昭和ブームは”巡礼”に発展? 懐かしのスポットを巡る著者が見た、デジタル世代が求める”リアル昭和”体験

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2021年02月28日 09:00  ORICON NEWS

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写真若い世代からも人気を集める昭和の雰囲気が残るスポット(『昭和遺産へ、巡礼1703景』より)
若い世代からも人気を集める昭和の雰囲気が残るスポット(『昭和遺産へ、巡礼1703景』より)
 バブル時代のカルチャーや歌謡曲などに注目が集まり、ちょっとした”昭和ブーム”と言える昨今。もともと、昭和スポットを巡るブログを運営していた平山雄さんによる著書『昭和遺産へ、巡礼1703景』も、情報公開からわずか3日で重版が決定するなど、話題となっている。平山さんによると、昭和に魅力を感じているのは、多くが20代から30代だとか。なぜ、実際の昭和を知らない世代が惹きつけられるのか。現代ならではの波及の仕方など、平山さんに聞いた。

【写真】「懐かしい!」「タイムスリップしたみたい!」逆におしゃれ、でも寂れすぎ…全国の貴重な昭和遺産スポット

■ブログやSNSのメイン読者は若者層、「同世代に共感してもらいたかったのに、なぜ?」

――平山さんは1968年生まれ。10代の頃から古着や古い音楽、古い町並みが大好きだったそうですね。

【平山雄】そうなんです。それで「昭和に囲まれた生活」をするという夢をかなえるために、15年ほど前に昭和時代の一戸建てと国産旧車を買いまして。この昭和スポット巡りも単なる趣味の一環でしたが、友だちから「君がやっていることは人に見せないともったいない」と言われ、「じゃあ、ブログでも起ち上げてみようか」と。それが思いのほか、評判が良かったんです。最初に取材していただいたのは、『東京新聞』さんだったかな?

――ブロクを見て取材に?

【平山雄】驚きましたね。その後も、テレビ局や『週刊文春』さんのような雑誌から、ひっきりなしに取材が舞い込みました。なにぶん趣味でしかなかったから、「こんなの取材して何が面白いのかな」と思っていたのですが、2ちゃんねる(現5ちゃんねる)でもスレッドが立つようになって(笑)。不思議な気持ちになったことを覚えています。

――年配の方が昭和を懐かしがっているのかと思っていたら、ブログの読者は20代、30代が多いと聞いて驚きました。

【平山雄】アクセス解析で見ると、半分が30代で1/4が20代。40代はわずか10%で、50代に至っては5%。同世代に共感してもらいたかったのに、なぜウケないんでしょうね(笑)。ただ、ブログスタートと共に、宣伝のためにTwitterを始めたので、そこからSNSをよく利用するデジタル世代=若い世代の読者が増えていったのかもしれないです。

――そのデジタル世代は、昭和を知らない世代ですよね。令和の今、なぜ“昭和”なんでしょうか?

【平山雄】そうなんです。僕ぐらいの世代だと、懐かしさは少なからずあるじゃないですか。でも若い人は、ほとんど昭和を知らないのに好きだと言ってくださる。知らない世代に対する憧れのようなものがあるのかもしれません。

――それは昭和の時代が魅力的だから、ですかね?

【平山雄】どうでしょう。昭和の時代って、90年代頃にはもう「ダサい」と言われていましたよね。僕としては、自分が見てきたもの、好きだと思っていた風景やアイテム、カルチャーが「格好悪い」と言われることは嫌だったんです。ただ、僕自身「昭和のどこに魅力があるか?」と問われたら、「懐かしさ、手作り感、デザイン」と答えることはできますが、正直なところ、理屈じゃないのかなと思います。

――ブログを見て、「実際にそこへ行った」という読者も?

【平山雄】そういう方は多いですね。客足が途絶えかけていたお店でも、ブログにアップしたら急に人が集まってきちゃった、という話はよく聞きます。

――最近、とくに若い世代の間では、ガイドブックや旅行サイトではなく、インスタ等のSNSに投稿された写真を見て、“リアル”を求めてその場所に行く、という風潮がありますね。

【平山雄】そうですね。でも僕自身は、別に情報発信の目的はなかったんです。ただ「どうせならブログを見てもらいたい」という気持ちから、地域別にカテゴライズして見やすく、どこにあるかわかりやすくは構成してあります。その結果か、「行く時に参考にさせてもらっています」という声もいただいています。

■コロナ禍で巡礼に行けない今、心配も…「あのお店、持ちこたえてくれるかな」

――そんなブログが書籍化。『昭和遺産へ、巡礼1703景』は情報公開からわずか3日で重版がかかったそうですね。

【平山雄】特別なことをしているつもりもありませんでしたので、もともと本になるなんて思っていなかったんです(笑)。だから、重版もまったく予想外。「そんなに売れるものなのか」と。

――昨今はアニメやドラマの“聖地巡礼”が一般化しましたが、平山さんにとって実際に足を運ばれる理由や意義は何でしょう? 

【平山雄】それはもう、“体感”したいというだけです。テーマパーク同様、アトラクションに乗って「ああ楽しかった」という刹那的な感覚に過ぎないのです。ただ、これだけ多く現地を訪れていると、その街のどこに昭和の香りがあるか、“嗅覚”は身についてきますね。そうして行き当たりばったりで出会ったスポットもたくさんあります。

――実際に赴くことでの苦労は?

【平山雄】楽しんでいるから、苦労とは感じていませんが…。強いて言うなら、和歌山県の昭和な喫茶店など、半日かけて行っているのに、何度行ってもお店が開いてない…というようなことがあることでしょうか(笑)。

――数多くの昭和遺産を見てきた平山さんですが、その中でもお気に入りのものを挙げるなら?

【平山雄】本でも「キングオブ昭和遺産」と書いていますが、埼玉県の秩父にある『宝登山ロープウェイ』。もう何十回も行って、個人的に思い入れがある場所です。あとはこれも埼玉ですが、『黒山三滝』。そこのお土産屋はすさまじく老朽化しているのですが、今も現役。これも気に入っています。

――こういったスポット巡りは、コロナ禍の現在ではなかなか難しいのではないかと。

【平山雄】まずは、僕自身が現地に行けないというのが一番ですね。あとは、「あのお店、コロナで客足が途絶えているだろうけど、持ちこたえてくれるかな」とか、そういう心配は多少なりともあります。

――今後、ブログ、書籍を通して昭和遺産を巡礼する方もいると思います。そういった方に何かアドバイスやメッセージはありますか。

【平山雄】人が集まれば、寂れたところに活気が戻り、その場所が長く生きながらえるきっかけにもなるかもしれません。だから訪れるのは問題ないと思いますが、とくにお店などの写真を撮る場合、撮影許可を取ってほしいですね。迷惑になりそうな行為は控えるよう、心がけてほしいと思います。また、ここ最近では再開発の名のもと、古いものがためらいなく壊されていく光景をよく見かけます。原宿や表参道のアパート、渋谷道玄坂の看板郡などもそうですよね。明治や大正の文化は重視されるのに、「なぜ昭和だけ」という想いはあります。世の中の人にもっと昭和への興味や価値を見出していただき、「遺したい」という発想になってもらえば、僕としてはうれしく思います。

(文:衣輪晋一)

このニュースに関するつぶやき

  • でも、昭和の老朽化甚だしい空き家は見るに耐えない。防犯上・防災上よろしくない。持ち主はどうしてるか分からないが処分が進まないのをよく見る。
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  • 昭和の学校教育を体験したらビックリするだろうな。今の時代に生まれたことに感謝することだろう。
    • イイネ!40
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