新しい映像体験を得られるジオラマRPGの「ファンタジアン」がApple Arcadeに登場間近!

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2021年03月03日 02:12  ITmedia PC USER

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写真坂口博信氏
坂口博信氏

 世の中に良質なゲームを増やすべく、Appleが始めたサブスクリプション型のゲーム配信サービスが「Apple Arcade」だ。そのComing Soonのコーナーに、「FANTASIAN」(ファンタジアン)が追加された。「ファイナルファンタジー」の生みの親で、ゲームクリエイターの坂口博信氏がApple Arcade発表時から開発を続けているRPGだ。



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 現時点で、まだリリース日は明らかにされていないが、世界中のRPGファンが待ちわびていた大型タイトルの完成が間近ということもあり、日本だけでなく世界中のゲームファンが盛り上がっている。開発者の坂口氏に、ゲームの概要や魅力について詳細を聞いた。



●ジオラマ撮影で構築された新しい映像体験



 ファンタジアンは、坂口氏の原点でもあるファイナルファンタジーと同様、ゲームの中の町を探索して町民たちから情報を聞き出して、突如現れる(ランダムエンカウントの)敵と戦ってというスタイルのゲームだ。



 だが、いくつかこれまでになかった新しい特徴がある。1つはゲームの舞台が、コンピューターグラフィックではなくジオラマで作られていることだ。ジオラマはかなり精巧で、寝室に置かれた鏡や花瓶といった小さなアクセサリーまで丁寧に作り込まれており、500円玉大程度の大きさのついたても、ちゃんとちょうつがいを動かすことができるという。



 ジオラマ製作には、国内で特撮映画などのジオラマ制作をしている職人150人が起用された。先代のジオラマ製作の仕事を見た若手が、このゲームの開発をきっかけに後を継ぐ決意を固めるなどのドラマもあったことは、2020年1月にApple CEOのティム・クック氏がミストウォーカーに訪問した際に取材記事でも触れた通りだ。



・Apple Arcadeは大きなチャンス――ティム・クックCEOも期待を寄せる大作JRPG「ファンタジアン」が目指すこと



 「コンピューターグラフィックスで背景を描くと、木が真っ直ぐに生えている森を作ると全ての木が確実に真っ直ぐになる。でも、実際にはそんな森は存在しません。これに対してジオラマだと、たとえ製作者に樹を全部真っ直ぐにしてください、というオーダーを出したとしても、完璧に真っ直ぐな木はなく、1つ1つの木に個性が出てきます。そこからにじみ出てくる映像の味わいが、ゲームに新たな価値を加えていると思います」と坂口氏は言う。



 と、ここまでは開発開始前から期待していた効果だったが、実際にゲームを作ってみると、想像していなかった面白い効果も得られた。



 このゲームはiPhoneやiPadでプレイする際には、画面をタッチして操作するが、ジオラマで作った実写に近い映像を指先で触るという操作がなんとも面白い感覚を生み出すのだそうだ。



 ちなみに、ゲームはiPhoneやiPad以外にApple TVやMacでも動作し、Macでプレイした際には最大4K解像度の高精細映像でプレイできるという。



 凝っているのは映像だけではない。作品の世界観を引き立てる音楽は、坂口氏が35年間パートナーとして組んできた植松伸夫氏が担当する。オーケストラを使った曲など全60曲を用意した。植松氏は今後も作曲家としての活動は続けるが、体力的な問題もあり、ゲーム全体の音楽を監修する仕事は、このファンタジアンを最後にするといっているそうだ。それだけに音楽はかなり気合が入っていると坂口氏。「素晴らしい音楽によってゲームそのものの格が1つ上がったように感じる」と付け加えた。



●改めて21世紀にRPGの魅力の原点を伝える



 さて、ゲームの概要から話をしてしまったが、そもそもどんなストーリーのRPGなのだろう。



坂口氏は、ファンタジアンの世界を「多重構造のような複数の世界が重なり合ったような世界」と解説する。



 主人公が住んでいるのはファンタジーの世界だが、そこに機械が中心の世界などが少しだけ重なり合っている。主人公の父親は、そういった多次元の世界を行き来する方法を発明し探索している。その父親が行方不明になったことで主人公が父親の遺産を使い、父親を探すべく異次元の世界とを行ったり来たりするという。



 ゲームの冒頭、主人公は機械の世界に迷い込むが、そこで事故に遭って記憶を失うが、記憶の断片の中から1人の女性の姿を思い浮かべることで元の世界に戻り、女性と出会い、その後、主人公は孤児の女性と一緒に父親探しの旅に出るという。



 8人の個性的なキャラクターが登場し、ゲームの前半ではこれら8人のキャラクターの出会いと分かれを描いているという。ストーリードリブンで、難しく考えないでも話が進んでいくが、この前半だけで総プレイ時間は20〜30時間かかるそうだ。



 ストーリーの半ばでガラッとゲームの雰囲気が変わり、そこからは自由度の高いクエスト形式、つまりいくつか用意されているストーリーを自分の好きな順番で解いていく。全体でのプレイ時間はおよそ40〜60時間になるとのことなので、長編のドラマを5シーズン分くらい見るようなスケールの大作になる。



 しかし、今後も在宅勤務(Stay Home)が長引くようなら、コロナ禍の自粛の中、皆でファンタジーの世界を探検し語り合った思い出は、数十年後にも良い思い出になるかもしれない。



 では、RPGゲームの魅力とは何なのだろう。坂口氏いわく、初期のRPGゲームはドット絵のマス目でゲームの世界が描かれている。宝物が隠されていた扉のあるマス目には鍵を持っていないからいけないと思ったら、別のルートでそこへ行ったら実は扉の裏側に回り込めるなど、ゲームの世界に入れ込んでいる人は、カセットテープやFD(フロッピーディスク)に収められていたゲーム地図の全マス目を制覇し、その世界を知り尽くしていることを誇りに思っている人もいて、そういうのが楽しかったという。



 ファンタジアンではジオラマベースで作られおり、描かれている世界はドット絵のマス目ではないかもしれないが、ゲームの世界を歩いていて「もしかしたら、こっちの方にも道があって進めるんじゃないか」と匂わせているような場面は、1つ1つ細かくチェックして、脇道探索も楽しめるようにしたという。



 実は坂口氏も、このようなRPGの魅力を1度、忘れかけていた。2016年にゲーム機のスーパーファミコンミニが発売されたのがきっかけでゲーム雑誌「ファミ通(かつてのファミコン通信)」で、坂口氏の代表作、ファイナルファンタジーについての対談を行ったところ、自分はこのジャンルが好きであることに改めて気がつき、新作を作ろうと思い始めていたという。その際に、Appleがゲーム開発を支援するというApple Arcadeの話が舞い込んで今回の開発に至ったそうだ。



 せっかくの新作ということでバトルのシーンでも、正面の敵を真っ直ぐ攻撃するのではなく、ブーメランのように弧を描く武器を使って背後にいる敵キャラクターを攻撃できたり、対戦すべき相手を1度、異次元のポケットに送り込んで、後でまとめて戦ったりといった新戦闘システムを採用するなど、ゲームプレイの面でも新たなチャレンジが多い。



 日本だけでなく、世界のゲームファンも期待するファンタジアンについての背景情報は、今後、坂口氏自身もTwitterアカウントを使って積極的に発信していくということなので、まだフォローしていない人は、この機会に是非フォローしてみて欲しい。


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