第4次ブーム到来?コロナ禍?なぜ今、テレビは「激辛」にこだわるのか

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2021年03月01日 17:40  週刊女性PRIME

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写真左から有吉弘行、あばれる君、片瀬那奈、瑛茉ジャスミン
左から有吉弘行、あばれる君、片瀬那奈、瑛茉ジャスミン

 今、民放各局の中で“激辛”を扱う番組が増えている。

 レギュラー番組では、あばれる君やワタリ119とゲストが激辛料理の完食に挑む『有吉ゼミ』(日本テレビ系)の「チャレンジグルメ」、片瀬那奈、瑛茉ジャスミンらが激辛料理をハシゴする『ウワサのお客さま』(フジテレビ系)の「ウワサ激辛部 道場破り」。

 そのほか、『くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館』(テレビ朝日系)、『華丸大吉&千鳥のテッパンいただきます!』(関西テレビ・フジテレビ系)、『世界くらべてみたら』(TBS系)、『お願い!ランキング』(テレビ朝日系)などのバラエティーが激辛料理をフィーチャーし、『バゲット』(日本テレビ系)、『王様のブランチ』(TBS系)、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)など朝昼の情報番組でも激辛料理を扱うコーナーが目立つ。

 さらに特筆すべきは、激辛料理がテーマの連ドラ『ゲキカラドウ』(テレビ東京系)が現在放送されていること。テレビ東京の『孤独のグルメ』『ワカコ酒』『きのう何食べた?』『忘却のサチコ』などに続くグルメドラマシリーズの一環であり、しかもジャニーズ事務所の桐山照史が主演を務め、激辛料理に挑んでいることにも驚かされる。

 かつて夏限定のコーナーに過ぎなかった激辛を扱った番組が、なぜ冬の今増えているのだろうか。「第4次激辛ブーム」「唐辛子の開発」「タレントの思惑」「コロナ禍」という4つのキーワードから掘り下げていく。

『有吉ゼミ』の大成功で他番組が追随

 最初にピックアックしたいのは、「第4次激辛ブーム」。

 これまで、第1次は湖池屋から「カラムーチョ」が発売され、新語・流行語大賞に「激辛」が選ばれた1980年代中盤、第2次はタイ料理を中心にしたエスニックが流行った1990年代、第3次はハバネロがフィーチャーされるなど辛さのレベルが強烈に上がった2000年代と、激辛ブームは周期的に発生していた。

 そして2019年あたりから現在まで、さらに辛さがエスカレートした第4次ブームが発生中であり、そのブームを採り入れ、成功したのが『有吉ゼミ』の「チャレンジグルメ」だった。

 アイドル、若手芸人、旬の俳優、各界のレジェンドなど多彩な挑戦者がこれまで見たことがなかったようなレベルの超激辛料理に挑むコーナーは高視聴率を連発。業界内に「激辛は数字が取れる」「しかもスポンサー受けのいいファミリー層に見てもらえる」という声が一気に広がっていった。

 もともと激辛料理は、業界内で「絵力が強い」「見ているだけで汗が出そうなシズル感がある」と言われているもの。さらにそれを食べるタレントたちのリアクションもおのずと大きくなり、不自然さを感じさせない。制作サイドにしてみれば、「料理の見た目も、タレントのリアクションも、単純明快かつ刺激的な映像が撮れる」というメリットがある。

唐辛子の開発競争と激辛ペヤング

 その絵力の強さを実現させているのが、2番目のキーワード「唐辛子の開発」。かつては激辛の代名詞だったハバネロを超える唐辛子が次々に開発され、そのたびに話題を集めてきた。

 まずハバネロを超える辛さのブート・ジョロキアが開発され、さらにトリニダード・スコーピオン・ブッチ・テイラー、コモド・ドラゴン・ペッパー、キャロライナ・リーパー、ドラゴンズ・ブレス・チリ、ペッパーXなどの唐辛子が登場。ギネス認定されているものと、されていないものの違いこそあるが、辛さの指標となるスコヴィル値をめぐる開発競争が続いている。

