腸の善玉菌が激減する50代は必見!ヨーグルトの正しい食べ方(お手軽レシピ付き)

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2021年02月27日 11:00  週刊女性PRIME

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※写真はイメージです

 理想的な腸には、約100兆〜1000兆個の細菌がいて、善玉菌が2割、悪玉菌が1割、日和見(ひよりみ)菌が7割で存在する。健康で過ごすためには身体に悪い影響を及ぼす悪玉菌が増えないよう、善玉菌を増やし、2つのバランスを保つことが重要。その善玉菌のほとんどを占めるのが乳酸菌。腸内環境を整えるには、乳酸菌は欠かせない存在なのだ。腸内細菌や乳酸菌に造詣が深い、大隅鹿屋病院内視鏡センター長の後藤利夫先生によると、

「ところが、50代を過ぎると善玉菌は一気に減少。なかでも、乳酸菌の仲間であるビフィズス菌は乳児の約100分の1しかいなくなります。年齢を重ねるほど、乳酸菌を積極的にとる必要があります」

 乳酸菌は、さまざまな身近な食材に含まれるが、もっとも手軽にとれるヨーグルトがおすすめ。

「ヨーグルトはビタミンAやB、カルシウム、タンパク質などの栄養も豊富。発酵食品なので腸への負担が少ないのも魅力です」(後藤先生)

 そこで、後藤先生と管理栄養士の吉野愛さんに、ヨーグルトの健康効果を高められる食べ方を取材して、Q&Aにまとめました。

身体にいいヨーグルトの食べ方

【Q】日替わりでいろいろな種類を食べるほうがいい?
【A】×

「ヨーグルトを食べても、腸内の乳酸菌が一気に増えるわけではありません。腸内環境が変わるには時間が必要。少なくとも2週間は、同じものを継続して食べましょう」(後藤先生)

 2週間続けて食べ、体質改善の効果を感じたらそのまま同じものを食べる習慣に。あまり効果を感じなければ、ほかを試し自分に合う菌を探そう。

【Q】食べるのは、食前より食後がいい?
【A】○

「食前より食後のほうが胃酸が薄まっていて、乳酸菌が生きて腸まで届きやすいです。果物でもよいので、先に何か食べましょう」(後藤先生)

 食べる時間は、朝・昼・夕食後のいつでもよいが、「いつ食べるか決めて、習慣化することが大切。血糖値や血圧などへの効果を期待するなら、1日3回、毎食後が理想」だそう。

【Q】食べれば食べるほど腸内改善に効果がある?
【A】×

食べる量が増えると、脂肪分や糖分が過剰になるので、食べすぎはダメです。特に、肥満や脂質異常症の傾向がある人は注意を。できるだけ低カロリー・低脂肪のヨーグルトを選びましょう」(後藤先生)

 1日200gを2週間食べると効果が出るという研究結果もあるが、難しければ100gのカップ1個でもOK。継続して食べ続けるのが大事。

【Q】チーズやキムチなど、違う種類の乳酸菌食品と一緒に食べてもいい?
【A】○

 同時に食べてもまったく問題なし。

善玉菌同士は、いずれも酸性の環境を好む乳酸菌の仲間。エサの取り合いで競合することはあっても、ケンカにはなりません。1日1個のヨーグルトで十分ですが、毎食1品ずつ異なる乳酸菌食品を食べるのもよいでしょう」(後藤先生)

 例えば、朝=みそ汁、昼=キムチ、夜=ヨーグルトなど。

【Q】加熱すると効果がなくなるってホント?
【A】△

「乳酸菌は熱に弱く、60度以上の高温で加熱すると菌が死んでしまいます。ヨーグルトを加熱料理に使ったり、ホットヨーグルトで食べるときは注意を」(後藤先生)

 でも、死んだ乳酸菌は役立たずではない。

「腸で乳酸菌のエサになり腸内環境のバランスに貢献したり、免疫システムの強化に使われることもあります」(後藤先生)

【Q】スナック菓子を一緒に食べるのはNGってホント?
【A】×

「基本的には、ヨーグルトにNGの食べ合わせはありません。ヨーグルトは栄養価も高いので、スナック菓子だけのおやつより望ましいと思います」(吉野さん)

 おすすめできないのは、ヨーグルトのみの朝食。

「ヨーグルトは身体を冷やす食材。いちばん体温が低い朝に、ヨーグルトだけ食べると冷えすぎる心配があります」(吉野さん)

【Q】ほとんどの乳酸菌は腸に届かないってホント?
【A】○

「口から入った乳酸菌は、すべて腸までたどり着くわけではありません。食べ物の消化のために分泌される胃酸によって、その多くが腸にたどり着く前に死んでしまうのです。より強い乳酸菌を求めるなら、ヨーグルトのパッケージなどに記されている菌数や“生きて腸に届く”などの文言も基準のひとつになります」(後藤先生)

