一度決めたことは訂正しない! アメリカの育児現場で重視される「一貫性」とは

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2021年03月02日 07:00  AERA dot.

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写真子どもが夢中になって遊んでいるとき、どうやって切り上げるかは悩ましい(写真/gettyimages)
子どもが夢中になって遊んでいるとき、どうやって切り上げるかは悩ましい(写真/gettyimages)
 子どもとしばらく公園で遊んで、帰る時間が来たとしましょう。親は「帰るよ」と声をかけますが、子どもは「イヤだ〜」「帰りたくない〜」「まだ遊びたい〜」と駄々をこねます。子育てをしていると、毎日のように発生するトラブルではないでしょうか。こんなとき、皆さんだったらどうしますか?

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 日本のお父さんお母さんを見ていると、もちろん全員が全員ではありませんが、次のような対応をすることが多いように思います。「しょうがないな。じゃ、あともうちょっとね」と妥協。そして、子どもが納得するまで遊ばせる。最初にかける「帰るよ」の言葉はまったく形骸的で、「帰るよ」→「イヤだ」→「じゃ、あとちょっとね」までがひとつの儀式になっているようです。

 一方、アメリカのお父さんお母さんはこうです。「帰るって言ったでしょう」とキッパリ。そして有無を言わさず子どもを帰り路へと連行。以上。初めから「4時に帰るよ」と子どもに約束しておいて、「あと10分だよ」「あと5分ね」とカウントダウンし、4時になったらキッチリ帰る人も多いです。その習慣がついているせいか、「帰りたくない〜」とぐずる子も日本と比較すると少ないように感じます。もちろん子どもですからハーイと素直に従うわけではないですが、ぐずっても仕方ないと心得ている子が多いようです。

 日本の保護者が「しょうがないな、あと少しね」と妥協してしまうのは、習慣だからというのに加えて、「子どもの気持ちを優先してあげたい」「親の都合を押し付けるのはかわいそう」という感情がどこかにあるからではないでしょうか。しかしアメリカでは、一度決めたことを何度もひっくり返しているとかえって子どもに悪影響だという考え方があります。

 アメリカでは、両親のほかに祖父母、きょうだい、ベビーシッター、デイケアの職員など複数の人が日常的に育児参加することが多いからかもしれませんが、「育児の一貫性」ということがとても重視されます。小児科の定期健診でも、「子どもに出す指示は一貫性が取れていますか?」という質問をされます。一貫性というのは、「すべての養育者が同じ内容の指示を出す」ということであり、「時と場合によって言うことを変えない」ということでもあります。

 ですから、日本でよくやる「お母さんには内緒だよ」はNGです。普段はお母さんが禁止している甘いアイスクリームを、お父さんと過ごす週末、あるいはおじいちゃんおばあちゃん家へ行ったときだけ特別に内緒で食べる──みたいなことって、日本ではよくありませんか。私も子どものときは何度も経験しました。でも「お母さんには内緒」を頻繁に行なっていると、「本当はアイスクリームを食べていいはずなのにお母さんだけが理不尽に禁止する」と、子どもが母親に対して不信感を抱く原因になることがあるようなのです。こういう場合は、「確認してみよう」と言って、子どもの目の前でこのときだけはルールの例外があっていいかを親子で確認してからあげるといいそうです。一貫性といっても、少しは柔軟性もなければ親も子も疲れてしまいますもんね。
 
 公園の去り際も同じで、「まあ今日はまだ暖かいから外にいてもいいか」とか「次の予定まで余裕があるしな」と親が思ったら、特別にルールを変更してもいいでしょう。ただ特別なルール変更が成り立つのは、普段からルールがしっかり確立しているときだけです。毎回「じゃ、あともうちょっとね」と一度決めたことを覆していると、「親はいつも口ばかりだ」「駄々をこねればルールを変更できるんだ」などと子どもに覚えさせてしまう──というのがアメリカ式の考え方です。

 まあ「じゃ、あともうちょっとね」が習慣していても日本ではよい子たちがすくすく育っているんだし、そこまで問題じゃないのかな……私自身もそうやって育ったけど、特に重大な精神的欠陥があるわけじゃないし(たぶん)……。ただ、「一度親が決めたことは絶対」を貫くと、子どものぐずりに振り回されることが少なくなるのは間違いないです。子どものわがままにイライラが止まらないというかたは、ぜひルールの一貫性を取り入れてみてはいかがでしょう。

※AERAオンライン限定記事

◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカで6年暮らし、最近、日本に帰国。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi

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