「別居」がいつしか「日常」に? コロナ禍、頑なに帰宅を拒み続ける夫の本心は…

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2021年02月18日 22:22  All About

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写真コロナ禍で、家族のありようはますます多様化している。自分はどうしたいのか、配偶者はどうしたいのか。これからコロナ終息期に向けて、冷静に話し合っていく時期が来ているのかもしれない。
コロナ禍で、家族のありようはますます多様化している。自分はどうしたいのか、配偶者はどうしたいのか。これからコロナ終息期に向けて、冷静に話し合っていく時期が来ているのかもしれない。

「別居」が「日常」になりつつあるのが怖い

コロナ禍で、家族のありようはますます多様化している。今まで“普通”だと思っていたことが普通でないと感じたり、以前からわだかまっていた夫婦間のしこりが一気に大きくなったり。自分がどうしたいのか、配偶者はどうしたいのか。これからコロナ終息期に向けて、冷静に話し合っていく時期が来ているのかもしれない。

コロナを心配して帰ってこなくなった夫

3歳年下の男性と1年ほどのつきあいを経て、30歳のときに結婚したリョウコさん(44歳)。現在、12歳と9歳の子がいる。結婚当初からリョウコさんの両親と二世帯住宅で暮らしてきた。

「私はひとりっ子なので、親が将来を憂えたんでしょうか。私が大学を出て就職して数年後、勝手に二世帯住宅にしちゃったんですよ。玄関が別で、中は渡り廊下を通ると共有のリビングがある家。完成してから両親と私、それぞれ別に住んでいましたが、リビングへのドアを閉めてしまえば共有部分はまったくないのでプライバシーも守れる。けっこう住み心地はいいんです。当時つきあっていた人をよく家に連れ込んでいました(笑)」

当時の彼とはその後、別れ、3歳年下の彼と知り合って結婚したときも、当然、その二世帯住宅に住むつもりだった。ところが夫は最初、渋ったという。

「リョウコの両親と僕と、お互いに気を遣うのは嫌だって言っていましたね。だから共有リビングに来る義務はない、私もめったに行かない。両親は当時、ふたりともまだ働いていましたし、母は今も働いているんですよ。仕事が趣味みたいな人なので」

夫はそれで納得して二世帯住宅の片方に住むことになった。だが、仕事をもつリョウコさんに子どもができれば親に見てもらうこともあるし、子どもたちが大きくなければ勝手に祖父母の家に行っていることもある。そのたびに、夫はあまりいい顔をしなかったが、かといって両親と夫の仲が悪いわけでもなかった。

「月に1回くらいは夫が腕をふるって、両親も含めて食事会をしてくれていました。下の子が小学校に入るころには、夫と両親の3人でお茶を飲んだりもしていた。夫は社交的ではないんですが、ゆっくりじっくり信頼関係を作っていくタイプなんでしょうね。私とも1年足らずのつきあいで結婚してしまったけど、結婚してからのほうがうまくいっている気がしましたから」

夫は親との縁が薄かったらしい。それも結婚してから知った。だからリョウコさんの両親ともすぐに親しくなるのはむずかしかった。そして「父親」としてどう子どもたちに接したらいいのかもなかなかつかめなかったようだ。だが時間がすべて解決していった。

コロナ禍で夫が別に住むようになって

ところが昨年春の緊急事態宣言のとき。夫の仕事は人と接することが多く、なおかつ「密」になりがち。エッセンシャルワークに類する仕事といってもいい。次第に夫は自宅に帰ってくることを怖がるようになった。

「お義父さんやお義母さんにうつしたらどうしようと思うと怖くて帰れないと言い出したんです。だったら共有部分はきっちり閉めて、それぞれきちんと対策をとればいいと言ったんですが、なぜか夫は非常に怖がっていましたね」

その後、夫から「職場が部屋を用意してくれたから、今日はそちらに泊まる」と連絡があった。数日後、帰宅すると、夫は本格的にその部屋に引っ越すと言い出した。

「私は、本当は浮気しているのではないかと疑いました。親に感染させたらと言って別居して、実は不倫相手と過ごしているんじゃないか、と。だけど夫の様子を見ていると、そういうことでもないらしいんですよね」

しばらくたって夫の部屋へ行ってみると、簡素なワンルームにひとりきりで暮らしていることがよくわかった。

「それならどうして、と思ったんですが、夫は本当にうちの両親のことが心配なんだと目を潤ませて言うんです。そのとき初めて、夫が親から虐待を受けて育った過去を聞きました。でも結婚してから、徐々に家族の大事さが身に染みてきた。10年以上たって、私の両親が自分の親より大事だと思うようになった、と」

夫の気持ちを真摯に受け止めたリョウコさんは、両親にその話を伝えた。両親は泣きながら、娘の夫とテレビ電話で会話をしていたという。

「秋頃から夫は少しずつ、帰ってくるようになりましたが、年明けの緊急事態宣言でまたワンルームでの生活に逆戻り。母はお弁当を作って、私に夫の元へ持っていかせるんです」

10年かけて、ようやく家族としての認識が一致してきたところでの別居生活。だんだん別居が当たり前になってきているのが怖いとリョウコさんは言う。

「夫の気持ちを考えると、とにかく帰ってきてとも言えないし。上の娘なんて、パパがいないのが当然になりつつありますしね。最近は夫の休みに合わせて、なるべく私と子どもたちは会いに行くようにしています。でも夫は慎重で、公園でみんなでお弁当を食べると、『お義父さんたちが寂しがるよ、帰っていいよ』って。なんだかせつなくて」

夫の優しさを結婚以来、いまいちばん感じていると、リョウコさんはまた目を潤ませた。
(文:亀山 早苗(恋愛ガイド))

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