「東大女子」2割の壁を破るには? 上野千鶴子「選抜方式の変更」を提案

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2021年02月27日 08:05  AERA dot.

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写真「男子校出身が多いのも問題」女性学第一人者 上野千鶴子(うえの・ちづこ) 1948年生まれ。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長、女性学・ジェンダー研究の第一人者 (c)朝日新聞社
「男子校出身が多いのも問題」女性学第一人者 上野千鶴子(うえの・ちづこ) 1948年生まれ。認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長、女性学・ジェンダー研究の第一人者 (c)朝日新聞社
 東大名誉教授で社会学者の上野千鶴子さん(72)、総長賞を受賞して東大法学部を卒業した信州大特任准教授の山口真由さん(37)、2020年度ミス東大の神谷明采さん(20)の3人が「東大女子」について語り合った。東大は学部生の女子の割合が2割を超えたことがない(※現在19.5%)。低い理由は? どうすれば高くなるか? 

【ミス東大グランプリ 神谷明采さんの写真はこちら】

*  *  *
神谷:女子が東大を卒業するメリットはどこにあると思いますか。

山口:学歴を言い訳にしなくて済むのはよかった。仕事に邁進(まいしん)できる。結婚せずに自分の収入で生きていけるというのも選択肢になりますね。

上野:卒業生を見ていると、東大女子たちは自分の能力に疑問を持っていない。例えば、国際機関で働きたいとか平気で言える。もう一つはお金に頓着しないで仕事を選べて、会社を自由に辞めることもできる。男は職場にしがみつくけど、女はしがみつかないわね。

神谷:私は将来やりたいことがまだないけど、東大なら望んで努力すれば、きっと何でもできる環境なんだろうと思っていました。

上野:「望んで努力すれば何でもできる」と思えることが東大生であることの一番のメリットなんですよ。

山口:その半面、システムにはまれないと自分が悪いという方向に行ってしまうことがあるんです。システムが悪い、あなたは悪くないよ、となれば、活躍の幅はもっと広がってくると思う。

上野:望んで努力したら手に入ると思った女たちには罠があるんだよね。エリート女ほど自己責任論になる。女だからって言い訳をしたくないのよ。

山口:そこはフェミニストの人を悪く描いてきたメディアの責任もあると思います。(女性学研究家の)田嶋陽子がまたがなっているみたいな。

上野:田嶋さんって知っている?

神谷:知らないですね。

上野:そういう世代の人たちも出てきているのね。

神谷:東大をめざす女子が少ないことも問題だと思います。私の周りには、結婚して幸せになることに憧れを抱いている子が多いです。

上野:東大に行くともっと幸せになれるけど、そのためのコスパが悪すぎるということ? それとも得られる幸せが減るという感じ?

神谷:そこまで無理してまで、別にわざわざ東大に行かなくても……という感じですかね。

上野:周りがめざしているから疑問を抱かずに進学してきたという進学校の女子も多いです。

山口:私は共学校出身で、みんな東大をめざしていたのでめざした。ここでは男女の差を感じたことはなかったですね。

上野:教師は進学実績に性別は問わないから。

神谷:諦めさせるような現状はあるように思います。浪人するとき、親から「女の子なのに」と言われて。東大にも反対されて。逆にそういうことを言われると燃えるタイプなので、私は絶対に合格してやると思えましたけど。

上野:いろんなところで女の子だから無理しなくていい、頑張らなくていいと言われるのよね。神谷さん、ごきょうだいは?

神谷:4姉妹です。

上野:娘だけなのは東大をめざせた理由の一つだと思う。男女の進学率の差の決定的な要因は、親にとって投資効率が良いか悪いか。息子と娘とでは教育投資に差がある。だから、東大男子には一人でここに来られたと思うなよと言うんです。親はお金とエネルギーをあなたに投資した、それは回収を予期したお金だと(笑)。男の子たちは真っ青になる。

山口:女子を増やす方法について、東大はどう考えているんですかね。

上野:以前、一番女子が少ない工学部に女子枠をつくろうってプランが出たの。そしたら工学部女子が反対した。なんでだと思う?

山口:気持ちはわかる。自分の能力が純粋に評価されず、「女だから持ち上げられた」というレッテルが付きまとうのは絶対嫌だ。

神谷:私も下駄(げた)を履かされたと見られるのはつらいですね。

上野:まさにそのとおりの理由ね。でも長い間男子が上げ底だったんだから、たまに女が下駄を履かされて何の問題があるの、と言いたいけど。人間の勝負は入試で決まらないから、むしろ入学してから伸びしろがあればいい。そういう開き直りがどうして女子にできないんだろう。

山口:たぶん私たちが学力試験で勝ってきた後だから。受験生なら違う考え方をするかもしれない。

上野:いまの入試は、中高一貫の男子進学校が合格するためのノウハウを蓄えていて有利。そのルートだと入りやすい。女子を増やすために大胆に選抜方式を変えるのはどうだろう。いま、東大の推薦入学者の半数近くが女性です。ところが一般選抜の募集枠が約3千人なのに対し、推薦枠は100人しかないから焼け石に水。だから推薦枠を募集定員の3分の1まで増やしたらどうだろうか。学内カルチャーが変わるし、結果として女性比率が増えると思う。

山口:学力選抜という平等な競争が一番公平と思っていたけど、高校での平常点とかじゃなくて、一回きりの試験で能力を問うその物差し自体が、もしかしたら男性的なモデルなのかもしれない。本当は物差しが不公平かもしれないことを考えてこなかった。大胆さを持って変えてもいいですね。

上野:女子を増やすことの意味に学内コンセンサスがないのも問題。大学で教えるのは知識ではなく、新しい知識を生み出すメタ知識なんです。そのためには学習環境が同質的ではダメ。異文化度が高い人たちが多いほど新しい知識が生まれる。イノベーションの基本です。

神谷:東大女子を思い切って増やすことは大切なことだと思います。

上野:東大も口先では色々と言っているけど、どこまで本気なのかわからない。山口さんや神谷さんには東大女子のロールモデルになってほしいな。(構成/本誌・吉崎洋夫)

※週刊朝日  2021年3月5日号

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  • ■学術会議■から上野千鶴子を叩き出せ!!思想に傾倒した反日左翼に科研費(KAKEN)を渡すな!!。
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