HKT48“劇はじ” 劇団「ミュン密」インタビュー、メンバーがぶつかり合い成長してきた5ヶ月間

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2021年02月19日 18:51  ドワンゴジェイピーnews

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今年、結成10周年を迎えるアイドルグループ・HKT48が挑む一大オンライン演劇企画「HKT48、劇団はじめます。」(通称:「#劇はじ」)がいよいよ20日に開幕(5日間・計20公演。28日が千穐楽)


メンバーたちは二つの劇団に分かれ、俳優として演じるのはモチロン、企画・プロデュース・脚本・演出・衣装・美術・音響・映像・配信・広報の全てを務め、舞台を一から作り上げる。まさにHKT48史始まって以来の壮大な挑戦だ。10月半ばの企画立上げから約4ヶ月に渡り、メンバーは活動と並行して本番に向け多忙な制作の日々を過ごしてきた。


いよいよ上演となる「#劇はじ」に迫るべく、各劇団に特別インタビューを実施。

前半は『水色アルタイル』を上演する劇団「ミュン密」からプロデューサーの坂口理子、脚本の石安伊(せき・あい)、そして主演俳優の石橋颯(いぶき)が登場。作品の魅力から製作舞台裏、「#劇はじ」にかける想いについて訊いた。


―『水色アルタイル』、いよいよ20日本番を迎えますが、今の手ごたえはいかがですか?

坂口理子

全員「作品を良くしたい!成功させたい!」という気持ちが強すぎて「ここ、もっと良くなるんじゃないかな?」と変更や改稿ミーティングが続き、終始バタバタの状態のまま本番を迎えそうです(苦笑)。こうしたより良いものを届けたいという気持ちを持つことは良いことですが、きっと本番を迎えても「こうしたい!」という案が出てくると思うから、千穐楽まで試行錯誤が続きそうなのが不安で、恐ろしくて(笑)。


石橋颯

正直言って、色々と混乱しています(笑)。


坂口

みんなで励まし合う毎日だよね。やはりアイドルではありますので、公演やSNSでは制作中の辛い姿や大変な姿をなるべく出さないようには気を付けてきたんです。とは言え、みんな本気でやっているんだよ!ということは伝えたくて。こうして取材していただくことで、少しでも俳優部・演出部・企画部のみんながこの舞台のために全力で臨んできたということを、プロデューサーとしてもっと伝えたい!と思っているので、今日はよろしくお願いします!!



―こちらこそ! 先ほど改稿が常に続いているという話題が出ましたが、石さんとしては本番まで休まる時間がない状態ですか?

石安伊

はい。とにかく初稿から色々と変更が続いたので、俳優部のみんなから「このセリフ、好きなんだよ」と言われても、「あれ?こんなセリフ……書いたっけ?」っていうことが今結構あって。


一同 (笑)。


書いたからあるのでしょうが、本当に自分でも何を書き足したかわからないぐらい、変わっている状態です(笑)。とはいえ、演出の(田島)芽瑠さんからの提案、役者さんチーム、美術さん・衣装さんたちの手を借りて、最初は「これ、どうなんだろう?」と書き進めていたものが、シッカリと「物語」になっていく過程にメチャクチャ嬉しい気持ちになりました。逆にどんどん変わっていくから、俳優部は覚えるのが大変だったと思います。


石橋

大変ですけど、ちゃんと変更があった時はメモを取っているので全然大丈夫です!けど時々、前にメモったものとゴッチャになって「どっちが新しいんだっけ?」ってわからなくなった時は焦りました(笑)。本番までにちゃんと整理しておかないといけないなぁ〜と反省しています。


坂口

本当に頑張ろうね! もう毎日ずっとドキドキしていてヤバイです(苦笑)。


脚本家・石の注目キャラクターはシークレットゲスト?


