『孤独のグルメ 2020 大晦日スペシャル〜俺の食事に密はない、孤独の花火大作戦!〜』は、コロナ禍の苦境にある飲食店を応援するエピソードが描かれ、SNSではドラマを通して全国の飲食店を応援する視聴者のコメントがあふれていた。

 放送中の『ゲキカラドウ』は、慣れない土地に赴任した主人公が、激辛と出会ったことで知った人生の厳しさや人々の温かさを描く物語。舞台である飲料メーカーの営業促進室では、取引先の営業難易度を「1辛、2辛」でレベルづけしており、上司が主人公に説く「本物の辛さを知ってこそ、何事にも打ち勝つ力が備わる」といった名言も注目された。激辛好きにはたまらないシーンだったはずだ。

「大衆受けを狙うマス向けドラマは必要ですが、テレビ東京のようなコア向けドラマもあって、それぞれがこだわっている。ファミレスや牛丼チェーンと、月島でほそぼそとやっている居酒屋のイメージです(笑)。グルメドラマの人気はこの先も続いていくでしょう。これからどう進化するかはわかりませんが、個人的に、次はアウトドアのグルメをやってみたいですね。外で食べる料理には限界がないし、世界観も変わってくる。自分の正解を貫き通して、そのすばらしさを伝えたいんです」

 食のあるところには、必ず人間たちのドラマがある。そんな人々の日常の感覚を描き、ありきたりではなく、ニッチを攻めて視聴者の信頼を勝ち得ているテレビ東京。この進化は、まだまだ止まりそうにない。

このニュースに関するつぶやき

  • グルメ番組で残念なのは食材への拘りが少ない事。特にGMOや農薬等には一切触れないのは?こんな怖い情報もhttps://twitter.com/jikannganai/status/1356532883154866178丸で食に毒を混ぜて皆殺しする様な施策か
    • イイネ!1
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  • 孤独のグルメの松重さんの美味しそうにパクパク食べるのは本当に飯テロですねww
    • イイネ!32
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