【Q】飲むタイプより、固形のタイプのほうが効果が高い?
【A】×

 ドリンク型でも固形型でも「同じシリーズの商品はだいたい同じ菌種・菌数で販売されているので、効果も同じといえます。どちらも、オリゴ糖や食物繊維を含む食材と摂取することで、さらに乳酸菌の効果を高めることができます」(後藤先生)

 ただし、飲むヨーグルトは凍らせると、菌が死ぬ可能性があるので注意。

【Q】ヨーグルトを食べ忘れたら菌数は減っちゃうの?
【A】×

1日食べ忘れても、急激に腸内の乳酸菌が減ることはありません。菌数は増えるときも減るときもゆっくりです」(後藤先生)

 また、乳酸菌の寿命は長くて2週間。食事で取り入れた乳酸菌が、ずっと腸にすみつくことは、ほぼない。

すぐに腸で死んでしまう場合もあるので、乳酸菌は継続してとる必要が」(後藤先生)

【Q】お腹がゆるいときは控えるべき?
【A】×

「身体が弱っているときやダイエット後の復食など、発酵食品は消化吸収にエネルギーを使わなくてよいので身体にやさしい食品です。特に、下痢をした後は細菌数が減り、腸内環境が変化を受けやすくなっているので、腸を善玉菌優位の状態に変えるチャンス。積極的にヨーグルトを食べて乳酸菌を補充してください」(後藤先生)

【Q】表面の上澄みは食べても大丈夫?
【A】○

「ホエイと呼ばれる上澄みには、水溶性のタンパク質、乳糖、ミネラル、ビタミンが含有。特にホエイに含まれるタンパク質は、低カロリーで身体に吸収されやすいため注目されています。あまりクセがないので、スープやカレーを作る際の水分がわりに使ったり、スムージーを作るときに混ぜてもいいです」(吉野さん)

がん・心臓病・脳卒中の予防効果も!

「乳酸菌の働きとして“お腹の調子を整える”ことを思いつく人は多いと思いますが、乳酸菌のパワーはそれだけではありません。実は、がん、心臓病、脳卒中という日本人の3大死因の予防にも効果があります」(後藤先生、以下同)

 乳酸菌は、免疫システムを強化。がん細胞を除去するだけでなく、さまざまな細菌やウイルスに感染しづらくしたり、花粉症やアトピーなどアレルギー症状を抑える力がある。また、心臓病と脳卒中の要因といわれる肥満、高血圧、高血糖、脂質異常症にも効果を発揮するという。

自律神経のバランスを整えたり、肌の状態をよくしたり、虫歯や歯周病の予防・改善にも働きかけてくれます。乳酸菌は万能パワーの持ち主。身体の中から体質そのものを変え、病気を未然に予防する存在として、医学の世界でも注目されています」

【特定分野により高い効果のある主なヨーグルト】

便秘改善・腸内環境改善
●ビフィズス菌BE80菌
『ダノンビオ』(ダノンジャパン)
●LB81乳酸菌(ブルガリア菌2038株+サーモフィラス菌1131株)
『明治ブルガリアヨーグルト』(明治)

血糖値の上昇を抑える
●クレモリス菌FC株
『カスピ海ヨーグルト』(フジッコ)

内臓脂肪の蓄積を抑える
●ガセリ菌SP株(SBT2055株)
『ナチュレ恵』(雪印メグミルク)
●ビフィズス菌B-3
『ビースリー(R)スマートヨーグルト』(森永乳業)※宅配専用

免疫力アップ
●R-1乳酸菌
『明治プロビオヨーグルトR-1』(明治)
●乳酸菌シロタ株
『ソフール』(ヤクルト)

《​アレルギー症状を抑える・緩和する
●LGG乳酸菌
『おなかへGG!』(タカナシ乳業)
●L-55乳酸菌
『ぜいたく生乳ヨーグルト』(オハヨー乳業)

お手軽ヨーグルトレシピ

 食べやすい組み合わせでヨーグルトの力を引き出せるお手軽レシピを、吉野さんに教えてもらいました。

《​身体を温める食材×ヨーグルト》
 ヨーグルトは身体を冷やす食材。でも、身体を温める食材と合わせれば、温活も腸活も同時にかなう。ホットヨーグルトでもおいしい!

