12GBのグラフィックスメモリはゲーミングに有利? 「GeForce RTX 3060」の実力をチェック

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2021年02月25日 23:12  ITmedia PC USER

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写真今回レビューに用いる「GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」(公式画像より)
今回レビューに用いる「GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」(公式画像より)

 NVIDIAの新型GPU「GeForce RTX 3060」を搭載するグラフィックスカードの販売が、間もなく解禁される。



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 RTX 3060の概要スペックは、1月に行われたオンラインイベントで明らかにされている。ミドルレンジゲーミングにおける待望の新GPUであることはもちろんだが、グラフィックスメモリの容量が12GBと上位の「GeForce RTX 3060 Ti」よりも多いことで注目を集めたことも記憶に新しい。



 この記事では、ZOTAC製のグラフィックスカード「GAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OC」を使用して、GeForce RTX 3060の“実力”をチェックしていく。グラフィックスカード選びの一助になれば幸いだ。



●エントリーモデルながらグラフィックスメモリは“増量”



 GeForce RTX 30シリーズにおいて、GeForce RTX 3060はGeForce RTX 3060 Tiの下位モデルという位置付けなのは先述の通り。そのスペックを、もう少し詳しく見ていこう。



 シリーズの上位モデルと同様に、GPUのアーキテクチャは最新の「Ampere(アンペア)」を採用している。Samsung Electronics(サムスン電子)の8nmプロセスで作られている点も同様だが、GPUコアは「GA106」というシリーズの従来製品とは異なるものとなっている。



 主なスペックを列挙すると以下の通りとなる。



・CUDAコア数:3584基



・グラフィックスメモリ容量:12GB



・接続バス:PCI Express 4.0 x16



・消費電力:170W



 上位製品であるRTX 3060 Tiと比べると、GPUコア(SM)やCUDAコア(並列処理プロセッサ)の数は控えめで、明確なパフォーマンス差が設けられている。実際のパフォーマンスについてはベンチマークテストを通してチェックしていくとして、興味深いのはグラフィックスメモリ(VRAM)の容量の大きさである。



 シリーズの既存モデルにおけるVRAM容量を振り返ると、GeForce RTX 3080では10GB、GeForce RTX 3070/ 3060 Tiでは8GBであったのに対して、GeForce RTX 3060は12GBも搭載している。シリーズのエントリーモデルなのにVRAMの容量はシリーズで最大である。発表時、このことは少なからず物議をかもした。



 GeForce RTX 3080/3070のリリース時を振り返ると、「スペックの割にVRAMの容量が少ないのでは?」という声もちらほら聞かれた。エントリーモデルであえてVRAMの容量を“増やした”理由は明らかとなっていないが、ライバルのAMDのRadeon RX 6000シリーズが(現時点では)全モデルが16GBのVRAMを備えていることを意識した可能性は否定できないだろう。



 もっとも、このVRAM容量の増加が素直に喜べるものかどういかと言われると微妙でもある。GeForce RTX 3060のVRAMのメモリ帯域幅は192bitで、GeForce RTX 3070/3060 Tiの256bitよりも狭くなっている。容量が大きくてもアクセススピードは落ちるため、性能に与えるインパクトは少ない。VRAM容量がモノをいう動画や写真の編集作業を除くと、容量アップの恩恵にあずかれる場面は少ないだろう。



 カードの最大消費電力は170Wで、GeForce RTX 3060 Tiと比べると30Wほど低い。これまでのシリーズ製品に比べれば「省エネ」であり、サードパーティー製のグラフィックスカードのGPU補助電源ピンは「8ピン×1」構成が基本だ。今回レビューで用いるGAMING GeForce RTX 3060 Twin Edge OCも、GPU補助電源ピンは8ピン×1となっている。



 冒頭で述べた通り、GeForce RTX 3060を搭載するグラフィックスカードの米国における想定販売価格は329ドル(約3万5000円)で、GeForce RTX 3060 Tiよりも70ドルほど安い。国内での初出価格は4万円台後半から5万円台前半となる見込みだ。



 折しも現在、世界的な半導体の供給不足に加え、仮想通貨の高騰によるマイニング需要の高まりもあって、PCショップから軒並みグラフィックスカードが消えている状況である。GeForce RTX 3060を搭載するカードの在庫がどうなるのか、非常に気なる所ではある。



●ベンチマークテストでGeForce RTX 3060の実力を検証!



