子どものプラモ愛を育む場は「おじさんが守る」、最年少応募者2歳の『こどもプラモコンテスト21』主催者の想い

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2021年02月28日 07:00  ORICON NEWS

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写真『こどもプラモコンテスト21』最年少応募 『くまくまキラキラ』 制作/すーさん(2歳・埼玉県) 写真提供/ホビーカフェ ガイア
『こどもプラモコンテスト21』最年少応募 『くまくまキラキラ』 制作/すーさん(2歳・埼玉県) 写真提供/ホビーカフェ ガイア
 三重県にあるプラモデル工房を併設した飲食店「ホビーカフェ ガイア」が今年、初の試みとして『こどもプラモコンテスト21』(@KidsPlamo21)を開催した。コロナ禍の影響でプラモデルのコンテストが軒並み延期や中止となるなか、SNSで開催告知をすると注目を集め、主催者の予想をはるかに超える294作品が応募。2月20日、審査結果が発表された。途中、応募作品に対する誹謗にも毅然と立ち向かい、子どもたちを守ったことでも注目されたこのコンテスト。主催の齋藤憲一氏に、コンテスト開催への想いを聞いた。

【写真】これを小学生が作っただなんて…最優秀作品は11歳の力作・姫路城、周りの風景と一体化して「本物のよう」

■コンテストは子どもたちの“プラモ熱”の受け皿に

 2016年7月、小学3年生の長男がプラモデルに興味を持ち始めたことをきっかけに、「模型の相談や作業もできる席がある喫茶店をやろう」とスタートした「ホビーカフェ ガイア」。コンテストを開催したのは、子どもたちが気軽に参加できるプラモデルのコンテストが少ないという現状を受けて、「子どもたちが楽しめる場所を作りたい」という思いからだった。

「子どもが参加できるメジャーなプラモデルコンテストというと、『全日本オラザク選手権』『GUNPLA BUILDERS WORLD CUP』、タミヤの『パチッコンテスト』の3つくらい。もちろんそれ以外のコンテストも、年齢の下限がないので参加できると思いますが、模型歴何十年の大人と同じ枠で評価を受けることになる。それは子どもたちにとってハードですよね。また、先に挙げた3つのコンテストだと、【ガンプラ限定】か【AFV限定】になってしまい、フィギュアやカーモデル、航空機、艦船模型、城など、他ジャンルの受け皿になりません。各所で“子どもたちのプラモ離れ”が指摘されて久しいのに、この状況はどうなんだろうと気にかけていました。そんなときに、バンダイから『エントリーグレード』(ニッパーなどを使わず、シールも塗装もいらない初心者に優しいキット)がリリースされ、さらにコロナ禍でプラモデルが注目されているという世情が発生したことで、『どこもやらないなら、いっちょウチでやってみるか』と、昨年の10月頃から企画を始め、12月に公表しました」

■大人の誹謗に毅然と対応「責任者として参加者を最大限尊重したかった」

 開催発表後、プラモ好きはもちろん、興味がなかった子どもたちも大会をきっかけに、制作を始めるなどして応募数が増え始めた矢先、ある事件が起きる。参加作品を紹介したSNS投稿に対し、「親が作って、子どもの名を借りて投稿している」「(制作に使用されているツールを)小学生が使うなんて間違っている」など心無い言葉が投げかけられたのだ。

 だが、齋藤氏は慌てなかった。誹謗を投げかけたアカウントに抗議し、該当ツイートの削除と謝罪をさせる一方、応募することを怖がってしまう子どもたちに対して、優しい言葉遣いで声明文を発表した。

悪口を言うおとなを今すぐいなくするのは、
おじさんの力が足りなくてむずかしいです。
そのかわり。
悪口を見つけたら、おじさんがそのおとなに、ちゃんと説明します。
ちゃんと話をして、わかってもらえるようにがんばります。
みなさんの、プラモデルを作ったり好きな色にするのが楽しいその気持ちと、
作ったプラモデルをみんなにじまんする場所は、おじさんが必ず守ります。
悪口を言うおとなのことはおじさんにまかせてください。
そしてみなさんは、プラモデルを楽しく作って遊んで、
それをみんなにじまんしてください。
(抜粋)

 この迅速な対応について、齋藤氏は言う。

「問題発言に対して複数の第三者による強い口調での反論展開が発生したため、皆様に『責任者はウチだから、ウチが窓口として対応します』と。イベントごとに限らず、責任者が責任の所在をはっきりさせ、それをオモテに出すというのは、有事に際しては必ず真っ先にやらなければいけないことだと考えています。
 (声明文は)すごく単純に『責任の所在とその役割』を明示しようとしたのが発端なんです。お子さまと保護者さまに『責任者として、このコンテストの場と参加してくださったみなさんを最大限尊重します』と。子どもたちに向けたテキストについては、難しいワードを避け、コミュニティの現実も踏まえ、なるべく噛み砕いて文章にした、という感じです」

