離婚を語るとき、男は気持ちを言葉にできない。男女でちがう離婚の言い分

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2021年01月27日 09:02  日刊SPA!

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 2018年から足かけ4年、女子SPA!でバツイチ男性に話を聞くルポ「ぼくたちの離婚」(角川新書より書籍化)を連載している。昨年から『グランドジャンプめちゃ』(集英社/作画:雨群さん)で漫画版もスタートしたが、そこで初めて女性から聞いたエピソードを取り上げることとなった。

 そのCase#06(「めちゃコミック」では014話〜)に登場する藤堂由美さん(35歳・仮名)は、“一般的な結婚観”を持たない女性だ。

 会社の上司・昭二さんと結婚した由美さんは、ごく普通の夫婦生活を“窮屈”だと感じはじめ、やがて昭二さんと「子供を作る、作らない」の話で衝突する。彼女は子供が欲しくなかった。理由は、「何かあったら別れればいい。子供がいたら別れにくくなる」と思っていたから。今までの人生で子供を欲しいと思ったことは、一度もないという。

 これまで多くの離婚経験者から話を聞いてきたが、結婚や離婚の形の多様さには、いまだに驚かされることばかりだ。

 実は、バツイチ女性に離婚経験談を聞いたのは、今回が初めてではない。「ぼくたちの〜」というタイトルが示すとおり、連載が男性縛りだったため、女性に対しては原稿化を前提として聞いていなかっただけだ。

 彼ら、彼女らに話を聞いていくうちに、わかったことがある。筆者への離婚話の打ち明け方、話し方が、バツイチ男性とバツイチ女性とではまったく異なるのだ。以下、5つの傾向にまとめてみた。

◆1. 男は時系列順に話す。女は話したいことから順に話す

 男性は「妻との出会い」から、きっちり時系列順に話してくれることが多い。時系列順が崩れる際には大抵、丁寧に注釈を入れてくれる。「この話、長くなるんで、途中を端折って先に結論から言うと……」「さっき言い忘れたんで、少し話が戻っちゃうんですが、この衝突が起こった原因は……」。彼らの頭の中には正確な“離婚年表”が編まれているのだ。

 しかし女性は、夫婦生活や離婚プロセスの中で、一番伝えたいことから順に話す。夫の許せない一言、離婚時のひどい仕打ち、子供が生まれた時に何ひとつ家事をしてくれなかったこと――。しかも、あるエピソードを話しているうちに彼女たちの内に湧いてきた感情が、同じ感情を抱いた別のエピソードを瞬時に呼び起こし、話はどんどん飛んでいく。「離婚係争中に、夫が私に『君は自己評価が低い』って言ってきたんですよ! そうそう、自己評価と言えば私、大学の頃付き合ってた彼にも同じことを言われて、すごく腹が立って……」といったように。

◆2. 男は「その時の気持ち」をうまく説明できない。女は正確に説明できる

 男性は、過去のあるエピソードについて筆者が「その時、どんな気持ちでしたか?」「なぜあなたは、そういう行動を取ったのですか?」と聞いても、言葉は少なめ。客観的事実を細部まで淡々と語れても、その時の自分の心境を細やかに言語化できない(人が多い)のだ。いくら聞いても、「腹が立った」「ショックだった」といった陳腐な語彙でしか、当時の自分の気持ちを説明できない。

 対して、あらゆる離婚エピソードをエモーションファーストで話す女性は、「その時、何が起こったか」よりも「その時、わたしがどう感じたか」の説明に力点を置く。その語彙は豊富で、臨場感にたっぷり。ついさっき激しいケンカを終えてきたかのようだ。話に聞き手を引き込む力もある。

 上記の【1】を踏まえると、女性の語りは一見してまとまりがなさそうだが、ストーリーを語るのが上手いため、離婚の決定打が何だったのかも話を聞くなかで明確になっていく(つまり原稿化にあたって、読み物の「ヤマ」を作りやすいとは言える)。

◆3. 男は「社会の物差し」、女は「わたしの物差し」で自分を正当化する

 男性は妻への恨み言を吐く際、「彼女の言動が、いかに社会倫理上許されないか」「客観的に見て、いかに自分が正しいか」をセットで主張する。ある男性が語っていた次の言葉が象徴的だ。

「妻は、僕の年収が低くてまともに暮らせないと言いました。収入のことで誰かをなじるなんて、大人としてありえない。ネット記事でも同様のケースを読んだのですが、彼女は完全に●●●(精神疾患名)ですよ。それに、僕は平均年収をクリアしていますから、そんなことを言われる筋合いもない」

 一方、女性は「いかに私が傷ついたか」「いかに私が被害者だったか」を感情ベースでとうとうと説明する。象徴的なのが、ある女性が言った次の言葉だ。
「あんなに悲しい気持ちになったのは、生まれて初めてでした。毎日こんなにも一生懸命がんばっているのに、なぜ彼は私を評価してくれなかったのか。どうしても納得がいきません。たった一言、労いの言葉をかけてくれればよかったのに……。毎日、殺意が湧いていました。今でも、思い出すたびに吐き気がします」

 なお、筆者が求めていないのに、元配偶者とのLINEのスクショや、裁判時の各種資料といった“客観データ”を準備してきてくれるのは、たいてい男性だ。また、自らの離婚を個別ケースとしてではなく、「日本の結婚制度の欠陥」にまで話を広げて一般化・社会問題化しようとするのも、男性に多い。

◆4. 男は説得しようとする。女は共感を求めてくる

 男性はインタビュアー(筆者)に対し、「いかに自分には非がなかったか」を饒舌に説明し、筆者からの「どう考えても、非は奥様にありますね」という言葉を期待する。その点、女性は「いかに自分が傷ついたか」を切々と語ることで、筆者からの「わかります。それはつらかったですね」という言葉を期待する。

 つまり、男性が他人に離婚話をするのは第三者の裁定が欲しいからであり、女性が他人に離婚話をするのは共感が欲しいからだ。

◆5. 男は離婚に意味を見出そうとする。女は「結婚は無意味だった」と封印する

 男性は自分の離婚を、なんとかして「名誉の傷跡」もしくは「勲章」に仕立て上げたいと願う。良しにつけ悪しにつけ、自分の離婚は自分の人生に重大な影響や意味があったのだ、と思い込もうとする。一方、女性は結婚生活全体に「無駄な遠回り」というレッテルを貼ることで、ことさら論じたくない過去として消化しようとする。いわゆる、「男は別フォルダ保存、女は上書き保存」というやつだ。

――

 以上、あくまで筆者の観測範囲内でのケーススタディーであることを、ご承知いただきたい。ちなみに、「一度結婚に失敗したから、次は失敗しない」と豪語しがちなのが男性で、「結婚に失敗した私は、結婚に向いていない」と決めつけがちなのが女性である。

<文:稲田豊史>

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