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写真![]() 無断転載被害者から提供してもらった写真。動物写真は特に被害が広がっています |
SNSがネットで一般的になってからというもの、画像や動画の無断転載投稿が横行し続けています。Twitterでは他人の画像を勝手に使用したツイートが日々行われており、現在進行系で頭を悩ませている善良なユーザーも多い様子。今回はそんなSNSの画像無断転載に対して個人でできる対策はないのか、弁護士に話を聞いてみました。
ここ最近Twitterで特にここ最近取り沙汰されているのが、“自称bot”アカウントによる無断転載。過去に一般人のアカウントが投稿して拡散された画像や動画を無断転載し、ツイート本文などもそのままコピーしたいわゆる「パクツイ」(パクリツイート)を繰り返すbotを名乗ったアカウントが数え切れないほど存在しています。
その中でも特に動物系の自称botは数が多く、Twitterで人気の高いペットや野生の動物を撮影した写真や動画のパクツイを繰り返すアカウントが跡を絶ちません。愛犬の写真を多数投稿しているISSY-RIDERさん(@ISSYRIDER/以下「ISSYさん」)さんも、自称botに写真を無断転載された被害者の1人。
ISSYさんが無断転載被害にあったアカウントは14万アカウント以上のフォロワーを持つ人気アカウントで、自己紹介欄では「Twitterの利用規約に従い引用元を明記したツイートをしている」「削除依頼はDMまで」と書かれています。しかし、ISSYさんが削除依頼のリプライを送ったところ、即ブロックされてしまいました。また、無断転載された別の人が削除依頼のDMを送っても、やはり即座にブロックされてしまったとのこと。
これらのアカウントが無断転載を繰り返す理由はただの人気取りの場合もありますが、フォロワー数を増やして高値で販売することを目的としている場合も多いといわれています。ISSYさんは今回の無断転載被害について、以下のようにコメントしています。
今回、こういったアカウントが無断転載だなんて知らなかった!という声があまりにも大きく驚いています。
botにお金を稼がれようが構わないのですが、アカウント転売等で先々誰かが犯罪被害に遭う可能性がある時に、自分の画像を勝手に使われているのは嫌だなぁというのと、今の無断転載アカウントに対する盛り上がりで、こういったbotが良くないものだという事が1人でも多くの人に伝われば良いなと思っています。
Twitterでは著作権侵害について報告できるフォームがあるものの、加害者側に住所などが伝わってしまうなどのリスクもあります。また、何度も繰り返し無断転載され法的手段に出たい、というケースもあるはず。
個人では対策が難しいと思われるSNSの無断転載ですが、実際のところどうなのでしょうか。弁護士に話を聞いてみました。今回回答してくれたのは、白石綜合法律事務所の宮崎大輔弁護士です。
―― Twitterを始めSNSでの無断転載被害ではどのような対処が法的に考えられるでしょうか。
宮崎弁護士: 法的対応としてまずあげられるのが、侵害行為の差止請求(著作権法112条1項)を行うことです。すなわち、Webサイト管理者(※今回の場合はTwitter)などに無断転載情報などの削除を請求することです。
次に、情報発信者(※今回の場合はbotの運営者)を特定し、損害賠償請求などの民事上の請求を行うことが考えられます。さらに名誉回復措置(著作権法115条)、すなわち謝罪広告などを請求することも手段として考えられます。著作権侵害、著作者人格権侵害については刑事罰がありますので、これらの規定に基づいて適正に処罰されるよう警察や検察に対して刑事告訴をすることも考えられます。
―― 法的な面から他にどのような対策が考えられますか。
宮崎弁護士: 侵害者に対して法的請求を行う大前提として、情報発信者(※bot運営者)を特定することが必要です。そのために、裁判所に対して、Webサイト管理者(※Twitter)等などを被告として発信者情報の開示請求訴訟を行うことが必要になります。その他、弁護士会照会の方法によりWebサイト管理者(※Twitter)などに対して、発信者(※botの運営者)情報の開示を請求することもできますが、一部照会に応じない業者もあります。
なお、Webサイト管理者等が保有しているIPアドレスのアクセスログは、多くの会社で3カ月から6カ月程度しか保有されません、従いまして、発信者情報の開示請求を行う場合には、Webサイト管理者等に対してアクセスログを保存してもらうように要請を行っておく必要があります、この要請に応じてくれない場合、発信者情報消去禁止仮処分を裁判所に対して申し立てる必要があります。
※付きカッコは編集部注
というわけで、横行しているSNSの画像無断転載に対しても、訴訟を起こすことは十分できるもよう。まずはTwitterなどSNS運営に無断転載画像の削除と、加害者の情報開示を請求するところから始まるようです。
とはいえ、画像1枚の無断転載に対して訴訟を起こすのは、精神的にも時間的にも踏み出すのはなかなか難しいところではあります。また、開示請求などは個人でもできますが、住所・氏名・連絡先などの個人情報がTwitterを通じて犯人側に回ってしまうリスクもあります。
それでもどうしても我慢ならない場合や、繰り返し何度も無断転載を繰り返されているような場合は、まずは弁護士に相談してみてると良いでしょう。
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