 ここからは、GeForce RTX 3060の実力をベンチマークテストを通してチェックしていこう。



 RTX 30シリーズはPCI Express 4.0接続をサポートする。そのため、同規格を利用できるCPU「Ryzen 9 5900XT」(3.7GHz〜4.8GHz、12コア24スレッド)と「AMD X570チップセット」を搭載するマザーボードを用意してテストを実施した。比較対象として、 GeForce RTX 3060 Ti Founders Editionと、前世代の「GeForce RTX 2060 SUPER」を搭載するグラフィックスカードも用意している。



 グラフィックスドライバーは、RTX 3060のみテストバージョンの「461.64」、それ以外は執筆時点における最新の公式バージョンである「461.40」を使用した。



3DMark



 始めに、3Dグラフィックスに関する定番ベンチマーク「3DMark」から、DirectX 12ベースの「Time Spy」シリーズ、DirectX 11ベースの「Fire Strike」シリーズのテストを実行した。今回はフルHD(1920×1080ピクセル)で描画する無印テスト、WQHD(2560×1440ピクセル)で描画する「Extreme」テストを試している。Fire Strikeについては、4K(3840×2160ピクセル)で描画する「Ultra」テストも行った。



 Time Spyシリーズの結果を見てみると、RTX 3060よりもRTX 3060 Tiの方がスコアが良いことは当然である。RTX 3060と先代のRTX 2060 SUPERを比べると、いずれのテストもスコアはほぼ同等だが、RTX 3060の方が微妙に低く「ワースト」となっている。



 この傾向はFire Strikeシリーズも同様だ。RTX 3060は、RTX 2060 SUPERに対してFire Strikeで約7%、Fire Strike ExtremeとFire Strike Ultraで約8%ほどのパフォーマンス差を付けられており、厳しい結果である。



 RTX 2060 SUPERの初出価格は399ドルで、ドル対比ではRTX 3060よりも高価だった。ある意味では納得できる……できるのだが、これまでのRTX 30シリーズが前世代のGPUをスコアで大きく引き離す“景気の良い”パフォーマンスを持っていたことを考えると、やや拍子抜けではある。



FF14ベンチマーク/FF15ベンチマーク



 次に、実際のゲームをベースとするベンチマークテストとして「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を実行した。描画品質は「最高品質」とし、フルHD、WQHD、4Kの解像度で計測した。



 3DMarkの結果と同様に、全ての解像度でRTX 3060 Tiが1位、RTX 2060 SUPERが2位、RTX 3060が3位という結果がとなった。解像度が変わっても、RTX 3060とRTX 2060 SUPERの差は埋まらない。少なくとも、この手のタイトルではRTX 2060 SUPERからRTX 3060に乗り換えるメリットはない。



 GeForce GTX 1060のように2世代前のGPUを使っているのであればRTX 3060に乗り換えるのはアリだろうが、少し予算をプラスすればRTX 3060 Ti搭載カードが購入できてしまう。ゲーミングを主な用途に考える場合、RTX 3060はかなり難しい立ち位置のGPUなのかもしれない。



 より負荷の高いベンチマークテストとして、DirectX 12ベースの「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(FF15ベンチマーク)」も実行した。描画品質は「高画質」とし、フルHD、WQHD、4Kの3解像度で計測している。



 全体的に高負荷なタイトルだが、やはりスコアの序列は3DMarkやFF14ベンチマークと変わらない。RTX 3060とRTX 2060 SUPERを比較した場合、スコアの差はフルHDで約5%、WQHDで4%、4Kで約2%ほどで、解像度が上がるほど差は狭まる。



 ちなみにRTX 3060とRTX 3060 Tiの比較では、フルHDよびWQHDでは約24%、4Kで約27%ほどRTX 3060 Tiの方がスコアが良い。



実際のゲームでフレームレートをチェック



 続いて、実際のゲームにおけるフレームレートも確認しておこう。



 まず「レインボーシックス シージ」のゲーム内ベンチマークモードで、平均レートと最小レートをチェックした。画質プリセットは“最高”とし、フルHD、WQHD、4Kの3解像度でそれぞれのレートを調べた。