―『水色アルタイル』は「高校3年生を迎えた5人の少女たちが、アイドルを目指す」という青春物語ですが、本テーマに決まる前はもっと別の内容だったそうですね。

坂口

はい。当初は違うテーマだったのですが、取り扱いが私たちには難しいとなって。それにこの時代、やっぱ暗い気持ちを吹き飛ばす明るい話がいいよね!となり、ガラリと“青春”をテーマにしました。

ティザー映像用に映像撮りを色々と進めている中、宣伝・広報のみんなに「申し訳ないけど……一から考えてもらっていいですか?」と、全部ひっくり返す急なお願いをして本当に迷惑をかけました。ただ、このドタバタのスタートがあったからこそ、今も続くドタバタも乗り越えられ続けている部分もあるのかなとは思います。


私としては正直なことを言うと、好みや書きやすさならテーマは以前のもの方でした。けど、『水色アルタイル』もすごくステキな作品になったと私は思っているので大満足です。何より颯が演じるには、爽やかな内容の方が似合いますからね。


石橋

(ニコニコ)

―石さんは、この『水色アルタイル』を書く上で、最も大切にした部分や強く意識していたことはなんでしょう?

書き始めの段階から「これはオンライン演劇だ」ということを頭に置いていました。普通の舞台劇とは違いZOOMを使っての劇なので、例えば友だちとケンカして相手を振り払うとか、仲直りをして抱きしめるという、直接的な感情表現ができないわけです。そういう互いの気持ちを伝える時の行動をZOOMで置き換えるとどうなるんだろう?……と、メッチャ考えて展開を作っていきました。


―石さんなりに画を想像しながら書き進めていったのでしょうか。

はい。あとは登場人物それぞれに感情移入しながら書こうとは強く意識していました。


坂口

みゅん(石)は、情景を作るのも上手いのですが、すごくキャラクターの心情の描写が上手くて!いつか舞台の脚本を書くお仕事をしてほしいです。


いやいや(笑)。そういえば、みんなのセリフを自分で口に出しながら打ち込んでいたからか、途中からだんだん「あれ?これ私、役者でもいけたんじゃないかな?」と錯覚しはじめて。


一同:(笑)。


出演できないのが残念です(笑)。


坂口

みゅんが演じるバージョンも見てみたい(笑)。



―もしかして、すでに発表されているシークレット追加俳優は、石さんだったり?

それもいいかもしれませんね。けど、残念なことに違うんですよ。



―どのキャラクターのセリフを書いている時が、一番筆が乗りました?

正直言いますと、そのシークレットゲストの役なんですよ。


坂口&石橋

えぇっ!?


このゲストキャラはちょっとネタ要素が強いから、今までカチッと書いてきた部分から解放されて、自分の好きなように描けたんですよ。文字を打ち込んでいてメッチャ楽しかった(笑)。逆にこの“遊び”のおかげで勢いに乗れて、本編もマジメに書き進められていけたんですよ。


坂口

遊びに感謝だね(笑)。


颯は好きなセリフとかシチュエーション、あった?


石橋

リリカ(村上和叶)と、モメるところが好きです。元々いぶきって「元気だね!」って言われる人間で、あまり暗くならないんです。るなもいぶきみたいに元気な子なんですけど、リリカとケンカする時も元気だったら「普段通りのいぶきだね」って言われちゃいます。それがイヤで、ケンカの時だけ「元気じゃないいぶき」を意識して演じています。青春物語なので、楽しくてワチャッとしたシーンが多いのですが、たまにあるマジメな場面で真剣ないぶきになれると「キタ、キタよ!」って、嬉しくなります。


坂口

可愛いなぁ〜(笑)。


石橋

演技がちゃんとできているか、できていないかと言われたらまだまだなんですけど、芽瑠さんや演じるみんなと一緒に、もっと練習して良いものができればいいなぁ〜って思っています。

看板俳優・石橋颯のカワイイ失敗


―主演を務める石橋さんを、お二人はどう見ていますか?

