職員室の「IT化」を阻むものは何? 元教員が考える課題と解決策

9

2021年02月26日 21:22  ITmedia PC USER

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ITmedia PC USER

写真学校におけるIT導入の実情は……?(写真はイメージです)
学校におけるIT導入の実情は……?(写真はイメージです)

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、社会のさまざまな場面で「IT化」が叫ばれるようになりました。「デジタルトランスフォーメーション(DX)」なんていう言葉も飛び交っています。



【その他の画像】



 文部科学省が掲げる「GIGAスクール構想」の影響もあり、児童や生徒が通う小学校や中学校でもIT化が急速に進みつつあります。ただ、「学校のIT化は進んでいるのか?」「子どもたちはPCやタブレットなどをしっかりと扱えるのか?」といった疑問を持つ人もいらっしゃると思います。



 この記事では、実際に公立小学校の教員として約6年間働いてきた筆者が、学校ITの“内側”の事情を紹介していきたいと思います。簡単に読めるようにまとめましたので、ぜひご一読ください。



●課題が多い「教員のIT化」



 結論からいうと、学校におけるITの普及にはまだまだ課題が多くある状況です。社会全体においてIT化が進んでいますから、当然改善の余地はある……のですが、現在は教える側、つまり教員が学校のIT化の足を引っ張りかねない状況にあります。



 残念ながら、ITを拒んでいる教員は少なからず見受けられます。端的にいえば、機械を使うことを良しとせず、「手書き」を始めとするアナログなやり方に“固執”している教員がいるということです。



 今、教員の働き方が大きな問題となっています。「長時間労働を強いられる」「残業時間が長すぎる」といった話は、報道などを通して聞いたことがあるでしょう。学校では常日頃から「人手不足」に悩まされています。それを解消し、質の高い教員を確保していくためには、こういった問題はどんどん解決していく必要があります。



 本来、IT化には教員の働き方を改善する効果があります。例えば、難しい計算や授業の説明の一部をPCに任せれば、授業準備にかかる時間を削減できます。残業を減らしつつ、より質の高い授業を実現することも不可能ではありません。



 「新しい機械」に抵抗感を覚える気持ちは、とてもよく分かります。しかし、いつまでも「古いやり方」にこだわっていては、仕事量を減らすどころか余計に増やしてしまいかねません。



 ITを拒む教員がITを導入できない大きな理由として、自分が“分からない”状況を恐れていることは見逃せません。



 教員とは、他人に「何か」を教えることが仕事です。それゆえに「自分は全てを知っていなければいけない」「分からないことがあれば、他人(児童や生徒)から信頼されないのではないか」といった不安(あるいは強迫観念)を抱えがちなのです。



 もちろん、元々ITの知識が豊富な教員は、以前からITを駆使しています。校内のネットワーク構築や校内(ローカル)サーバの運営なども一手に引き受けるような人もいます(その教員が転勤する際に、管理上の問題が生じる恐れもあるのですが……)。しかし、そのような知識のない教員、特に年配の教員は分からないことが怖い故にITを使おうとしないのです。



 実際に使ってみれば、ITの良さや便利さに気付いてもらえるはずです。その“第一歩”をどうやって作るのか、覚えたての時期のフォロー体制をどう構築するのかが、学校のIT化の成否を分けることになります。



●ITとの親和性の高い「児童」「生徒」に対応するのは不可避



 今の児童や生徒たちは、ITに囲まれた世界で生まれ育ってきています。長時間PCやスマホを使っている子どもも多いでしょうし、親のPCやスマホを借りてゲームをしている子どももいます。



 将来の夢として「ゲーム実況者」や「YouTuber」が人気を集めていることを考えると、ITと結びついた職業を視野に入れている子どもも増えています。よって、多くの教員よりも子どもの方が圧倒的にITに詳しいという状況は、決して珍しいものではありません。



 小学校や中学校における「外国語活動」「外国語」の授業では、タブレット端末の活用が進みつつあります。端末をTVにつないで英語のネイティブスピーカーの発音を確認するのですが、“子ども受け”は良好です。



