おじさんホイホイ? ホンダ「N-ONE」のステッカーが生まれた理由

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2021年03月03日 11:31  マイナビニュース

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ホンダが軽自動車「N-ONE」に用意したある純正用品が「おじさんホイホイ」だとSNSなどで話題となっている。それは、1980年代の国産スポーツカーを彷彿させる「TURBO」や「DOHC」などのカスタマイズ用ステッカーだ。しかも、これらを生み出したのは30歳になったばかりの若いデザイナーだというから驚いた。おじさん世代に刺さるステッカーは、なぜ誕生したのか。ホンダ純正用品を手掛けるホンダアクセスを取材した。

○80年代国産スポーツカーの雰囲気を演出

ホンダ往年の名車「N360」をモチーフに誕生した軽乗用車「N-ONE」が、2020年11月に第2世代へとフルモデルチェンジした。その新車試乗会で発見したのが、逆文字の「TURBO」のステッカーを貼り付けた「N-ONE RS」だった。私がその姿に惹かれたのは、幼少期に街角で見かけて憧れた国産スポーツカーのことを思い出したからだ。

1970〜1980年代の日本車は、メーカー間の熾烈な性能競争が巻き起こっていた当時の時代背景もあって、その高性能ぶりを示すべく、ボディサイドに「DOHC」「TWIN CAM」「TURBO」などのロゴを飾っていた。オーナーにとってこれらのロゴは、高性能なクルマを所有していることを周囲に知らしめるステイタスでもあった。そのイメージとN-ONEのステッカーが、ぴたりと重なった。

このステッカーは、N-ONE用の純正用品で「デカール ボディーセット」というもの。さまざまなステッカーがまとめられた240mm×420mmサイズのシートで、価格は6,600円(税込)だ。

開発販売を行うホンダアクセスによると、同商品の人気は高いという。SNSなどで新型N-ONE用品装着車のティザー画像を公開したところ、ステッカーは小さく写っていただけだったにもかかわらず、その時点で大きな反響があったそうだ。ステッカーが演出した雰囲気が、クルマ好きのおじさんたちにあの頃を思い出させたのだろう。

このステッカーを提案したのは、ホンダアクセスで商品開発を行う村上昇二さん。なんと、まだ30歳という若手デザイナーである。当然、リアルタイムで80年代前後のクルマを知っているはずはないのだが、なぜ彼は「おじさんホイホイ」のステッカーを生みだすことができたのだろうか。

○若手デザイナーが懐かしのロゴを用いた理由

ステッカー誕生のきっかけは、新型N-ONEの用品開発を行うため、従来型の顧客を対象に行った調査だった。従来型N-ONEではデザインが異なる4タイプを用意していたが、仕様によって顧客層が全く異なることが判明したのだ。通常、1つのクルマのユーザー層の趣味、嗜好、男女比はそう変わるものではないのだが、N-ONEはかなり珍しいケースであり、そこに面白さを感じたという。それらの結果を踏まえ、新型でもグレードごとの魅力を引き出す用品開発を行うという方針が決まったそうだ。

新型N-ONE用に村上さんが提案したのが、スポーティグレード「RS」向けの「ヘリテージコーディネート」というスタイルだ。そもそもRSの原点は、初代「シビック」のスポーティグレード「RS」までさかのぼる。そのイメージカラーがオレンジであり、それを現代的にアレンジしたのが新型N-ONEのRSなのだ。初代シビックから続く歴史や魅力に共感してくれる人に、新型N-ONEのRSを選んでほしい。そんな思いから、レトロでスポーツカー的なコーディネートを作っていった。

メインターゲットは、ずばり50〜60代の男性。国産自動車メーカーが続々と高性能車を送り出していた頃のクルマに憧れ、所有した経験のある世代である。サブターゲットには20〜30代の初めてクルマを買う男性も想定しているという。

メインターゲットとしたおじさんたちは、まさにメカ好き世代だ。一方の若い世代だが、こちらは機能性を重視し、身の回りのアイテムを厳選する傾向にあるため、こだわりも強い。だから、N-ONE RSにはクルマの機能や性能にフォーカスしたアイテムを用意しようと考えた。その狙いから、コーディネートした用品には、ドレスアップアイテムだけでなく、サスペンションキットやドリルドタイプのブレーキディスクなど、機能性を高めるパーツもセットにした。性能へのこだわりを強調するアイテムとして提案したのが、このステッカーなのだ。

ロゴデザインは、往年のホンダ車が装着していたステッカーがモチーフとなっている。逆文字の「TURBO」は、1980年に誕生した日産「スカイライン2000GTターボ」が有名だが、実はホンダにも採用例がある。それが「シティターボ」だ。純正オプションのエアロパーツを購入すると、逆文字「TURBO」のステッカーが付属していたそうだ。また、高性能なホンダエンジンを象徴する「DOHC」も、しっかりとステッカーの中に取り入れた。今回は、過去の資料や図面を調べてホンダらしいステッカーデザインとしつつ、サイズと内容を新型N-ONEに最適化した。

今回の「デカール ボディーセット」には、RSには非設定の「4WD」や「VTEC 12VALVE」のロゴも加えた。ステッカーという商品はカスタマイズとしても手軽なので、RS以外のオーナーにも楽しんでもらおうという趣向なのだ。こだわりのあまり、当初はボディカラーに合わせてステッカーの色を変えるなどの案も検討していたらしいが、そちらはコスト高で断念。最終的には色をシルバーメタリックに限定し、手軽な値段を実現した。ただ、どの色のN-ONEに貼り付けてもインパクトが出せるよう、色味やメタリックの粗さなどについては徹底的に検討を重ねたという。

しかし、30代という若さの村上さんは、なぜ当時の雰囲気を追求できたのだろうか。その理由は実に単純。彼自身が、懐かしのクルマの大ファンだからだ。なんと愛車は、愛嬌たっぷりの丸目ライトが特徴的な1985年登場の軽自動車「トゥデイ」である。そんな趣味を察してか、このレトロなステッカーを提案した際の上司の反応は「やりたいんでしょ?」の一言だったそうだ。

ステッカーの売れ行きは好調で、現在は増産中とのこと。なんと、発売直後は欠品だったというから驚く。ステッカーというアイテムは好みがはっきりと分かれるものだけに、普通であればあまり多くの在庫を持たないそうだが、増産がかかっているということであれば、これはヒット商品といえるだろう。村上さん自身もユーザーから支持される自信はあったそうだが、好調な売れ行きだけでなく、「N-BOX」や「S660」など、N-ONE以外のクルマにステッカーを張り付けて楽しんでいるオーナーたちの画像をSNSで発見すると喜びもひとしおだという。

「おじさんホイホイ」となったステッカーは、長く愛せる普遍的なデザインを持つN-ONEの基本コンセプトと、若いクルマ好きの熱意のマッチングが生んだヒットアイテムであった。

大音安弘 おおとやすひろ 1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に。現在はフリーランスの自動車ライターとして、自動車雑誌やWEBを中心に執筆を行う。主な活動媒体に『webCG』『ベストカーWEB』『オートカージャパン』『日経スタイル』『グーマガジン』『モーターファン.jp』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。 この著者の記事一覧はこちら(大音安弘)

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  • ホライゾン4でS2000痛車ペイントしたら、フロントバンパーに貼った文字が逆文字になるバグが。2002ターボみたい。これ昔のフォルツァにもあったバグですね。
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  • まるライト無理(ヾノ・ω・`)インテグラとかよかったなぁ。
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