鈴木蘭々『どうぶつ奇想天外!』で忘れられない「大好きだった千石先生」の“金言”

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2021年02月19日 11:10  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

鈴木蘭々。トップ賞で獲得した賞品は今も大切にしている

「“ルーマニア人のネタで出演を決めたんだよ〜”と、プロデューサーに言われて。“何がどう転ぶかわからない世界だな”と、若いながらに思いました」

 こう話すのは、『どうぶつ奇想天外!』(TBS系、以下『奇想天外』)に出演していた鈴木蘭々。

 女優の萬田久子に初めて会ったときに「あなた、ルーマニア!?」と言われたエピソードを『笑っていいとも!』で披露したところ、スタジオがドっと沸いた。それで『奇想天外』の出演オファーがきたのだという。

 1993年開始の『奇想天外』は、世界中の動物の生態をクイズ形式で紹介する番組。みのもんたが司会を務め、鈴木のほかに、高田純次や渡辺満里奈らが主な解答者として出演していた。

 クイズは絵を描いて答える形式。鈴木は、個性的な絵の珍解答でたびたび注目を集めていたが……。

珍回答を求められるポジションだと勝手に思っていたので、正解がわかっても珍解答をしていたときがあります。誰かが教えてくれるわけでもないんですけど、自然とそうしている自分がいるんですよね。その方向性が合っていたかは別として、若いなりにいろいろキャッチして一生懸命やっていたんだと思います」

 そのさじ加減については難しいところもあった。

「1度マネージャーに怒られたことがあります。“絵が過激で、最近やりすぎ”と。例えば、びっくりした動物を描くときに、びっくりしているだけじゃなくて口から血が出ているとか…(笑)」

  スタジオでの収録日は1日中、忙しかった。

「毎週水曜日か木曜日だったかな。確か2本録りだったと思います。その日は収録で1日ほぼ埋まって、前後に取材が入ったりするような感じでした。誰に会ったかも、何の仕事をしたのか覚えていないこともたくさんあって。たまにYoutubeで過去の動画を見たら“こんな人に会ってたんだ!”“こんな仕事してたっけ?”と思うこともあります」

動物学者・千石先生とのロケ

 そんな中『奇想天外』で行く海外ロケは、リフレッシュにもなっていたそう。

「ニューカレドニアは自分の中で思い出深いロケ。保護地区みたいなところにミカドヤモリを探しに行ったのを覚えています」

 ニューカレドニアには、長髪・眼鏡という独特な風貌とユーモアたっぷりの語り口で、番組の名物キャラとして人気者になっていた動物学者の千石正一先生と一緒だった。

「千石先生は主に爬虫類研究の先生だから、爬虫類を見ると子どもみたいにテンションが上がるんです。ヘビをつかまえたら“目がかわいいんだよ!”なんて。ミカドヤモリを見つけたときも、先生はハシャいでいて、こんなにハマれるものがあるってスゴイな、と」

 子どものような姿を見せる一方、ジャングルの中をひたすら歩く過酷なロケでは……。

「熱中症みたいになることもあるんですけど、千石先生は時差とか寝不足とか、なぜこうなっているのかという状況を理解してくれるんです。だから、“二酸化炭素を吸えば大丈夫だよ”とか“糖分とったほうがいいね”といった対処が適切でしたね」

 心に刻まれた言葉も。

「ニューカレドニアで聞いた千石先生のひと言がとても印象的です。“宇宙には数々の惑星が存在しているけれど、地球は宇宙船地球号という乗り物でその乗り物にすべての生き物が乗っているんだ”と。

 考えてみたらどんな生き物もこの地球で生きていくしか選択肢がないんですよ。その中であらゆる個性が混じり合って暮らしている。先生は生き物をネジに例えて“どのネジが欠けても食物連鎖のバランスが崩れて宇宙船地球号は墜落してしまう”とも言っていました」

私の中ではまだ生きています

 2012年、千石先生は62歳でこの世を去った。

私は本当に千石先生が大好きでした。お葬式にも呼ばれていたんですが、大好きすぎて先生が天国に行ってしまったことを認識したくなかったので、行かなかったんです。だから、私の中ではまだ生きてます(笑)」

 ほかの共演者とは、どんな感じだった?

「あのころ私はまだ子どもで、大人の会話についていけない感はありました。でも、満里奈ちゃんは楽屋が一緒だったので、姉妹のように仲よくしてもらいました

 現在は自身の化粧品ブランドの商品開発に携わりながら、舞台への出演を続けている。プライベートでは、猫2匹の飼い主だ。

「わが家では今、風太くんとマロちゃんという猫を飼っています。猫ってマイペースといわれているけれど全然そんなことないな、と。むしろ人間に気を使ったり、合わせてくれているんじゃないかとさえ感じます」

 猫との暮らしで新たな発見もあったという鈴木だが、番組では今まで知らなかった動物の感情に触れる機会も多かった。

「仕事であると同時に、カラフルなセットの中で楽しく学ぶ学校のようでもありました。本当にいい経験をさせてもらえた番組でした」

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