 こちらのベンチマークでは、RTX 3060 Tiの圧倒的な優位こそ変わらないものの、平均と最小の両方において、RTX 3060とRTX 2060 SUPERの結果が拮抗した。一応、最小フレームレートは全解像度でRTX 3060が上回っているものの、ほとんど誤差といったレベルだ。



 続いて「CONTROL」において一定コースを移動した際のフレームレートを確認しよう。今回は、画質プリセットは“最高”とし、フルHD、WQHD、4Kの3解像度において「FrameView」が表示する平均、最小のレートを記録している。



 これまでのテストと同じく、RTX 3060とRTX 2060 SUPERは近しいパフォーマンスを発揮するものの、いずれもわずかにRTX 2060 SUPERのフレームレートが上回っている。



 一般的なPCゲームをプレイする場合、RTX 3060は「販売を終了したRTX 2060 SUPER相当の性能を備えた製品」と捉えるのが妥当だろう。ベンチマークテストの結果を見る限りは、VRAM容量の大きさがもたらす利点を全く感じられないことが悩ましい。



DXR有効時もスコアの序列に大差なし



 続いて、DXRを有効にできるタイトルにおけるパフォーマンスを見ていこう。まず、3DMarkのDXRテスト「Port Royal」を実行した。



 ここでも、RTX 3060 Tiの優位は変わらず、RTX 3060はRTX 2060よりやや低いスコアに落ち着いている。RTを有効化した場合でも、RTX 3060はRTX 2060 SUPERに対して明確な優位を発揮することは難しいようだ。



 実際のゲームにおいてDXRを有効にするとどうだろうか。先ほどテストを行ったCONTROLにおいて、DXRを有効化してフレームレートをチェックしてみよう。DXRのプリセットは「高」に設定し、他は先述のテストと同じ設定としている。



 RTの有効化前と比べると、全体的なフレームレートは低下している。平均フレームレートを見てみると、若干だがRTX 3060がRTX 2060 SUPERに対して高い値を記録した。新しいRTコアによる性能の上積みが反映されたものと思われる。



 とはいえ、これまでの評価を覆せるほどの劇的な差かといえば、そうでもない。



●消費電力はかなり控えめに



 最後に、システム全体の消費電力をチェックしよう。3DMarkのTime Spy Extremeを実行中の最高消費電力を「高負荷時」、PCの起動後10分間何もせず放置した状態後の消費電力を「アイドル時」としてワットチェッカーで計測した。



 アイドル時の消費電力はいずれも60W程度だ。高負荷時の消費電力は、最も高性能なRTX 3060 Tiが最も高く、300W超となった。次いで、旧世代のRTX 2060 SUPERがほぼ300W。RTX 3060は最も低い276Wとなった。



 RTX 2060 SUPERに比肩するパフォーマンスを備えつつ、消費電力を25W前後低減したということは、素直に評価できるポイントだ。



●評価の難しいGPU VRAM容量がモノを言う用途ならアリ



 GeForce RTX 3060は、フルHD〜WQHDのゲーミングをターゲットにしたパフォーマンスが特徴とされる。しかし、特にゲーム用途で他のGPUと比較すると、評価が難しい。



 性能面ではGeForce RTX 2060 SUPERとほとんど同等という状況で、これまでのGeForce RTX 30シリーズと比べると物足りなさは否めない。ベンチマークテストでも触れた通り、「GeForce RTX 2060 SUPERをそのまま置き換えた感覚」となるため、GeForce GTX 1060のような2世代以上前のGPUからのアップグレードであれば、検討に値するだろう。その場合、RTX 30シリーズで最も安価であることは1つの武器となる。



 ただ、「フルHDゲーミングが快適なら十分」というのであれば、より安価なGeForce GTX 1660という選択肢もある。「フレームレートの高いフルHDゲーミング、あるいはWQHDでゲームをプレイしたい」というのであれば、少し予算を増やしてGeForce RTX 3060 Tiに行った方が幸せだろう。



 クリエイティブ用途であれば豊富なVRAMを生かせる場面もあるかもしれないが、ことゲームに関しては、素直にRTX 3060 Tiを選択する方が良い場面が多そうだ。「VRAMが多いから」という理由で本製品を選択する場合、自身の考える用途にマッチするかどうかはしっかりと吟味するようにしたい。


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