 1人1台の端末が渡される場合は、端末に入っている「デジタル教科書」を活用してより深い学びにつなげることもできます。外国語(英語)のデジタル教科書には、アニメ調の映像や高品質な音声が収録されています。これを使って発音やリスニングを自習することで、ネイティブスピーカーに近い発音で会話ができるようになった子どももいました。



 さらに、2020年度からは小学校で、2021年度からは中学校で「プログラミング教育」が取り入れられたことにより、児童や生徒が授業中にコンピューターを操作する機会も増えました。



 筆者の経験の限りの話ではありますが、ITを活用した授業に対応できない子どもはそれほどいません。むしろ、それを好んですらいます。学校全体のIT化を進めることは、児童や生徒にとって全体としてプラスの影響を与えることは間違いありません。



●どうすれば学校のIT化を進められる?



 小学校や中学校のIT化は児童や生徒にとってプラスだが、しかしIT化に抵抗感を覚える教員が少なからず存在する――それが現在の学校の状況です。



 では今後、学校(特に職員室)のIT化をより進めるためにどのような取り組みが必要なのでしょうか。筆者なりに考えてみました。



「とにかく取り入れる」という心意気と「手厚いサポート」が必要



 先述の通り、教員がITを拒む要因として「心理的障壁」があることは否めません。ある意味で、教員の“気持ち”を変えていくことが不可欠です。



 まず、教員自身には「とにかくITを取り入れてみよう!」という気持ちが必要です。今までとのやり方と違いますし、最初のうちは慣れないと思います。しかし、学習指導要領や社会の変化を踏まえると、ITに慣れないと仕事自体が進められなくなる恐れもあります。



 ちょっと言葉が強いかもしれませんが、場合によってはプライドを捨ててでも“新しいこと”や“分からないこと”を一生懸命学ぶべきだとも考えます。一生懸命に学ぼうとする姿勢は、今後の指導に良い影響を与えるはずです。むしろ、いつまでも古いやり方に固執する方が悪い影響を与えてしまいます。



 私事ですが、筆者は2020年3月に教員を辞め、フリーランスライターとしての活動を開始しました。「外」に出てみて初めて「教員のIT化の遅れ」を痛感しました。多くの企業では「Slack」や「Chatwork」といったコミュニケーションツールで積極的に情報のやりとりを行い、「Zoom」や「Google Meet」でWeb会議をこなす姿を見て、「これこそ学校に取り入れるべきだ」と思ったものです(後者は学校でもオンライン学習用に導入が進みましたが)。



 労働環境をより良くするためにも、こういったクラウドベースのツールはどんどん活用していくべきです。ただ、いきなり「使え」と言われてもムリな話であることは分かっています。学校の設置母体(教育委員会や学校法人の本部など)が、教員のITツール習熟を“継続的に”支援する環境を検討、構築することも重要です。



指導で積極的に用いている同僚からノウハウを得ることも重要



 少しずつではありますが、授業でもIT化は進んでいます。先ほど挙げた英語やプログラミング教育の例もあると思いますし、国語でデジタル教科書を使って朗読をしてもらったり、体育の技を映像で見せたりする、ということなどもあります。



 この時の子どもの反応はどうでしょうか。TT(チームティーティング:授業を補助する「2人目の先生」として他のクラスに入ること)でさまざまなクラスを補助した際に見た限りでは、教員が一方的に教科書の内容を教えるよりも、先にも触れた通りITを活用した方が子どもは興味を持って授業に参加できているように感じました。



 若手の教員と年配の教員との間には、ITの活用状況に差が出る傾向にあるのは間違いありません。とはいえ、若手の先生が職員全体にどんどんITを周知していくこと、そして必要に応じて民間企業などにも助けていただきながら指導の質を高めていくことが必要でしょう。


このニュースに関するつぶやき

  • エロ画像見るからだろ。
    • イイネ!0
    • コメント 0件
  • 細かいことはいいから、まずお休みの連絡に当日連絡帳を持って行かないといけないルールをやめようよ。いい加減メールで連絡できるようにならないのかね。プリント類もそろそろデジタル配布にしてほしい。特に重要じゃないやつ。
    • イイネ!1
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(5件)

ランキングIT・インターネット

前日のランキングへ

ニュース設定