BALLISTIK BOYZ「Animal」とSexy Zone「RIGHT NEXT TO YOU」、ファンベース超えて届いた理由 サウンドを徹底解説

0

2021年02月24日 06:01  リアルサウンド

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

リアルサウンド

写真BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE『Animal』
BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE『Animal』

 現在、2つのダンスボーカルグループの楽曲が、元来のファンベースを超えて日本の音楽ファンの間で話題となっている。一つはBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE(以下、BALLISTIK BOYZ)の「Animal」、そしてもう一つはSexy Zoneの「RIGHT NEXT TO YOU」だ。


(関連:BALLISTIK BOYZ、攻めのシングル『Animal』で開拓した新境地 『LIVE×ONLINE』で掴んだ“次なる挑戦への意欲”も語る


■世界基準の最新式R&Bポップスを軽やかに歌い上げたBALLISTIK BOYZ


 まず、BALLISTIK BOYZの「Animal」は、現在の海外ポップスにおけるメインストリームの楽曲と比較しても全く遜色ないほど、極めて質の高いR&Bナンバーとして大きな注目を集めている。


 アリアナ・グランデ「positions」やジャスティン・ビーバー「Intentions ft. Quavo」を筆頭に、現在のポップシーンではトラップビートを軸に、シンセサイザーの音色を配置した音数の少ないソリッドなR&Bが人気となっている。その背景には、しっかり踊れる上に、(特にイヤホンなどの視聴環境において)音自体の魅力を強く堪能することが出来るという魅力がある。耳元で弾けるような音色と、鼓膜に触れるようなボーカルの歌声が織りなすサウンドスケープにはある種のASMR的な気持ち良さがあるのだ。


 跳ねるような質感を持つ特徴的なシンセサイザーの音色とトラップビートが印象的な「Animal」は、まさにそのようなソリッドなR&Bナンバーとなっている。このような楽曲はボーカルの比重が大きく力量が相当に問われる上、日本語の響き自体が大きな障壁となるはずなのだが、色気とフロウを保った上で的確にトラックと絡み合う見事なボーカルにただただ魅了されてしまう。LDHの本領発揮とも言える「英語詞+英語の発音に近付けた日本語歌詞」も素晴らしい仕上がりで、サビ後の〈思うままに〜〉のフレーズは特に響きが気持ち良く、この楽曲の中毒性をグッと引き上げている。


 本楽曲の気持ち良さをさらに高めているのが、グループであることを活かした様々な声色が交差するボーカルのパート構築だ。特に終盤における、美しいファルセットと、力強く歌い上げられるメインのメロディと、囁くようなコーラスワークと合いの手が重なっていき〈思うままに〜〉のフレーズへと繋がっていく怒涛の展開はまさに限界まで本能を刺激するような仕上がりである。単に海外のトレンドを模倣するだけではない、彼らだからこそ出来る取り組みが本楽曲の魅力をさらに引き上げているのだ。


■UKガラージとディープハウスを一曲の中に同居させてしまったSexy Zone


 一方で、Sexy Zoneの「RIGHT NEXT TO YOU」は、海外のダンスミュージックシーンで注目を集めているUKガラージ(※様々な表記が存在するが、本稿では「UKガラージ」で統一)とディープハウスの両方を見事に良質なポップスとして一曲の中に落とし込んでおり、音楽ファンに大きな衝撃を与えた。


 UKガラージとディープハウスはそれぞれダンスミュージックを細分化するサブジャンルであり、非常に簡潔にまとめると前者は「キックのタイミングをずらした、1・3拍目が強調されて聴こえるサウンド」、後者は「液体のような質感の音色と、派手な音を抑えた落ち着いたサウンド」という特徴がある。


 両方とも、現在のJ-POPのヒット曲では使われることの少ないジャンルだが、最近ではUKガラージについてはAJ Tracey「Ladbroke Grove」(2019年)といったヒット曲の登場やCHUNG HA「Roller Coaster」(2018年)などK-POPにおいて活発に取り入れられることで注目を集め、ディープハウスに関してはジョエル・コリー x MNEK「Head & Heart」(2020年)といった大ヒット曲が誕生し、現在のダンスミュージックのメインストリームとして人気を博している。だが、「RIGHT NEXT TO YOU」はUKガラージで始まり、サビでディープハウスへ切り替わる構造となっており、なんとこの2ジャンルが一曲の中に落とし込まれてしまっている。それも全く違和感を感じさせないほど見事に繋がっているのである。


 あくまで個人的な意見だが、UKガラージの魅力は一般的なダンスミュージックとは異なるビート感による独特な浮遊感であり、一方でディープハウスの魅力は沈み込むような音色と反復するメロディによる陶酔感や中毒性を生み出す部分にあると考えている。


 その上で改めて本楽曲を聴いてみると、Aメロ(UKガラージ)でぼんやりとこれまでの人生について振り返りながら相手への想いを徐々に昂ぶらせていき、その想いがピークに達すると共にサビ(ディープハウス)に突入して「君のそばにいるよ(Right Next to You)」というメッセージを力強く繰り返していくという構成・歌い方になっており、大胆に展開するトラックと楽曲の世界観が見事に重なっていることに気付かされる。そのメッセージを証明するかのようにダンスパートのブレイクが用意されているのも痺れる演出だ。この構造であるがゆえに〈RIGHT NEXT TO YOU〉のフレーズはさらに中毒性を加速させていく。こちらについても、ただジャンルを取り入れるだけではなく、本人たちの表現力が元々のアイデアをさらに高次元のものに引き上げた見事な作品であると言えるだろう。


 さて、重要なのは、両者とも「突如として」海外のトレンドを落とし込んだ楽曲に挑戦したわけではないということだ。元々、BALLISTIK BOYZは「SUMMER HYPE」、Sexy Zoneは「Arms Around Me」(※1)などを筆頭にこのような取り組みを続けていた。現在の状況についても、彼らが様々な挑戦を経て、満を持して発表した渾身の楽曲が見事にファンベースを超えて多くの人々に届いた結果であると考えるべきだろう。そして、それを支えてきたのは紛れもなくこれまで応援してきたファンである。


 もしこれらの楽曲によって、初めてグループの魅力を感じたのであれば、ぜひ彼らのこれまでの、そしてこれからの試みにも注目してほしい。そうすることで、きっと今後、さらに刺激的な楽曲が生まれる場に立ち会うことが出来るはずだ。


(※1)Sexy Zone、『NOT FOUND』カップリング徹底解説 USポップス〜歌謡曲まで拡大させた音楽性」 https://realsound.jp/2020/11/post-658954.html (ノイ村)


    ニュース設定