Clubhouse、そしてDispo 招待制というハードルがありながら緩くつながれるアプリに人気が集まる時代

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2021年02月25日 13:42  ITmedia NEWS

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写真Clubhouse
Clubhouse

 長らくステイホームの期間が続いている2021年1月と2月。2つのアプリに注目が集まりました。



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 1つはClubhouse。音声チャット機能を軸とした音声SNSです。もう1つはDispo。往年の使い捨てカメラ風フィルターがかけられた写真を軸とした写真SNSです。この2つのアプリに共通しているのは、招待制であること、機能が限られていること、ゆるいつながりであることだと筆者は考えています。



●招待制ゆえに安全性が高いという雰囲気



 mixiやGREEなど、オフラインでの知り合いとオンラインでもつながってコミュニケーションできるというSNSの歴史をたどると、招待制というのは初期段階のコミュニティーの価値を高めることに効果的な施策です。また一般公開後はオープンなプラットフォームとして成長してきたFacebookは2019年より、プライバシーを重視するSNSプラットフォームを目指すという方針転換をしています。



 ClubhouseとDispoに関しては、招待時に電話番号による認証が必要なためにむやみやたらな複数アカウントが所持しにくいし、基本的に実名で参加する人が多いという印象があります。利用するためのハードルが高いからこそ安全で信頼できるサービスなのだという雰囲気がある半面、「厳選された人々がいるそのネットワークに自分も入りたい」という、FOMO(見逃しすることの恐怖)を刺激しているという側面はあるのですが。



 実際にはどんな場所にも悪意を持っていたり、自分のことしか考えないサイコパスな人が入り込むことでの問題は起こるのでしょうけど。伝聞ではありますが、Clubhouseでは特定のユーザーに、オンラインでもオフラインでもストーキングする人が出てくるという事態が起きているようです。



 ともあれClubhouseは、1月末ごろより日本国内の利用者が急増し、一時は招待権がメルカリで販売されるほどの熱狂を起こしました。Dispoはβ版で一般公開はされていなかったというのに招待権を求める人々が押し寄せ、5000人とも1万人ともいわれる参加者限度を突破してしまう事態となりました。2月末に一般公開されましたが招待制のシステムは変わらずで、当面は「自分も参加したいから招待してほしい」という声が他のSNS上で飛び交うことでしょう。



●できることが限られているからの低ストレス性



 Clubhouseは他のユーザーとのおしゃべりを、さらに他のユーザーが聴くことができます。メインの機能はそれだけ。イベント名をつけて同じ趣味趣向を持つ人にアピールすることはできますが、録音は不可。プロフィールにTwitterやInstagramのアカウントリンクを埋め込むことはできますが、ダイレクトメッセージを送る機能はありません。同じ時間にClubhouseを利用しているユーザー同士でしか、話題を共有できないのです。



 Dispoも似たようなものです。フィルム感あるローファイな写真を、他のユーザーと共有しているロール(アルバムのようなもの)に登録して、みんなでテーマを定めた写真アルバムを作っていくという機能がメインです。Instagramのように、他のカメラで撮影した写真を登録することは不可能ですし、フィルターの種類や効果の度合いを調整することもできません。さらにはいつ撮影しても、朝の9時にならなければ現像されない(写真を見ることができない)という制限もあります。



 数多の機能を実装して巨大化していったFacebookやLinkedInなどと比較すると、いずれのアプリも圧倒的に低機能です。しかしユーザー側からすると、その限られた機能に価値を感じるところもあるのです。



 みなさんにも覚えがないでしょうか。FacebookのUIが変わり、使いにくいと感じたことがありませんか。Facebookにとっては、より多くの情報をスムースにやりとりできるようにとのアップデートなのでしょうけど、テキストベースのコミュニケーションで満足しているユーザーにとっては余計なお世話で元に戻せといいたくなる。ほしいのは十徳ナイフではなくて、普通のハサミでいいのだと。



 ClubhouseとDispoに感じる好印象は、できることが限られているから、悩まずに操作できるというところ。誰かとしゃべりたい、もしくは誰かの話を聴きたいと感じたらClubhouseを立ち上げてタップ。自分の写真を同じ感覚のユーザーとシェアしたい、もしくは決まったテーマの最新写真集を見てみたい、と思ったらDispoを立ち上げてタップ。これだけです。ハンバーガーメニューを開いてジャンルや機能を選んで画面を戻してスクロールして……の繰り返しにはなりません。この気楽さ、ストレスの低さが、いい。



 将来的には、ClubhouseとDispoもユーザーを囲い込むべく数多の機能を搭載する可能性はあります。しかし現時点において、シンプルisベストな機能かつUIのClubhouseとDispoに、人気が集まるのは分かる気がします。



●緩いつながりが生むゆるくていいコミュニケーション



 ユーザーローカルが公開している「Clubhouse 人気ランキング」を見ると、Clubhouseで人気を集めているルームには次のような特徴がありました。



1. 芸能人や有名人が開いているルーム



2. ビジネス書の内容を語り合っているようなルーム



3. モノマネやロールプレイが楽しめるルーム



 1は、もともと多くのファンを持っている人だからこそ、多くの人々が肉声を聴きたいと集っています。2は、本来は有料の情報なのに無料で知り得ることができるというメリットがあります。3はお遊び目的ですが、こういうプレイに多くの人が集まるというのも日本人らしい傾向といえます。



 こういった、多くの人の耳目を集めたいという目的でClubhouseを使うとなるとなかなか大変です。普通の人がチャレンジするとなったら、まずClubhouse上でのフォロワー数を集めなくてはならず、「いま、この瞬間にルームに来てくれる貴方だけにオトクな情報をお伝えしますよ」といったタイトルで釣るような、あまりお勧めできない手段を駆使することになるかもしれません。



 しかし友人と気楽に会話を楽しむ、それこそテレワーク中の雑談目的で使うという目的には適しているアプリだと感じます。音声のみのコミュニケーションですから、ZoomやMicrosoft Teamsのように参加者に監視されているような感覚は一切ありません。ルームを立ち上げておけば、誰かがおしゃべりしたいと思ったときだけ「こんにちわ」と入ってきて「またね」と去っていく、待ち受けがしやすい仕組みでもあります。これがファイルの共有やテキストの同時編集といった機能があったら、ビジネスライクに使わなければならないのかという圧迫感が生まれかねないのです。



 Dispoも、朝9時にならなければそれまで撮影した写真が見えないし、本格的な一眼カメラで撮ったような美麗すぎる写真でなくてもいいという、時間にもクオリティーにもとらわれないですむというゆるさがあります。フォロワー数を競うようなUIになっていないため、変なマウンティングが発生しにくい部分にも注目したいところ。純粋に、日々のスナップが好きな人たちが集う場となっています。



 肩の力を抜いてコミュニケーションを楽しもうよ。自分の話や写真をやたらと推すのではなく、フラットな目線で他の人のコンテンツも楽しもうよ、というメッセージがあるのでは。ClubhouseとDispoから、そういうメッセージを感じるのです。



(武者良太)


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