坂口

本当に頼もしいですね。颯の存在はすごく大きいんです。現場で颯の無邪気な明るさがあるから、大変な時でもパッとその場が明るくなって、それに救われることが多くて。るなの明るく真っすぐで正直なキャラクターがリリカや舞夏(上野遥)を支えていくという展開が、今実際の現場での関係に重なるんですよね。この舞台を通じて、颯の魅力が伝わってほしいなと思いますし、必ず伝わると思います。


颯は演技経験がないにもかかわらず、芽瑠さんの指導に臨機応変にドンドン対応していって、毎日成長し続けていて。颯が主演で良かったなと思いました。ただ時折、気持ちが入りすぎちゃうのか、るなのセリフなのに「颯ねぇ」って、自分の一人称を言っちゃうんですよ。


石橋

(照笑)


そのミスがもう、メチャクチャ可愛くて、大好きで(笑)。切羽詰まった状況が、その一言で癒しの時間に変るんですよ。


坂口

いつも芽瑠に「また“るな”じゃなくて“颯”って言ってるよ」って注意されているよね(笑)。


こうして「可愛い!」って笑っていますけど、本当に役に入り込んでいるからこそのミスで。真面目ゆえのミスなんです。



―良い意味で役と同化していますね。

石橋

実際にいぶきの身に色々起こっているという気持ちを入れながら演じちゃうから、ついつい「いぶきね!」って咄嗟に出ちゃうんです(笑)。これ、今は笑っていますけど、本番までには絶対に直さないと。本番で「いぶきね!」って言ったら、どうにも対処できないぞ!って。みんながミスを見て笑っている時も、いぶきは心の中で「これじゃダメだぞ!」って自分に怒っているんですよ。


坂口

それも可愛い!


石橋

今は、いぶきは和叶と絡む役が多いから、公演の楽屋で和叶と一緒になると「るな」、「リリカ」呼びあっています。本番が終わるまで私は「石橋颯」じゃなく「針間るな」として生きていこうと思っています。

田島芽瑠に頼り切りで、ミュン密に危機!?


―ここまで演出家の田島さんの名前がよく上っています。ミュン密の現場での田島さんの存在は相当大きいようですね。


石橋

芽瑠さんは私たち以上に舞台のことを知っているから、全員が一番頼りにしていて。この前も役者だけで練習していたんですけど、「ここ、どうすればいい?」という場面がたくさん出てきて。やっぱ芽瑠さんがいないとダメだなあと思いました。


芽瑠さんの演出のおかげで内容に深みが出てきて、私にもあまり見えてなかった世界観やキャラの個性がはっきりと見えてきて。本当に演出さまさまです。


坂口

ただ、芽瑠への負担が大きすぎたなという反省もあって。バレンタイン前日の通し稽古でちょっと問題が発生したんですよ。


石橋

演出に変更があって、覚えることがたくさんになっちゃって俳優部みんなが混乱しちゃったんです。ただ芽瑠さんとしては長い時間ずっと良くなるために色々と考えて、悩んでいて。芽瑠さんは「みんなの意見を聞きたい」と優しく言ってくれたんですけど、いぶきたちはこれ以上覚えるのが不安だしどうすればいいかわからず、結局何も言えなくてその場がシーン……ってなっちゃったんです。


坂口

芽瑠としては「俳優部のみんなの意見を聞いて、役者がやりやすい環境作りをしたい」と常々言っていたのですが、颯としては先輩に自分の気持ちを素直に伝えるのは勇気が必要だったと思います。


石橋

ちょっと勇気が出ませんでした。なので家に帰って「どうしたら芽瑠さんだけに頼らず、場面を作れるんだろう?」ってことをずっと考えました。いぶき、これまでは自分の出演場面以外は本番と同じように画面をオフにしていたから、全然他の人の演技をちゃんと見ていなかったんです。次の日の練習ではずっと画面をオンにして、自分以外のシーンも見てちゃんと研究しよう!て思ったんです。そうしたら次の日、みんなもずっと画面をオンにして「このセリフの時はこうしよう」って相談し合えたんです。