 子どもたちを守るこの毅然とした態度は、メディアにも取り上げられ、結果『こどもプラモコンテスト21』は、保護者から見ても子どもの作品を安心して応募できるコンテストという認識が広まり、当初「50も集まればいいほうだろう」という主催者の予想を大きく上回る応募数を集める結果となった。

■審査ポイントは「どれだけ楽しく作れたか」

 審査は参加者と一般からの投票に加え、模型雑誌などで活躍するライターはじめ6名のプラモデルを知り尽くしたモデラーが、「子どもたちがプラモデルをより楽しんでくれるきっかけになるならぜひ!」と快諾し、特別審査員として参加。技術やアイデア力が審査基準となる一般のプラモコンテストとは異なり、「どれだけ楽しく作れたか」をポイントに審査した。

 もう1つ、特筆すべき点は、参加者の得点数。一般的には、特別審査員となるプロの投票点数が一番高いものだが、本コンテストでは、特別審査員同様、参加者も1票につき10点(一般のみ1票につき1点)。その理由にも主催者の子どもたちへの思いが表れている。

「参加者の点数を大きくした理由のひとつは、他のお子さんたちの作品をいろいろ見ることで、自分とは違うアイデアや表現方法を知って、それぞれの楽しみの幅を広げてもらうきっかけにしてほしかったこと。もうひとつは、昨今プラモデルを楽しむお子さんが少なく、学校でも同じクラスにはいないということをよく耳にしていたので、“自分ひとりじゃない、全国には仲間がいっぱいいる”ということを、他の作品を見ることによって知ってほしかったからです」

 作品写真と共に、「お子さんが作った作品であることを確認するため」に、管理者のみが見ることのできる非公開仕様でアップロードしてもらった“作品と一緒に写るお子さんの写真”からも、いろいろと感じることがあったという。

「これがまぁ、本当に、どのお子さんもいい顔、いい笑顔で。やりきった感、楽しんだ感がすごく伝わりました。同時に、【保護者の方からの応援メッセージ】も添えていただいたんですが、これもまた、お子さんと作品を誇りに思い、見守っていらっしゃる気持ちが溢れていて。プラモでより強くつながる親子関係というのはやはりあるんだということを改めて感じさせていただきました」

 最優秀作品、ジャンル別優秀作品の上位には、どれも小学生以下とは思えない力作が並んだ。これ以外の作品の中にも、特に印象に残った作品があるか尋ねてみた。

「言い出すと全部になるのですが(笑)、最年少の2歳の女の子のプチッガイをデコった『くまくまキラキラ』が投稿されたときには、ほっこりしつつも『開催してよかった!』と思えました。作品もお子さんのコメントも間違いなく楽しんだ感が満載で、かつ保護者の方からの応援メッセージが愛に溢れすぎていて、最高でした」

■親子関係をもう一歩踏み込ませるコンテストを企画中

 子どもたちの作品発表の場として開催された本コンテスト。今後も開催していく予定はあるのだろうか?

「はい。もともと、それ念頭にあって、『こどもプラモコンテスト21』と題しました。ですから『22』もぜひ開催したいと思っています。あと、今年の夏休み期間中に作ってもらうことを前提にした『親子でジオラマコンテスト』を開催するべく今、動いています。今回の“保護者が見守りつつ、Web操作を”という協力体制からもう一歩踏み込んで、親子で一緒に題材を考え、材料を集め、加工したり色を塗ったりという“作り上げる”という共同作業が、ジオラマならばより可能と考え企画しました」

 一人でも多くの子どもたちに“作る楽しさ”を知ってほしい。そのためには、「子どもたちが何を楽しむかの選択は、最終的に保護者にかかっているので、ひとりでも多くの保護者にご理解いただきたいと思う」と齋藤氏は語る。それは今回のコンテストで得た手応えでもあった。

「プラモデル経験の豊富な方に限らず、保護者もお子さんも未経験で一緒に検索しながらお子さんが作品を完成させたというケースもあり、いろいろなカタチの“良い親子関係”、その広がりが感じられて、本当に素晴らしく、開催した甲斐があったと思いました。さらに、それらの作品と親子関係を、一般の方が温かく、あるいは熱く見守ったり、何かしら強く感じていただけたようで、こうしたポジティブな人間関係の広がり・強まりのお手伝いができたことは本当によかったと思います。なかなか市場が拡大しない模型業界ですが、エンドユーザーレベルではまだまだ可能性は大きく存在しているな、未来はあるなと感じました」

「知育」になるとも言われているプラモデル。模型業界、子どもたちを思う主催者をはじめ、さまざまな形で関わった多くの大人たちの情熱を応援したい。

文/河上いつ子

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  • だからこそ、こうした繋がりを断ち切りかねない転売屋が嫌いですな。
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