 また、「ハバネロの〇倍」などと数値化して盛り上がれるほか、他のスパイスと合わせてシビレ系、鼻ツン系、エスニック系などのさまざまなバリエーションが生まれるなど、唐辛子を中心とした激辛のエンタメ性が飛躍的にアップ。

 たとえば、『世界くらべてみたら』(TBS系)の「激辛カップ焼きそば『ペヤング』を韓国、タイ、インド、ブータン、コートジボワール、ジャマイカなどの辛い料理が好きな国の人に食べてもらう」という企画はエンタメ性の最たるところだろう。

 さらに、多彩なジャンルの飲食店がメニュー開発をしやすいことも、激辛番組が増えている理由の1つ。自ら開発してSNSにアップしたり、番組側に売り込んだり、逆に「番組側から激辛メニューを作ってみませんか」と提案されることもあるという。東京都港区「芝辛・激辛ストリート」のような激辛に特化した商店街の企画もあるなど、まだまだ広がりを見せていくのではないか。

激辛ロケは罰ゲームではなくチャンス

 3つ目のキーワード「タレントの思惑」も、激辛番組増加の理由となっている。

 激辛料理を食べるロケは一見、誰もやりたがらない罰ゲームのような仕事に見えるが、実際は真逆であることが多い。基本的に激辛料理を食べるシーンは、「演技力、トーク力いらず」と言われている。通常の食リポは美味しさを伝えるコメントと表情が必須だが、激辛料理は食べたままを見せればOK。おのずとリアクションは大きくなり、大量の汗をかき、苦しむ姿を視聴者はそのまま理解してくれる。

 さらに、汗をかきながら必死に食べている姿を見て、視聴者と業界人の両方に「あの子は頑張っている」というイメージを抱かせられる上に、もし完食できれば感動を与えられる。また、汗で崩れにくいメイクもあるなど、ビジュアル面での不安が大幅に減ったことが、人気者やレジェンドの参戦を可能にした。

 少なくとも激辛と並んで流行っている「デカ盛り」よりもリアクションがしやすく、演技力とトーク力は不要で、頑張りが伝わりやすいなど、トライできそうな背景があることは間違いない。実際に挑戦してみると、その辛さから「二度とやらない」というタレントが多いようだが、一度なら好感度アップのためにやる価値はあるのだろう。

 最後のキーワード「コロナ禍」には、主に2つの意味がある。1つ目は、飲食店の時短営業や外出自粛などで自宅にいる時間が増え、ストレス解消の意味で「激辛」という刺激を求める人が増えていること。激辛料理のデリバリー可能な店舗が増えたほか、2月8日の『バゲット』が「激辛グルメが進化!全国お取り寄せ(秘)激辛グルメTOP5」という特集を放送していたように、家でも激辛料理が食べやすくなった。

 2つ目はコロナ禍でストレスがたまる中、「自分より華やかな世界にいてステイタスが高い芸能人が苦しそうな姿を見て留飲を下げられる」こと。だからこそ制作サイドは、人気アイドル、旬の俳優、レジェンド級のタレントなどを集めて視聴者のそんな気持ちに応えている。

 激辛料理は、強い胃痛、せき、痔の悪化などにつながるリスクもあるなど、トラブルがないとは言いきれず、万が一のことがあれば即終了は免れないだろう。ただ裏を返せば、トラブルがない限り、ますますエスカレートしていきそうなムードが漂っている。

木村隆志(コラムニスト、テレビ解説者)
ウェブを中心に月30本前後のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。各番組に情報提供を行うほか、取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

このニュースに関するつぶやき

  • 人が痛がるリアクションを簡単に撮れて楽に視聴率が取れるからでしょ?それに、辛いは味覚ではなく痛覚で、食道や胃を痛め続けるとガンの発症リスクを高めてしまう。
    • イイネ!1
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  • 激辛も大食いも、ツラそうに食べる番組は好きじゃない。ギャル曽根みたいに美味しそうに綺麗に食べるのを見るのは好きだけどね。
    • イイネ!92
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