空き店舗が目立つ”裏原宿”で「古着屋さん」が増加? 若者の間でブームが起こるワケ

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2021年02月24日 05:22  ITmedia ビジネスオンライン

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写真古着ブームが再燃
古着ブームが再燃

 今、若者達の間で「古着」が再注目されている。民間調査会社の調べによれば2019年度の国内ファッションリユースの市場規模は、前年比16.1%増の7200億円まで成長しているそうだ。その背景には、個人の環境意識の改善もあるが、フリマアプリによる個人間取引の拡大も理由の1つだ。



【画像で見る】「キムタク」や「浅野忠信」に次ぐ”アイコン”は



 フマアプリ大手のメルカリが発表した21年6月期第2四半期の決算は、累計流通総額が3676億円と、前年同期比で862億円の増加、営業損益も10億円と3期連続で黒字を確保した。筆者も先日、初めてこのメルカリを使ってアンティーク時計を購入したが、市況価格の半額ほどで購入できた。コロナ禍による生活様式の変化の現われでもあるが、リユース商品の着用ハードルも確実に下がってきていると実感した。



 若者達は、古着店のことを親しみをこめて「古着屋さん」と呼んでいるが、空きテナントが目立ち始めている東京・原宿通りやキャットストリート周辺の「裏原宿」を歩いてみても、その「古着屋さん」が増えているように感じる。今の古着屋さんはInstagramやYouTubeといったSNSツールを使って情報発信しているのが特徴だ。人気の古着屋さんともなるとフォロワー数が4万人を超えるところもある。今回は脚光を浴び始めた「古着屋さん」が発信する、古着ファッションについて考察してみたいと思う。



●かつては「キムタク」や「浅野忠信」 今の”アイコン”は……



 古着ファッションは四半期世紀前に一大ブームを迎える。ピーク年度にバラつきがあるかもしれないが、私の記憶では1997年頃ではなかったかと思う。この年は消費税が3%から5%に上がり、山一証券や北海道拓殖銀行などが破綻した年でもある。ちまたでは「たまごっち」が流行し、若者に人気の商業施設「SHIBUYA109」で販売しているような「109系ファッション」が台頭した頃の話だ。



 テレビドラマでは木村拓哉と松たか子タッグの「ラブジェネレーション」の平均視聴率が30%を超え、キムタクが腕にしていたロレックスのエクスプローラーが入手困難になるほど話題となった。そんな年に古着ファッションは「ヴィンテージ・ファッション」と格上げされて呼ばれるほど人気を博した。



 いつの時代でもファッション・アイコンが登場すると、1つのファッション・ムーブメントが盛り上がる。そのファッション・アイコンの代表的な存在として、ひと昔前では木村拓哉だったろうし、メンズファッション誌に勢いがあった頃は、浅野忠信などもよく表紙を飾っていた。だが、マスメディアの下火とともに強烈なインパクトを持ったファッション・アイコンも見当たらなくなってしまった。



 しかし、今、若者達の古着熱にひと役買っているファッション・アイコンがいる。その新しいファッション・アイコンが菅田将暉だ。彼はアダストリアグループの「Niko and…」でアンバサダーを務めているが、私服では古着が多いようだ。個人のアカウントで発信されるSNSでは、古着を着用している事が多い。また、彼が着ていそうなシャツは「#スダシャツ」、穿いていそうなスラックスは「#スダックス」とハッシュタグが付いていて、古着を取り入れた彼の着こなしにも注目が集まっている。



 古着テイストに絞ってみた時、もう1人90年代当時のファッション・アイコンを挙げるとするといしだ壱成だろうか。線の細さなどから、今の菅田将暉が持つ雰囲気に近い存在だったような気がする。オヤジの述懐はこのあたりにして、今回の古着ファッション人気は、97年当時の一大ブームと何が違うのだろうか。



●80〜90年代の商品も今や”ヴィンテージ品”



 ヴィンテージ商品の枯渇を理由に、今の古着人気は持続しないとする向きもあるようだが、私はそんな事はないと考える。すでに80、90年代商品がヴィンテージ商品として仲間入りを果たしており、商品の枯渇は理由にならないだろう。それより、ファッション・トレンドそのものの価値観が97年と比べて落ちてしまっていることの方が大きいように思う。



 00年時点での比較となってしまうが、単身世帯における洋服や履物に関する年間の支出額は11万4711円であったが、20年度は5万8914円まで落ち込んでしまっている。その間のデフレによる購入価格の下落も勘案しても、現代人はそこまでファッションにお金をかけなくなってしまっている表れともいえる。また、ファッションブームを創り出す若い世代そのものの人口も、97年当時と比べて約500万人も縮小している事を指摘しておきたい。



 ただ、この古着ファッション人気を支えるもう1つのユーザーには、40歳前後のアダルト層もいる。彼らは97年代の古着ブームを体験した世代。その当時、あまりにも高価なため購入を諦めてしまった往年の商品を、今、あらためて買い求めるという「憧れ消費」に走っている。



 この2次的ユーザーは97年当時にはあまり存在しなかった層だといえる。しかし、この層は子育ても担う世代であって、一様に金銭的な余裕があるとは限らないし、体形、エイジングといったことから、古着ファッションを今さら取り入れることをためらう人もいる。



 これまで記したように、一様に断じにくい面を持っているのが、現在の古着ファッション人気の傾向といえる。また、「リバイバイルブーム」としてデザインに取り入れられる年代が80年代から90年代に移ってきた。安価でベーシックな洋服が権勢を振るってきたファッション業界の中に、古着ファッション特有の1点物や着古した使用感が、味わいとして再認識されれば個性的なスタイリングも増え、ファッションの多様性が広がる。



 お気に入りの洋服選びの選択肢が増えるということは提案できるファッションの楽しみ方も広がろう。ファッション業界全般に閉塞的なニュースが多い中で一筋の光明となるか。わずかながらでも期待したいものである。



磯部孝(いそべ たかし/ファッションビジネス・コンサルタント)


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