小豆・きなこ×ヨーグルト
〈材料〉ヨーグルト…150g/小豆(缶詰)…大さじ2/きなこ…大さじ1〜2
〈作り方〉ヨーグルトに小豆ときなこをトッピングする。

「身体を温めてくれるだけでなく、小豆はポリフェノール、食物繊維も豊富。きなこに含まれるオリゴ糖は、乳酸菌のエサになり増殖・活性化も促します。甘さが足りない場合は黒糖や黒蜜をトッピングすると、より和風スイーツ感が出ます」(吉野さん、以下同)

しょうが・はちみつ×ヨーグルト
〈材料〉ヨーグルト…150g/おろししょうが…小さじ2/はちみつ…大さじ1
〈作り方〉おろししょうがとはちみつを混ぜ合わせ、ヨーグルトにトッピングする。

「身体を温めるしょうがは、はちみつを加えることで、ヨーグルトと合わせても食べやすくなります。はちみつにもオリゴ糖が含まれているので、乳酸菌の活性化に役立ちます」

りんご・シナモン×ヨーグルト
〈材料〉ヨーグルト…150g/りんご…1/4個/シナモン…少々/はちみつ、メープルシロップなどをお好みで
〈作り方〉(1)りんごは皮の栄養価が高いので皮ごと使用。小さめにカットする。(2)ヨーグルトにりんご、シナモン、お好みではちみつやメープルシロップをかける。

「りんごはビタミンC、ポリフェノール、食物繊維を含む栄養価が高い身体を温める食材。シナモンは血行促進効果があり、寒い季節にりんごと合わせることで、より温活効果が得られます。電子レンジで軽く温めて食べるのもおすすめ」

《食物繊維×ヨーグルト》
 食物繊維は善玉菌の代表格である乳酸菌のエサに。さらに、便のカサを増やし腸のぜん動運動を促すので、腸内環境がしっかり整う!

ドライフルーツ×ヨーグルト
〈材料〉ヨーグルト…150〜200g/お好みのドライフルーツ…適量
〈作り方〉ヨーグルトにお好みのドライフルーツを入れて、ひと晩寝かす。

「特に食物繊維が多いのは干し柿やドライプルーン。ひと晩漬け込むと、ヨーグルトの水分でプルプル食感に戻っておいしいです。戻りやすいよう、小さめにカットしてから漬け込んで」

アボカドヨーグルトスムージー
〈材料〉ヨーグルト…100g/アボカド…1/2個/牛乳…1/2カップ/はちみつ…お好みで
〈作り方〉(1)熟れたアボカドの皮をむいて種を取り除き、適度な大きさに切る。(2)すべての材料をミキサーに入れてなめらかになるまで攪拌(かくはん)する。

「不飽和脂肪酸、食物繊維、ビタミン類、カリウムなどのミネラル分がたっぷりのアボカドでさっぱりとした高栄養のスムージーに。フルーティーに仕上げたい場合は、バナナやキウイ、りんごなどを入れても美味」

《ほかの菌×ヨーグルト》
 ヨーグルトの乳酸菌にほかの菌を組み合わせれば、相乗効果で“菌パワー”がグーンと上昇。腸内環境の改善もバッチリ!

麹菌・酢酸菌×乳酸菌のフルーツ酢ラッシー
〈材料〉ヨーグルト…100g/牛乳…100g/はちみつ…大さじ1〜2/りんご酢などのフルーツ酢…大さじ1〜2
〈作り方〉材料をすべてよく混ぜ合わせる。はちみつ、フルーツ酢はお好みで調整。

「お酢に含まれる酢酸、クエン酸のキレート作用によって、ヨーグルトのカルシウムが吸収されやすくなります。お酢が加わることで変化する、トロリとしたのどごしも楽しい。フルーツ酢のほか黒酢でもOKです」

麹菌×乳酸菌の甘酒ヨーグルト
〈材料〉ヨーグルト…100g/甘酒…お好みで (50g程度)
〈作り方〉ヨーグルトと甘酒をよく混ぜ合わせる。甘酒の量はお好みで。

「ヨーグルトを合わせることで、甘酒がさっぱりとした飲み口に。甘酒が苦手な方でも飲みやすいはず。トマトジュースを合わせるのもおすすめです。リコピンも摂取でき、トマトジュースの青臭さが気にならなくなります」

(取材・文/河端直子)

《PROFILE》
後藤利夫 ◎大隅鹿屋病院内視鏡センター長。無麻酔・無痛大腸内視鏡検査法「水浸法」を開発し、普及に尽力。腸内細菌や乳酸菌にも造詣が深い。著書に『乳酸菌がすべてを解決する』(アスコム)など

吉野愛 ◎管理栄養士、食育アドバイザー。実践女子大学を卒業後、江上料理学院にて勤務。講師経験を経て、管理栄養士として独立。外食店の健康的なメニューの開発、栄養アドバイス、栄養講座の講師などで活動中

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