―示し合わずともみんなの気持ちが一致していたんですね。

石橋

はい。芽瑠さんにも色々と「こうですか?」と聞けましたし、芽瑠さんも私たちの意見に丁寧に答えてくれて。やっと少しだけ前へと進めました。遅いですけど、この時に「みんなで舞台を作っているんだ」という気持ちになれました。



―時間はかかりながらも、みんなで支え合い前に進める環境が完成できたのはいいですね。

石橋

先輩・後輩の壁を乗り越えて自分の本音の気持ちをぶつけることで、舞台が良くなることだってみんな気づけました。

坂口

この、自分の本当の気持ちをぶつけ合うというのは、『水色アルタイル』の展開とシンクロする部分があって。今公開されているドキュメンタリーや、こうした話を見ていただくことで、より『水色アルタイル』への愛着を持っていただけるんじゃないかなと思っています。

一人ひとりがHKT48に必要な存在だと気づくキッカケにしたい


―みなさんが一丸となって作り上げた『水色アルタイル』見所を最後にうかがえればと。

石橋

もう、見ている方にグッとくるシーンだらけの作品なので、楽しんでください!


坂口

『水色アルタイル』のテーマは「青春」。誰しもが通るこの“青春”に全力にぶつかる5人の姿を見て、大人の方なら「自分たちもそうだったな」と思いだしてもらいながら、目標に向かって頑張る力になってくれたらいいな。そして今青春真っただ中の若い方には、このガムシャラさを忘れないでおこう!と思ってもらえたら嬉しいですね。


みんなが愛着をもっている作品なので、一緒に好きになっていただきたいですね。ただ……個人的には正直不安です。演出部の力や俳優部の力が作品の魅力にはなりますが、物語のベース自体は私の脳内にあったものをドンと出したものです。面白くないって言われたら……泣いちゃうかもって、ドキドキ、アセアセしています(笑)。



―無事に本番を迎えて良し!ではなく、28日の千穐楽まで上演し、その後の反応も待っているわけですからね。

そうなんですよ。ちゃんと良いものを届けないかぎり、本当の意味で完成ではないんですよね。


石橋

稽古をやりすぎて、今は「この劇、面白い!」っていうより「ここ、どうなるんかな?」という不安が強くて。見た人の感想がすごく聞きたい。


坂口

反応まで含めて一つの作品だよね。ぜひ、みなさんの声を私たちに届けて欲しいですね。

―5日間、計20公演の上演を終えた後、HKT48はどんな成長を遂げていると思います?

坂口

この舞台は俳優部・演出部・企画部、誰一人欠けたらなりたちませんでした。この“誰一人欠けてはいけない”のはHKT48も同様。人数が多いグループなので「私は埋もれているのでは?」と悩むこともありますし、実際に悩んでいる子もいます。けど、これを通じて、全員が「今のHKT48に自分は重要な存在」だと自信を持つキッカケになってほしいですね。


私としても自力で脚本を書き終えることで想像力が増した以上に、色んな人の助言があって良いものが作れたという実感が嬉しくて。良いものを作るにはもっと人と接することが大切だなって改めて思いました。


石橋

今までは「いぶきって、子どもだね」って言われることが多かったんですよ。けど、もう高校生です。いぶきは女優さんに憧れているので『水色アルタイル』で「いぶきって、演技もちゃんと出来るんだよ!」って成長した部分を見せたいなぁって。あと、HKT48は「明るくてフレッシュ」だけじゃなくて、自分たちで何でも作れちゃうスゴいアイドルなんだよ!という部分も知ってもらえたら嬉しいですね。


坂口

本当に。私としては、これからHKT48が何段階も進化しそうなことを「#劇はじ」を通じて経験できたので、この全20公演で終わらせるにはもったいない気持ちもあって。ぜひ好評を呼んだら、再演したいよね。


石橋

いいですね!



―その時は実際に舞台でセットを組んでやっても面白いでしょうね。

坂口

それもいいですね!そういう可能性の広がりを感じさせるのが「#劇はじ」だと思っていますので。


Zoomインタビュー・文:田口俊輔

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